![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiOxsgMFA-zubPniATK7QSHmiyDkwi7814wGaUhSlybXpjubGpHH1Ea1P460TLhFlaZ7kXudKmdI-fyAs5ypnVvmqay3PS59E5-9o547Wc-XY106y6KO1k4CA7EdwFARQsPBt_lCmLhY1M/s320/20130722CAG1.jpg) |
Fig. 1 RCA LAO view |
本日も鹿大のK先生と一緒に実施したPCIをふり返ります。
安静時に胸痛を繰り返すということで受診された80歳代の男性です。CTで右冠動脈#1と#2に石灰化を伴う高度狭窄を認めたために入院して頂きました。
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Fig. 2 RCA straight cranial view |
Fig. 1、Fig. 2は診断カテです。右内頸動脈にも高度狭窄がありFemoral approachです。#1はそれほどの高度狭窄には見えませんが#2の狭窄はぐるっと回転した屈曲部の狭窄です。Ad hocでPCIをすることが多いのですがこの造影結果を見てAd hocをする勇気が出ませんでした。前拡張をしたのは良いけれども大きな解離が発生し、血行動態が破綻するかもしれない、その状況でステント植込みができないかもしれないと考えたからです。こうした屈曲した右冠動脈の拡張時にはずり応力が大きく働き大きな解離が発生しやすいのです。この方は右冠動脈優位で回旋枝はsmallなので尚更です。
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Fig. 3 stent delivery without predilatation |
PCIをするのか否か、実施するとしたらどんな風に戦略を立てるのか、数日間ずっと考えました。一つの懸念はCTで高度狭窄に見えた#1です。ここでつまづけばその後の#2の治療に辿り着けるはずがありません。#1のみをIVUSで評価してそれなりの狭窄であれば#1を処理してから#2に取り掛かることにしました。#1の問題が解決してからであっても前拡張で大きな解離が発生してBail-outできなければ危機的になります。可能であるならば前拡張無しにステントを植え込んでその後バルーンで大きく拡張してみてはどうかと考えました。このため通過性を重視して2.5㎜のステントを置き、その後に血管径に合わせて大きくバルーンで拡張するという通常はしない手技をとろうと思いました。もし前拡張無しでステントのデリバリーができずに前拡張を要し、解離の発生・血行動態の破綻が起きればIABPを使用するつもりで準備を指示しました。
実際の手技が始まりSAL 0.75をエンゲージさせると圧はウエッジ波形です。サイドホール付に代えて#1のみをIVUSで見ると内腔が狭小化していたためにまず#1に3.5㎜のResolute integrityを植え込みました。この結果、ガイディングは深くエンゲージ可能になりました。この状態で前拡張無しにResolute integrity 2.5mmをデリバリーしたところがFig. 3です。幸いにも病変クロスに成功しました。こうなれば後は簡単です。ステントを最大拡張圧で植え込んだ後、血管径に合わせてバルーンで拡張して終了です。
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Fig. 4 Final results after PCI |
そけいのシース挿入からPCI後の確認造影まで20分で終了です。生命に関わる合併症の発生もありうるとお話ししていたのでご本人にもご家族にも喜んでいただけました。
PCI後、前拡張無しにステント植込みを行って拡張できなければどうしたのだとK先生から質問です。CT所見で狭窄の前後には強い石灰化はあったものの狭窄部位はそれほどの石灰化でもなく拡張できると予想していたこと等を説明しました。しかし、前拡張無しにステントデリバリーができたこと、十分に拡張できたことは幸いであったことに違いありません。
昨日からTOPICという東日本最大のライブデモンストレーションコースが開催されています。もちろん、自分も参加したかったと思いますが留守番が十分に確保できない田舎では行きたい学会全てに参加することはできません。K先生と2人きりのライブですが実りあるものでした。
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