![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjtkbt-bSfuPM8w_5LtqkwkRzSL7qXmBWfV6KSTXarGakQfztLKTvURoS6peTO44k-El59KuUTiBkOKDOiXiLfj4NJ6Xx25mVpbK7nuRP06CY0HoFQz0svLpHh7JUIWStgmqkI3KfkCX1Q/s320/20101002CT.jpg) |
Fig. 1 LAD evaluated by CT |
本日のPCIのケースです。50歳代前半の男性です。2年前に右冠動脈に薬剤溶出性ステントの植え込みを行っています。Fig. 2、Fig.3に示すように運動負荷でST低下を認め胸痛もあります。Fig. 1のCT画像ではLADの近位部から石灰化を伴うびまん性の狭窄を認めますが、それほど高度狭窄は認めません。ところがです。Fig.4の本日の造影ではLADの近位部の狭窄は非常に高度でした。画像には示していませんがRCAから側副血行が認められるほどの狭窄です。Fig. 5に示すようにびまん性の狭窄でしたから長い植え込みになりましたが、PROMUS stentを植込んで拡張に成功です。
この例のPCIに際して考えたことは植込むstentの径です。びまん性の狭窄ですから一見きれいに見えるところを基準に考えると2.75-3.0mm程度に思えます。しかしFig. 6のIVUSで見るとLADの近位部の径は3.5mmを超えていました。このため近位部には3.5mmのstentを用いて高圧でしっかりと拡張しています。
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Fig. 2 ECG at rest |
この例で考えることは多々あります。
1) CTで狭窄の存在診断は可能でしたが、その狭窄程度の診断はunderestimateでした。CTで安易に狭窄程度を判定することは危険かもしれません。この造影とCT画像の乖離ですが、石灰化の強い病変の診断をどうするかという点に力を入れているせいかもしれません。石灰化病変に伴う狭窄はdensityの大きく異なる部位が隣接するためにpartial volume effectがでやすくなります。これを解消しようとすればcontrastを犠牲にすることになります。underestimateの原因は石灰化病変の問題を解消しようと努力していることに起因しているのかもしれません。技師さんとよく話しあってみたいと思います。
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Fig. 3 ECG after exercise |
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Fig. 4 Left Coronary Artery before stening |
2) 最近はIVUSをほとんどルチーンに使用しているので問題ないとも言えますが、diffuse stenosisに対するPCIではIVUSの情報が有用だという点です。本例のようなびまん性の狭窄にIVUSなしでPCIを実施すると大きな血管径の冠動脈に小径のstent植込みを行うという愚を犯してしまいます。
3) 本例では長いstent植込みになり、医療費も決して低いものではありません。それならばCABGの方が良かったという考え方もあります。この方は50歳です。10年後グラフトが閉塞した時のことを考えるとその後の長い距離のPCIは困難を極めるであろうことが容易に想像できます。長い先を考えれば現時点ではPCI betterという判断が正しいように思います。
4) この例も脂質代謝異常です。LDLが150mg/dl程度であったためにリバロ1mgを内服し、110mg/dl程度に低下していました。やはり管理目標値のように100mg/dl未満を達成しておくべきだったと言えると思います。今後の管理が重要です。
このケースのPCIも鹿大のK先生にしてもらいました。私には25年を超えるPCIの経験がありますが、一人の判断でPCIをしていると思わぬ陥穽にはまる危険があります。討論する相手が存在することは大切です。また、若い先生と議論をし、そこから私が得るものがあること、若い先生に伝えられることがあることは互いに幸せな関係のように思えます。
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Fig. 5 Left Coronary Artery after stenting |
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Fig.6 IVUS imaging before stentng |