2021年6月18日金曜日

薬剤師さんは私の処方に遠慮なく疑義をぶつけてほしいと考えています。

 昨日、鹿児島県姶良地区の薬剤師会の勉強会で講演をしました。内容はこんなにも簡単に服薬アドヒアランス・コンプライアンスは改善するというものです。方法は簡単で残っている薬を挟んで患者さんと医師がどうしてこんなに残ったんだろうかと話し合うことです。

どんなふうに指導するのかと質問され、指導なんかしませんと答えました。自分で考えてもらうだけですと返事をしました。この薬を内服する理由はこれこれで、内服する利益、内服しないリスクにはこんなものがあるなどという説明は過去にも話しています。繰り返し話してもどうして残ったのかという疑問には答えていないからです。

薬学部の学生で実習で病院に来ている人から、私たちが話そうとしても医師から話はきいた、時間がないなどと言われなかなか話ができないのでどうしたらよいかとも質問されました。時間が押していたので冷たい答えになったかなと反省しています。患者さんは医師から話を聞いたからでもなく、時間がないからでもなく、あなたと話しても無駄だと思っているから話してくれないんだと思うよとだけ答えたからです。もう少し丁寧に言ってあげるべきであったと思います。

例えば体重が増加し、HBA1cが上昇し医師から内服を追加された患者さんがいるとします。体重が増え、A1cが高くなったから薬を増やすという説明を患者さんは既に医師から聞いています。もう一度同じ話をされたら時間の無駄だと思うのは当然です。例えば、薬が増えたことを納得されているのですかと患者さんが質問されたら、中には納得していないが医師には逆らえばないという人もいるでしょう。なぜ納得できないのですかと更に会話は続きます。確かに体重が増え、A1cは悪化したけれど理由は分かっている。夫とけんかをしてむしゃくしゃして食べたからだから、もう吹っ切れたし薬を増やさなくても元に戻すことはできると言われるかもしれません。医師と同じ話をしない薬剤師さんにはきっと患者さんは話をしてくれると思います。

薬剤師さんから処方を増やされた方ですけれど納得されていませんよと医師に話したとします。薬剤師は黙って医者の処方通りに薬を出せばよいのだという医師もいるでしょう。しかし私なら、そこまで自分は把握していなかったから今回の増量は見合わせましょうというと思います。医師と薬剤師との連携はそんなもんではないかと思います。

残薬に関心を持って取り組んできたことで薬剤師さんとの絆が強まったと思っています。お互いに患者さんのことを考えて考えをぶつけ合うのが本来の姿だと思います。私が発行する処方箋に薬剤師さんは遠慮なく、考えをぶつけてほしいと思います。