連日の新型コロナウィルス感染症の報道で、まだ感染者の出ていない鹿屋でも定期受診される方の多くがマスク姿で来院されます。この不安な状況が少しでも早く終息するように願っていますが、こんな状況でも悪いことばかりではないなと思っています。図は、友人がFacebookにアップしてくれた新型コロナウィルスが心配になったらどう行動すべきかというものです。風邪症状があってもすぐには受診せずに様子を見て症状が持続する人や普通の風邪とは異なるだるさや息苦しさがあれば相談センターに相談してくださいというものです。
この対応は新型コロナに限らず、通常の風邪でもインフルエンザでも同じだなと思います。「風邪薬を飲んで早く治しましょう」というCMや「風邪でもどうしても休めない時にのみましょう」という感冒薬のCMをいつも違和感をもってみていました。風邪の症状をやわらげる薬はあっても治す薬なんかないのに、早く治そうと思ってきましたという風邪症状の方は少なくありません。医師に処方される薬を内服しても早く治るわけではないよと患者さんに説明しても、たいていの場合は頼りない医者だと思われたり気が利かない医者だと思われたりするだけです。
鹿屋に夜間急病当番があった頃、「明日はどうしても休めないからすぐに治る注射を打ってくれ」という方が来られました。そんな薬はありませんよとお話しすると「風邪も治せないくそ医者め」と罵られました。今回の騒動を機に、すべての医師は風邪も治せないくそ医者だという理解が深まるのではないかと期待しています。
インフルエンザの検査でも戸惑う場面は少なくありません。陰性であった方が、では仕事に行っても良いですよねと言われるからです。保育園に勤務されている方や介護施設の職員からも同じように言われたことがあります。通常の風邪だってお子さんや施設の入所者にうつるし、検査が陰性でもインフルエンザという場合があるので勤務は控えた方が良いと思うよとお話ししてもインフルエンザ陽性じゃなければ休ませてくれないと言われるのです。風邪くらいで休むなという文化が広くいきわたっているのだと感じます。この文化が改まらないからこそ新型コロナの検査をしてもらえないなどという不安が広まるのだろうと感じます。
学校の対応にも困る場面が少なくありません。インフルエンザ陽性だと欠席扱いにならないものが陰性だと欠席になるのでインフルエンザという診断書を書いてくれ、登校しても良いという診断書を書いてくれ等という学校からのリクエストも診療の現場を混乱させます。最近はこうした診断書を求めない地域や学校も増えてきましたが、鹿屋ではこうした学校からのリクエストはまだ残っています。
今回の騒動を機に、風邪で急いで受診したりせずに様子をみていよいよ大変な時に受診するという風に変化すればよいと思っています。また、社会や学校が風邪で休む人に寛容になればと願います。
隗より始めよです。当院に通常受診される方に図を印刷して配布するようにしました。風邪だから早く受診しようとか、新型コロナかもしれないからすぐに受診しようとは思わずに様子をみていて良いのだよということ、普通じゃないと思えば電話で相談すればよいよということがうまく伝わればと思っています。
Friday, February 28, 2020
新型コロナを機に「風邪も治せないくそ医者め」と罵られない社会になればと願っています
Tuesday, February 4, 2020
残薬チェックは善意でするのではなく療養担当規則に書かれた保険医の義務です
2019年7月から始めた徹底した残薬チェックですが、その効果もあり鹿屋ハートセンターに通院されている方の残薬は1ヶ月に1-2回のみ忘れるという程度に劇的に改善しました。こんなに徹底して取り組んでいるのはうちくらいじゃないかと思っていました。
図は、保険医が守らなければならない規則。療養担当規則です。いわゆる療担規則です。医師になって40年以上になるのに下段の20条のロ 診察を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならないという条項を知りませんでした。服薬状況を確認するということはのみ残しがないか確認するということです。私が取り組んできたことは特別ではなく保険医としての義務であったのです。多くの先生に、先生のところの患者さんの残薬はどれほどですかと聞いてもその答えをもちあわせている先生と出会ったことはありません。私だけではなくほとんどの先生が療担規則に記載されている義務を果たしていないと思います。
よく袋一杯、箱一杯に飲み残しの薬を持っている患者さんがいるという話を聞きます。医師がきちんと処方した薬を内服しないのは患者の自己責任だという考えも分からない訳ではないですが、服薬状況を確認するのが保険医の義務であれば患者の自己責任で処方した医師には責任はないとは言えないと思います。
多くの保険医の先生が療養担当規則に記載された義務を果たし、その結果として残薬が減少しより良い治療効果が上がることを願います。
図は、保険医が守らなければならない規則。療養担当規則です。いわゆる療担規則です。医師になって40年以上になるのに下段の20条のロ 診察を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならないという条項を知りませんでした。服薬状況を確認するということはのみ残しがないか確認するということです。私が取り組んできたことは特別ではなく保険医としての義務であったのです。多くの先生に、先生のところの患者さんの残薬はどれほどですかと聞いてもその答えをもちあわせている先生と出会ったことはありません。私だけではなくほとんどの先生が療担規則に記載されている義務を果たしていないと思います。
よく袋一杯、箱一杯に飲み残しの薬を持っている患者さんがいるという話を聞きます。医師がきちんと処方した薬を内服しないのは患者の自己責任だという考えも分からない訳ではないですが、服薬状況を確認するのが保険医の義務であれば患者の自己責任で処方した医師には責任はないとは言えないと思います。
多くの保険医の先生が療養担当規則に記載された義務を果たし、その結果として残薬が減少しより良い治療効果が上がることを願います。
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