2020年5月1日金曜日

軽症新型コロナウィルス感染症の方をホテルに受け入れて大丈夫かと心配しています。

新型コロナウィルス感染症の拡大のための医療崩壊を防ぐために軽症者はホテルで受け入れようという話が進んでいます。そんな話を聞いていて思い出されることがあります。

25年ほど前の話です。虚血性心筋症で診ていた方で50歳代の比較的お若い方でした。どの冠動脈も細く、カテーテル治療もバイパス手術もできそうにないために薬剤で診ていた方でしたが、ある日、心停止になり亡くなったのです。亡くなった時の様子をお母さまに伺いましたが、マンションの8階に住んでいたので救急隊も蘇生をしながらは狭いエレベータでは1階に下ろすことができなかったというのです。たまたま病院近くのマンションであったために病院から救急外来の医師が来てくれたが、やはり部屋の中での蘇生ですから十分な処置ができないまま亡くなったというのです。

この話を聞いてから私は高層マンションには住むまいと考えるようになりました。ストレッチャーが乗れるようなエレベーターを備えたマンションを知らないからです。院外の心停止の蘇生率は非常に低いので心停止になれば1階に住んでいようが高層階に住んでいようが一緒だという考えもあるかもしれませんが、やはり年を重ねるとわずかでもチャンスのある環境に身を置きたいと考えるのです。建築基準が改正され、タワーマンションにはストレッチャーが乗るエレベーターの設置が義務付けられない限りタワマンは私には恐怖の存在です。

軽症新型コロナウィルス感染症の方を受け入れるというホテルにはストレッチャーが乗るようなエレベーターはあるのでしょうか?在宅で急変し亡くなった軽症者がおられたようにホテルでの経過観察でも急変はあり得ると思っています。軽症者を受け入れると名前が出ているホテルにストレッチャーが乗るようなエレベーターがあることを私は知りません。私たちが目にしないだけでサービス用のエレベーターにはストレッチャーがのるのでしょうか?5月1日現在、ホテルでの急変による軽症者の死亡はないようですが、それは圧倒的に在宅者と比べて人数が少ないからではないかと心配しています。急変があったときに、そのホテルに待機している医師や看護師、行政の職員は、エレベーターに乗せることもできずどれほどつらい思いをするだろうかと思います。もちろん搬送に苦労をしてそれゆえに結果が悪くなるかもしれない患者さんのことも心配です。

発症していない濃厚接触者をホテルで受け入れるのはありだと思いますが、軽症者を設備が整っていないホテルに受け入れて大丈夫なのかと心配でなりません。簡単ではなくても武漢のような専用施設での管理が良いのではないかと昔を思い出して思っています。

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