Wednesday, August 22, 2012

薬剤溶出性ステントのバリエーションが増えることでの悩み

Fig. 1 beferoe PCI 5m ago
50歳代後半の女性、20年以上の透析歴です。5か月前にFig. 1に示すような狭窄がありPROMUS stentの植え込みを行いました。Elementではありません。当院でXience VもしくはPROMUS stent植込みを行った方の再PCI率は1%ほどで再狭窄率の低いことに関しては十分に満足していました。しかし、Fig. 3に示すように#3でステント内再狭窄です。
Fig. 2 After PROMUS stenting 5m ago

透析患者であること、右冠動脈の屈曲部位へのステント植込みが再狭窄の原因でしょうか?今回はconfirmabilityの高いPROMUS elementの植え込みを行いました。Fractureもしにくいと言われるPROMUS elementで再狭窄を免れることができれば幸いです。
Fig. 3 Five months after PROUS stenting

2012年9月にMedtoronicのResolute integrityも日本で使用可能になります。国内で使用可能な薬剤溶出性ステントはこれで
MedotronicのEndeavor
MedtronicのResolute integrity
BostonのPROMUS element
AbotのXience Prime
TerumoのNobori

ということになります。

それぞれに2.5㎜、2.75㎜、3.0㎜、3.5㎜のサイズがあり、長さも8㎜から5-6種類あります。4つの拡張径に6つの長さということになると1つの製品を1本ずつ在庫するだけで24本の在庫です。一人の患者さんに同じステントを2本植込む状況も考えて2本ずつの在庫にすると48本の在庫です。すべてのメーカーの薬剤溶出性ステントを在庫すると4メーカーであれば48X4でおよそ200本の在庫ということになります。

今年の当院におけるPCIは例年と比べて少なめに推移していますが、昨年までのおよそ年間200件、月間16件で計算すると、200本の在庫をすれば薬剤溶出性ステントは1年1回の回転率ということになります。

日本に特有の置き在庫システムで、病院にとっては不良在庫にはならないものの、ディーラーさんやメーカーさんにとっては不良在庫です。また、こうした不良在庫でも良しとする日本のシステムの中で、医用材料は諸外国と比較して高値が維持されてきました。しかし、ここ最近の保険償還価格の低下で不良在庫でも良しとする日本のビジネスモデルは維持できないだろうと思っています。

いざという時のためにありとあらゆる医用材料を在庫しておくのだというのは綺麗ごとだと思っています。実際にはメーカーさんやディーラーさんとの共存した医療機関の経営のために、患者さんが不利益を受けない範囲で在庫の整理が必要であろうと思っています。来月の新しい薬剤溶出性ステントのリリースに向けて薬剤溶出性ステントの整理をしなければと思っています。

なければないで困らないけれども、捨てるのには惜しいステントもあります。こうした状況を「鶏肋」と言うのでしょうか。

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