Friday, July 19, 2013

徐脈低血圧の急性下壁梗塞の話をしたらすぐにそんな患者さんが救急で来られました

毎週水曜日に勉強会を実施しています。看護師だけではなくすべての職種の職員が交代で自分でテーマを決めて発表し、私がコメントするという形式です。多くの場合、当日まで 私はテーマを知りません。一昨日のテーマはカテ後の血管迷走神経反射がテーマで看護師さんのプレゼンでした。

 肘やそけいからカテを実施した後、時に見られる徐脈、低血圧、嘔気・嘔吐等が症状で輸液を早くすることやアトロピンの静注で改善します。このプレゼンの後に血管迷走神経反射だと決めてかかると後腹膜出血やPCI後の下壁梗塞を見逃すので、カテ後の徐脈・低血圧時にはこんなことも忘れずに考えなければならないなどとコメントしました。急性下壁梗塞に見られる徐脈・低血圧も房室結節枝の虚血よりも迷走神経反射によるものと考えた方が良く対処はやはりアトロピンの静注だよと話しました。徐脈、低血圧をもたらすこの反射は、Bezold-Jarish reflex(ベゾルト・ヤーリッシュ反射)というのだよとまでは話しませんでした。

こうした発表の後、話した通りの患者さんが来院されることが少なくありません。もちろん偶然ですし、噂をすれば影ではありませんが、記憶に新しいので印象深いだけかもしれません。勉強会の翌々日である本日、失神を主訴とする救急患者さんが早朝に来院されました。胸痛はありません。1度房室ブロックで心拍数は40程度、II, III, AVFでST上昇です。アトロピンには反応しませんでした。

緊急CAGが始まってすぐにこういう徐脈の心筋梗塞は心室細動(Vf)になりやすいのですぐに電気的除細動をかけられる心づもりを持っておこうねと話した直後にVfになりました。すぐにDCをかけても徐脈のままです。ワイヤーが通って再開通したとたんに心拍数は100程度に上昇しました。こうしてみると虚血の解除で心拍数が上がったわけですから下壁梗塞の徐脈は虚血ではなく反射だよと話したばかりですが、やっぱり虚血が原因かな等と思いながらPCI終了です。

教科書で勉強することはもちろん大切ですが、勉強してすぐに勉強した内容の患者さんに遭遇すると身につきやすいだろうと思います。偶然であっても教科書で勉強するとすぐに患者さんが具体例となって登場し、また教えてくれます。

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