このことに危機感を持った鹿屋市医師会と鹿屋市の介護施設の団体では、協同して介護施設でクラスターを発生させない、発生したとしても医療崩壊を起こさないを目標にしてきました。このために積極的な治療(人工呼吸器やECMOの使用)を望むかなどのACPの取得を夏ころから始めています。この話し合いのために作ったスライドが図です。
図は、日本の介護施設で発生した新型コロナウイルスのクラスターを分析したものです。初発患者の多くは20-30代の人でした。施設に出入りするこの年代の方は職員です。職員による持ち込みを防ぐために一般の方以上に自粛・自制をしましょうと呼びかけたのです。この成果か否かは分かりませんが、幸いなことに鹿屋市では1件のクラスターもまだ発生していません。発生は単発例だけで累計で人口10万人当たり3人だけです。
鹿屋市だけではなく全国で高齢者施設の多くで入所者に対する面会は禁止されています。新型コロナウイルスは自然に湧き上がってくるわけではないので、誰かが持ち込まない限り感染は起きるはずがありません。しかし、高齢者施設や病院でのクラスターは発生しています。
施設ではありませんが、同様に誰かが持ち込まなければ感染爆発が起きるはずがない、離島で感染爆発が起きています。与論島では今までに100人以上の感染がありました。人口5千人ほどの島ですから人口10万人当たりに換算すれば2000人です。欧州並みの頻度です。同様の離島での感染爆発は北海道奥尻島でも起きました。やはり人口10万人当たり2000人です。
Gotoトラベルが感染を広げているという人や関係ないという人の議論が起きています。Gotoトラベルが原因なのかどうか私にはわかりませんが、高齢者施設や離島での感染から考えれば人の移動が感染を拡大させていることに間違いはないと思っています。
国が実施する政策に口をはさんでも詮無いことだと思っています。ただ、自分がみている患者さんや鹿屋市の医療を守るために少なくとも我々医療者が感染を広げる役割を果たさないように自粛・自制を続けなくてはならないと思っています。Gotoトラベルは私たち医療者には無縁なのです。
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