3番目の図はエンレストを開始後6か月以上経過した時点での心エコーの指標です。心房細動のあるなしで解析をしました。結果、心房細動のあるなしにかかわらず、左室駆出率(LVEF)も改善し、左室拡張末期径や左房径は縮小し、TRPGは低下していました。良くなった人がいるというだけではなく総体として、心房細動のあるなしにかかわらず心不全はエンレストの開始後に改善をしていました。
4番目の図は、心不全の指標であるBNP値の変化です。総体としてみるとBNP値は変化していませんでした。なのでエンレスト開始前と比べて10%以上増加した群、低下した群でエコーの指標を見たのが最下段の図です。
BNPが低下した群では、指標がすべて改善していたのですが、BNPが上昇していた群ではその改善はほとんどありませんでした。
ARNI(エンレスト)は、BNPの分解を阻害する薬剤ですから、BNPが上昇するのは正しい薬効のように思えますが、実際には心不全の改善に伴ってBNPは低下する方がほとんどです、なので、BNPが上昇することは本来の効果だと安易に考えずに心不全に対する効果が十分ではないと考えた方が良いと思います。
診療させていただくお一人お一人の改善や悪化に注目することは当然ですが、何人もの患者さんの対する効果を検証することで見えてくる世界があります。こうした興味を失わずにこれからもより良い診療が続けられるように努力していきたいものです。
ARNI使用例ではNTproBNPで評価するほうが良くないでしょうか?当院はARNI使用に関わらず心不全評価はNTproBNPに切り替えました。
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