2010年11月18日木曜日

カテーテルだけではなく脂質管理が重要です

LAD on 03. Mar. 2007
 2007年に右冠動脈に対して薬剤溶出性ステントの植込みを行った方です。上段は2007年当時に16列で撮影した前下降枝です。中段は今年11月に64列で撮影した前下降枝です。明らかに前下降枝の近位部に 新たな狭窄の出現を認めます。冠動脈造影を実施しFFRは0.74でした。症状はありませんでしたから無症候性心筋虚血ということになります。薬剤溶出性ステントの植込みを行いました。
 この方はLDLが140mg/dl程度の脂質代謝異常であったためにストロングスタチンであるリバロ1mgを内服してもらっていました。最近のLDLは118mg/dlでした。
 最下段の日本動脈硬化学会のリスク別脂質管理目標に従えば、冠動脈疾患の既往のある方の目標値は100mg/dl未満ですから管理が甘かったといえます。スタチンを増量して目標値の100mg/dl未満を達成していればこの狭窄の出現は防げたかと言われればわからないとしか言えませんが、やはり悔いは残ります。これから、もっと厳密な管理をしてゆきたいと思います。
 しかし、こうしたことは冠動脈をしっかりと評価しているから言えることです。この方の冠動脈の状態を知らずに管理目標に従えば、当てはまるリスクは加齢だけですからカテゴリーIIです。管理目標値は140mg/dl未満ということになります。冠動脈を評価している病院にかかれば目標は100mg/dl未満で、冠動脈狭窄の存在に気づいていない病院にかかれば目標値は140mg/dl未満になってしまいます。無症状であるがゆえに冠動脈を評価されず、甘い目標値で管理され、破綻の道を歩んでいる方はどれほど存在するのでしょう。恐ろしいことです。
LAD on 04 Nov. 2010

日本動脈硬化学会 リスク別脂質管理目標

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