2010年11月15日月曜日

Taxus stentのfractureが原因と考えられる冠動脈閉塞の64列MDCTによる評価

CAG on 03, Mar. 2008
  2008年3月に冠動脈3枝すべてに薬剤溶出性ステントを植込んだ方です。現在83歳です。上段の回旋枝、前下降枝ともにTaxus stentを植え込みました。回旋枝は起始部からステント植込みを行ったためにどうしてもoverlapが回避できず10mm程度の重なりがあります。その後、無症状で経過し6ヶ月後の造影で3枝とも再狭窄はありませんでした。
 6か月後の造影から2年以上が経過したためにCTで評価したものが最下段です。回旋枝はステントの半ばで完全閉塞しています。ちょうど、ステントが重なり合う手前の一重から二重に移行する部位で完全閉塞です。完全閉塞部位でステントの繋がりはなくやはりfractureの所見です。一重から二重に移行する部位ですから折れる荷重が集中したのでしょうか、あるいは外にある石灰化がステントが折れる支点になったのでしょうか、いずれにしてもstent fractureに伴う冠動脈の完全閉塞です。
 無症候性の完全閉塞で心筋梗塞を発症しなかったのは幸いでした。症状があればどんな困難な病変でも再開通を図るのですが、無症状であること、他の2枝には全く再狭窄がないことよりご家族と相談して、閉塞した回旋枝にはPCIをせずに経過を見ることにしました。
 CTで評価すると過去に考えていた以上に頻繁にstent fractureが見つかります。再狭窄を伴わないものからこの例のように閉塞するものまで様々です。過去に示したようにfractureはBare Metal Stent(BMS)でもCypher stentでもTaxus stentでも観察されます。Cypher stentが世に出たときのキャッチフレーズは、この初めてのPCIが最後のPCIになりますよというものでしたが、そうではありませんでした。ヒトの知恵で簡単に解決できるほど病気は単純ではないのです。冠動脈ステントに代表される冠動脈治療の恩恵を広く冠動脈疾患患者に知ってもらうとともに、治療後も油断せずに大切に患者さんを見てゆかなければいけません。
CAG on 11,  Nov. 2010

CT on 04, Nov. 2010

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