Monday, February 18, 2013

大動脈弁置換術予定の方に実施したステント植込み

本日のPCIのケースです。以前よりの弁膜症の精査を目的に紹介で受診されました。心エコー上 最大圧較差100mmHgを超える大動脈弁狭窄症です。ご本人・ご家族の意向をうかがうと普段元気にされているので、可能なら手術を受けたいとのことでした。

Fig. 1は術前評価目的で実施した冠動脈造影です。左前下行枝の近位部と末梢に高度狭窄を認めます。

どうせ開胸手術を受けるのだからバイパス手術と大動脈弁置換手術を同時に受ければよいかと一瞬考えましたが、Aの部位にグラフトを吻合しても2つの狭窄の間にしかバイパスの血流は潅流されません。またBに吻合しても心尖部にしか血流は行きません。であればカテーテル治療で冠動脈を治療してからの開心術が良いであろうと考えました。

では、PCIのデザインですが、末梢側の狭窄のある部位の血管径は2.5㎜もないように見えます。すぐにでも開心術をというのであればあれBare metal stent(BMS)の植え込みということになりますが、このような部位にBMSを置くと再狭窄の頻度は小さくありません。場合によってはバルーン単独よりも再狭窄率は高いかもしれません。取りあえず手術時の冠動脈の問題を回避できたとしても、開心術後に再狭窄をした場合、薬剤溶出性ステントの植え込みを行っても血管径は小さく、再狭窄を免れるかは不明です。こうして考えていき、手術は半年先でも構わないと考え、薬剤溶出性ステントを植え込むことにしました。

IVUSで観察すると末梢側の狭窄部位の血管径はやはり2.0㎜程度でしたので、2.25㎜のPromus elementを植え込みました。

半年、手術の実施を遅らせる選択をしたのですからこの半年間の管理は私の責任です。責任を自覚し、きちんと診ていかなければなりません。

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