鹿屋ハートセンターは19床の小さな有床診療所です。月曜と金曜日に鹿大から心カテの手伝いに来てくれる先生はいますが、基本的に医師一人で運営しています。そうした小規模・少人数でも効率的に画像を管理し、スムーズで正確な意思決定ができるようにカルテは電子化し、電子化されたカルテに接続された画像サーバーを運用してきました。詳細は2011年3月31日付当ブログ「ネットワーク中心の医療」に書きました。地方で患者数も多くないところでこのような投資をして大丈夫かなと心配する部分もありましたが、"Healthymagination"を謳うメーカーとのコラボで当院のような地方の小規模施設でもネットワークの構築が可能でした。"Healthymagination"はこのメーカーの造語です。特別な高性能をな製品を提供するだけではなく導入しやすい製品を提供することでより多くの患者さんに高度な医療を提供するというコンセプトです。この辺りも2010年10月6日付当ブログ「EcomaginationとHealthymagination」に書きました。
このシステムの導入からもう少しで8年になります。システムを構成するRaidのサポートが切れるそうです。この話を頂いた時には深刻には何も考えていませんでした。4TのRaidですから10万円-20万円で手に入る装置だと認識していたからです。このメーカーからの最初の提示は医療用のRaidなので1000万円ですと言われました。どんなに高くても数十万円の装置を1000万なんて言ったらいけませんよとお話ししました。またRaidに医療用のものなんかある筈がありません。
こうしてひどい話はしないでねとお話していたところ、今の手に入るRaidでは現状のサーバーに適合しないのでサーバーごと更新する必要があると、だから1000万円なのですと話が変わってきました。コンピューターに詳しいわけでもない私ですので、サーバーの種類は何で、Raidとの接続のインターフェイスや通信プロトコールは何なのですか、代替の装置は手に入らないのですかと質問していました。答は代替のRaidは存在しない、サーバーを更新するしかないと再度言われました。更に同じようにサポートがなくなる装置で支えられている画像処理も更新した方が良いから総額は3000万円になるとさえ言われました。
そんな高額な投資をするほど地方の小規模施設に余裕がある筈がありません。かつて"Healthymagination"と言っていたこの会社のコンセプトはもう放棄したのかとさえ感じました。このためコンピューターに詳しい人の力を借りて当院で維持するしかないのかと考え始めました。そのために装置のオーナーである当院にある筈のマニュアルや仕様書を探すのですが院内には見つかりませんでした。フルメンテナンスをお願いしていたので院内のスタッフは今まで見る必要がなかったのです。そこでマニュアルと仕様書を導入時から頂いていないので下さいと申し入れました。しかし、メーカーからの返事はそのようなものはないというのです。マニュアルや仕様書なしにメンテナンスできる筈もありませんからない筈はないのにないと言われるのです。ではないのなら以前に調べて欲しいと言ったRaidとサーバーの接続インターフェイスや通信規格はどのように調べたのかと聞くと調べずにそのような代替の装置はないと返事したとまで言われるのです。
呆れました。調べもせずにそんな装置はないからすべて新しい装置を購入するしかないと虚偽の説明でした。私が調べると画像サーバーはWindows 2000 serverでこのサーバーに接続できるRaidはいくらでも市販されています。私の理解では嘘をついて出費を要求する行為を詐欺だと言うのだと思います。
このメーカーと私の付き合いは20年を超えます。より少ない投資で購入できる製品を提供することで高度な医療を地方などにも展開できるようにし、より多くの人に貢献したいという"Healthymagination"というコンセプトに惚れ込んでいた私は初心すぎたようです。
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