Fig. 1 |
Fig.1はエルゴノビンで誘発したスパスムです。右室枝の末梢から完全閉塞です。この時、患者さんには胸痛の自覚はありませんでした。Fig. 2はニトロの冠注後1分、Fig. 3は2分、Fig. 4は3分、Fig. 5は5分後の造影です。完全閉塞の断端が徐々に末梢に移動しています。あるいは近位部から順次スパスムが解除されていきます。患者さんは3分後位にようやく少し胸の違和感を自覚されました。
この日からスパスムの予防のためにカルシウム拮抗剤であるジルチアゼム(ヘルベッサー)を処方し、以後、主訴となった胸痛はありません。
Fig. 2 |
この患者さんはカルシウム拮抗剤でコントロールできない難治性のスパスムではないので考える必要はありませんでしたが、カルシウム拮抗剤でコントロールできない冠攣縮性性狭心症の方にステント植込みを行ったという症例報告は国内外から数多く、報告されています。私はこの考え方に否定的です。あくまで冠攣縮性狭心症は、器質的な狭窄が強くない限り薬物でコントロールすべき疾患だと考えているからです。
この例が難治性であった場合、ステントを植込み部位はどこになるのでしょうか。器質的な狭窄の存在する右室枝の末梢でしょうか。スパスムは#3にも#4にも起きているわけですからこの部位だけの植え込みでは間に合いません。ではステントだらけにするのでしょうか?そんな治療が良いとはとても思えません。
Fig. 3 |
Fig.4 |
冠攣縮性狭心症は、ステントではなく薬剤と丁寧な説明で治療する疾患です。
Fig. 5 |
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