2006年の12月にACSのためにCypher stentを植え込んだ患者さんです。その後、再狭窄なく経過していました。最近になり 症状が出てきたために再入院です。CTではstent fractureは認めません。
Fig. 1にPCI前のCAGを示します。#3にinstent restenosisを認めます。いわゆるlate catch-upです。Fig. 2には前拡張後の造影です。拡張したstent内からdistalに向けて解離です。STも上昇し胸痛も出現しました。このような状況でIVUSやOCTで解離の様子を観察する先生もおられるようですが私はしません。解離が進行しないうちにさっさとstentを置くのが良いと信じています。Fig. 3はstent植込み後です。fractureが起きにくいとされるMedtronic社製のResolute integrityを古いステントを十分に覆うように植え込みました。全長を覆ったのは古いステントとの間にfractureの原因になる支点を作らないためです。
このケースではPCI前にOCTで評価をしていました。stent distalからstent内まで同様のfibrousな一連の病変です。最近話題のinstentのneoatheroscrelosisでしょうか。こうした例ではinstent restenosisであっても解離が発生しFlow limitingになるということだと、このケースで理解しました。
最近、薬剤溶出性ステントの植込みから1年・2年と経過してきた人でLMT病変などのリスクの高いstentingではない人からパナルジンやプラビックスを止めようと思っています。ステント血栓症のリスクも高くないのに出血のリスクを冒すのは賢明ではないと思い始めたからです。しかし、Cypherを植え込んだ方についてはDAPTの中止を躊躇っています。非常に遅れてでもステント血栓症が発生するのではないかと心配だからです。また、逆にこのケースのようにステント内再狭窄の発生もCypherで多いのではないかと心配しています。役割を果たし功の大きかったステントですから否定的なことだけを言いたくはありません。しかし、Cypher植込み患者さんが今は最も心配です。幸いなことに2006年に開業した当院ではCypher stentを植込んだ方は多くありません。しかし、鹿屋市内には他院で1枝に3本も4本も植え込まれた患者さんが少なからずおられます。日本で発売された2004年から時日を経過しているCypher stent植込み患者さんが問題を発生した時の対策を考えておかなければなりません。
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