息切れを表現する言葉は「はぁはぁ」が一般的でしょうか。鹿児島では「せくせくする」とか「せっせする」などと表現されることが一般的です。着替えなどの軽労作で「せっせしている」とご家族が連れてこられました。図1のCTで左冠動脈近位部に石灰化を伴った高度狭窄を認めます。
図2はPCI前の造影ですが偏心性の高度狭窄です。普段はAd hocでPCIをすることが多いのですがこの方はAd hoc PCIをしませんでした。石灰化した偏心性病変の患者さんでバルーンが拡張できるだろうかとか拡張できないだけで解離だけが起きて閉塞させステント植込みもできない等と言う状況にならないだろうか等と危惧したからです。
PCIのライブなどで石灰化病変の治療が焦点になるケースでは、ロータブレーターが実施できない施設からのコメンテーターの先生はよくスコアリングバルーンを使うなどと言われます。私はスコアリングバルーンを使った経験がなかったのです。なぜならロータブレーターがベストだけれどもロータブレーターを使用できないからスコアリングバルーンで治療するという発想がなかったからです。ロータブレーターがベストならロータブレーターができる施設に紹介すべきだと考えているからです。宮崎市内にロータブレーターの上手なS先生がおられるのでこんな風に考えるのかもしれません。
しかし、診断カテから日を改めて治療を考えていてスコアリングバルーンを使おうと考えました。もちろんバルーンが通過しなければ宮崎に紹介するつもりでしたが、低圧で拡張し大きな解離を作らずに前拡張でき、その後にステント植込みをするのが良いと考えたのです。
図3はスコアリングバルーンの前後のIVUSで、図4は前後の造影です。思っていた以上に大きくきれいに拡張できました。使用したバルーンはLacrosse NSEです。バルーンによる拡張後にXience Xpeditionを植え込んで良い仕上がりになりました。綺麗に拡張できたのは石灰化が主に外側にあり、血管内では強くなかったからだと思っています。
どうせ前拡張してステントを植込むのだから多少の解離は関係ないと思っていましたが、このようなケースにはいいのだと再認識です。
とはいえ、ロータブレーターの代わりにはならないだろうという気持ちには変化はありません。
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