Monday, March 2, 2020

このパニックに「こころの処方箋」でも読んでこころを落ちつかせましょう

もう何年も前からほぼ毎月、臨床心理学の勉強会に参加しています。鹿屋体育大学の臨床心理学の教授をされていた先生の主催です。長く参加しているからでしょうか、臨床心理士の資格を取るために受験をしたらどうかと勧められました。医師の資格で十分に仕事ができているので、あまり気が進まないのですが、いやとも言えずハイと返事をしてしまいました。

ここ数日、受験のための参考書や問題集がその先生から大量に送られてきます。問題集をみるとちんぷんかんぷんです。これは大変だと、読みやすい物から眺めてみるかと読み始めたのが図の河合隼雄先生の「こころの処方箋」です。文庫本が送られてきましたがKindle版もあります。

引き込まれました。新型コロナの騒動でこころが落ち着かなかったせいかもしれません。

2章の「ふたつよいことさてないものよ」では、何か悪いことが起きた時に、いつもいつも良いことばかりではないなと考えると不思議とこころが落ち着くのです。自分の人生を振り返っても良いと思った後につらいことがあったり、これは大変なピンチだと思ったことがあとの成功に繋がったりと、良いことばかりも悪いことばかりも続かなかったな等と思い出されるのです。「ふたつよいことさてないものよ」と呪文のように言っていると、こころが落ち着くのを感じます。

13章の「マジメも休み休み言え」もうんうんと言いながら読みました。新型コロナに関わる医師の投稿でも医師以外の投稿でも、エビデンスがどうだとか、和を乱すなだとかどうして喧嘩しているのと思うバトルがネット上にあふれています。正しい情報を得て行動することを否定はしませんが、益のない争いをするよりも「マジメも休み休み言え」位のスタンスが良いのではないかと思えるのです。

27章の「灯を消す方がよく見えることがある」は、灯りを失って方向を失った小舟で松明を燈しても見えなかった方向性が、灯を消すことで遠くの浜辺のぼんやりとした灯りを見つけて方向を知るという話です。あまりの情報過多に方向性を失っているのではないかと感じます。一度、灯りを消してたち止まって遠くを眺めることで見えてくる未来もあるように思えます。

正しい情報を一生懸命に勉強しても見えないウィルス相手です。こころの平静なしに立ち向かっても大きな失敗を冒しかねません。

21章の「ものごとは努力によって改善しない」です。医師も医師以外の方も陥っているパニックだからこそ「こころの処方箋」でも読んでこころを落ちつかせてはどうかと思います。

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