2004年12月26日にスマトラ沖地震が発生しました。当時、徳洲会の専務理事をしていた私は救援隊長として、タイのタクアパやインドネシアのバンダアチェに行きました。循環器医ですから外傷の治療ができる訳でもなく現地に行って何ができるのかと不安に思ったものです。
タイのタクアパ病院は海岸から離れた立地であったために病院自体は被災しませんでしたが津波発生直後の殺到する患者増のために疲弊していました。一方、インドネシアのバンダアチェで支援に入ったザイノエル・アビディン病院は、病院そのものが被災し、機能が低下していました。また、医師や看護師も犠牲になっていました。医療の需要が急激に増加した急性期だけではなく、その後も長期にわたって病院機能が低下していたために需要に長く応えることができなかったのです。このため、急性期の災害支援だけではなくその後の復興の支援も行ったのです。災害支援だけではなく復興支援がなぜ必要かということを理解してもらうために15年前に作ったスライドが図です。
15年前に作ったこのスライドを見ていて、現状の新型コロナ禍でも同じように需要に対する供給不足はこのように表すことが可能だと思いました。急激な感染拡大で需要が増えるだけではなく、医療者が感染することで供給力も低下すると、医療の破綻は大規模で長期のものになりかねません。
武漢でも日本でも医療者の感染が報告されています。医療の需給を維持するために、医療者が頑張るだけではなく医療者を守る対策も必要だと改めて思います。バンダアチェでは、日本だけではなくオーストラリアやドイツなどが大規模な復興支援を行いました。しかし、今回の新型コロナ禍では他国からの支援は受けられないのですから。
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