安倍総理は1954年9月21日生まれ、おとめ座です。私は1954年8月31日生まれ、やはりおとめ座です。潰瘍性大腸炎は必ずしも加齢の問題ではありません。若い方でも苦労されている方は少なくありません。とはいえ、年齢を重ねて病を得て職を継続できない姿は他人事には思えないのです。私も昨年の8月には胆石で初めての入院や手術を経験し、いつまでも病気とは無縁ではないのだと実感したところです。明後日(2020.8.31)に私は66歳になります。冠動脈のカテーテル治療の現役医師としてはもう、九州で最年長です。最年少で現場を任されているのであればその後の未来は、長く輝かしいのでしょうが、最年長であればリタイアの時期や現役の去り際を意識しないではおれません。
第一次安倍内閣発足は2006年9月です。全くスケールは異なりますが鹿屋ハートセンターの開設も2006年10月です。2006年9月は開設直前の準備で忙しかったことを思い出します。同年齢ですから自分の人生の節目と重なるのは当然ですが、安倍総理の節目と私の節目も何か重なります。同時代を生きている人物が志半ばで病のために職を継続できない姿はやはり切ないものです。
でも命を失ったわけではありません。総理としてではなくてもできることはあるはずです。残りの人生もさらに意義のあるものになるように祈っています。昨日(2020.8.28)、辞意を固めるというニュースが流れる中、私は3年前に発症の心筋梗塞の方の慢性完全閉塞の左冠動脈前下行枝のカテーテル治療の最中でした。側副血行が少なく、逆行性のアプローチができそうになく、うまくいくだろうかと心配しながら順行性のアプローチで治療に臨みました。隣に立つ鹿大の先生の前で恥ずかしくない手技をしなければという思いもありました。そんな風に考えるのもやはり年齢を意識してのことだったなと思います。幸い、治療はスムーズに成功裡に終わりました。治療が終わりホッとしたところで知ったニュースです。まだまだ若い連中には負けないという気持ちよりも、恥ずかしくない現役カテーテル治療医としての去り際をいやでも意識させられるニュースにふれ、少し心は揺れています。
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