2010年10月8日金曜日

願えば叶う 冠動脈内ステントの64列CTによる評価

2010.10.8 冠動脈CT
 本日は14時から6例の診断カテです。1例は#6の50%狭窄でしたがFFR=0.95でPCI不要と判断。もう1例は#14に75%狭窄を認めましたが灌流域も小さいので内服でコントロールすることにしました。カテの終了は16時です。2時間で6例ですから入れ替えも含めて1件20分の計算です。カテの術者は鹿児島大学からカテの研修に来ているK先生です。当院に来るようになって2年ですが上手くなったと思います。自分が狭心症になった時に、彼にPCIをしてもらってもよいかと思うくらいにです。
 さて写真は本日のCTの方です。5年以上前に近くの病院で多数のCypher stentの植え込みを受けておられます。ステント内が何ともきれいに描出されています。これなら文句なしです。技師さんにもGEさんにも今回の導入の目的はステント内の評価だと言い続けてきました。限界ですよと努力しない人もいますが、願えば叶うようです。せっかく来てもらった装置です。その装置の最大の能力を引き出してあげることは私と技師さんの義務だと思います。マンネリにならないように気を引き締めてきれいな像を撮影し、正しい評価を続けなくてはなりません。
 本日はこの方を含めて4人の冠動脈CT、1人の腹部大動脈瘤の評価を行いました。12時半にはすべての説明が終わりました。質もスピードも申し分ないです。

2010年10月7日木曜日

嫁をほめる亭主、子供をけなす親


2010.10.4 冠動脈CT

2010.10.7 PCI前
   本日、GEの技術スタッフが来院されました。Optima 660CT proの開発に関わったスタッフも含めて6人の来院です。GEの社内で私のブログが話題になっているそうで、「褒めていただき感謝しています」との言葉を頂きました。一方で「褒めすぎではないかとも思う」と本音を言われた方もおられたので、私は嫁を褒める亭主だよとお話しました。「身近に結婚してよかったという人なんかいない」と言ったタレントがいましたが、確かに嫁をけなす言葉を話題にする亭主は少なくありません。しかし、縁あって結ばれたのに、けなしあっていて幸せなのでしょうか。お互いの良いところを高めあい、欠点を補い合い、結ばれて良かったと思うのが幸せのように思います。
 CTの更新は少なくない投資です。より高いスペックの装置があることも十分に承知ですが、一大決心をして結ばれた装置です。もっと良い嫁がいたのにと後悔したくありません。その存在を認め、良いところを高めて、欠点を修正して、その縁を否定せずにその縁を喜ぶことが私の幸せであり、嫁に出してくれたGEさんの幸せと思います。だからこそ、このブログで良いところを見つけ、欠点を修正しようと思っているのです。本日、気になることがありました。ステント内の評価を議論している時に、この装置の限界なんですよねと発言するGEスタッフがいました。次の改善に向けて開発中ですと言われるのです。嫁に出した娘のことをこの子の限界なんですよね、次の子に期待してくださいと言う親がいるでしょうか。もちろん、これがGEの全てではありません。今あるフィルターやアプリケーションを使って最大限の画質を出そうと、東京への帰りの便を遅らせてくれたGEのスタッフもいます。けなしあうことからは何も産まれません。わたしはこれからも私が選んだ装置をほめ続け、私の選択を肯定し続けると思っています。
 本日のPCIのケースです。左肩の痛みが最近急に出てきた方です。10年前にステント植込みを受けておられます。冠動脈CTでステント内の狭窄を認め、本日PROMUSを植え込みました。術前に予想がついている病変へのPCIは楽チンです。造影が終わり、PCIをすると決めた後、PCIは10分で終了でした。

2010年10月6日水曜日

GEのecomaginationとhealthymagination

鹿屋ハートセンターの電子カルテ

  64列MDCT導入後、担当の技師さんは16列の時代と比べて世界が変わったと言っています。私には言いにくいのか他の職員に、被ばくが16列時代と比べて格段に少なくなった、造影剤の使用量が半分になった、息止めの時間が短くなったなどと良いことばかりだと嬉しそうに話しているそうです。実際、息止めの時間は10秒足らずになり、短い息止めのため途中で息をしてしまう方は激減しました。また、撮影に20数秒かかっていたのが10秒足らずになったためにその間に不整脈が出る確率も減りました。その結果、16列時代と比べて冠動脈を評価するに足るきれいなCT画像が撮れる成功率が格段に上がりました。
 造影剤に関しても16列時代には100mlを使用していましたが、今は体重X0.7ml+10mlの使用です。50kgの女性であれば45mlのみの使用です。高額な造影剤の使用が減るわけですから経済的な負担も少なくなりますし、腎臓に対する悪影響も少なくなります。16列時代には、カテでは50mlも造影剤を使用しないのにCTでは100mlも必要だからカテの方が良いと私自身も思っていましたが、64列になってカテよりも少ない造影剤で評価出来るためにカテに対するこだわりもずいぶんと少なくなりました。64列と16列の違いは、私にとっても冠動脈を評価する世界観が変わるほどの違いなのだということが両方を使ってみてよく分かりました。16列時代にはクレアチニンが1.2を超えるとカテのほうが良いかと考えてCTを撮りませんでしたが、造影剤が50mlですむのならもう少しクレアチニンが高くてもCTでも良いかと思い始めています。
 写真は、本日のPCIのケースです。左のCTでは石灰化を伴う狭窄に見えますが狭窄程度の評価は微妙です。右の造影では75-90%狭窄です。IVUSでは強い石灰化を伴うtight stenosisでPROMUSを植込みました。写真は2 monitorにしている私の診察室のパソコンのprint screenです。造影とCT画像等、複数の画像を電子カルテから呼び出し並べて評価することが可能です。もちろん造影を2つ並べて以前のものと比較することも簡単です。これは当院の画像サーバー、GEのXI2のweb serverから電子カルテで呼び出して見ているからです。ブログを始めてみて数年前の複数の造影を呼び出し、CT画像も呼び出してという作業をしていますが、このような画像サーバーがなければどれほど大変な作業になっただろうと思います。
 Optima CT660proに更新したことで消費電力が減り、造影剤の使用が減り、被ばくが減り、患者の経済的・肉体的な負担が減ります。また導入する医療機関の経営にもやさしい価格設定です。画像サーバーを電子カルテと連動させることで、大幅な時間の節約が可能ですし、比較するという作業を通じて、診療の質も向上すると思っています。GEのecomaginationは環境と経済の両立というコンセプトと聞いています。また、healthymaginationはこれに加えてより多くの人がより健康的に生活が送れるようにというコンセプトだと理解しています。Optima CT660proの導入と4年前から当院に存在する画像ネットワークはこうしたコンセプトにうまく合致しているようです。

2010年10月5日火曜日

64列MDCTによる冠動脈内ステントの評価は大事な今後の課題です

2007年 Cypher stent植込み後

2010.10.05 冠動脈CT

















本日の冠動脈CTの方です。2007年に前下行枝と第一対角枝にCyper stentを3.5mmと2.5mmの2本使用しT stent(mini crash)にした方です。
半年後の造影で再狭窄はありませんでした。その後も無症状です。しかし、最近のcypher stentのlate catch-upの報告を見ると何年も放っておくのもためらわれます。そこで本日CTで評価しました。きれいにTの字にステントは植え込まれています。しかし第一対角枝側のステント内はlow densityです。これは再狭窄を意味するのでしょうか。あるいは金属で出来たステントによるartifactなのでしょうか。16列CT時代には、まったくステント内の評価をしてきませんでしたので当院にとってステント内のCTによる評価は今後の重要な課題です。昨日のCTではステント内はきれいに見えるけれども内膜肥厚を見逃しているのではないかという疑問を持ちましたが、本日は反対の疑問、ステント内はlow densityだけれども本当に再狭窄なのかという疑問です。CTで冠動脈内ステントを評価する時に影響する因子は何なのでしょうか。ステント径も、ステントのstrut厚も影響するでしょうが、それも撮影方法や、画像構成時に克服しなければなりません。明後日、GEの技術スタッフが導入後のフォローのために来院されます。よくディスカッションをして克服の為の努力をしなければなりません。

2010年10月4日月曜日

冠動脈内ステントの64列MDCTによる評価

2010年10月4日の冠動脈CT

2007年9月AMI発症時 血栓吸引後



2008年3月 F/U CAG

 2007年9月にAMIとなり、Driver stentを植え込んだ方です。血栓吸引前は完全閉塞でしたが、血栓吸引後の像では、破綻したプラーク像がよく見えます。この病変に対してDriver stentを2個植込みました。
 半年後の造影では、ステント内に有意ではない再狭窄が認められますが、TLRは不要です。
 最終の造影から2年半が経過し、この病変が大丈夫かと64列MDCTで評価を行いました。CTでは2個のstent間のgapもきれいに描出され、再狭窄もありません。良い結果だと説明させていただきました。
 しかし、このブログのためにこうして造影と並べてみると、不思議です。2年半前の再狭窄はどうなったのでしょうか。regressionしたのなら問題はありませんがCTが過小評価し、pseudonagativeなら大変なことです。regressionなのか過小評価なのかはっきりさせる為に造影を見てみたい気持ちで一杯です。しかし、症状もなく良い結果だと思うけれどもそれを確かめる為に造影させてくれとは言えません。また、そんなことで保険診療してもいけません。この方の経過を注意深く見ていくしかありません。

2010年10月2日土曜日

なぜOptima CT660proなのか 機種選定にまつわる色々

新規導入したOptima 660 pro

Workstationは新旧2台が稼働

 高額医療機器の購入にあたって考えなくてはならないことはたくさんあります。勤務医時代には最高スペックを求めたものです。しかし、自らがオーナーになって導入する場合には身の丈に合ったものでなければなりません。
 4年前に16列を導入した時には、対象となる患者さんが導入コストに見合うだけ存在するかも分らなかったわけですからとても64列を導入する決断はできませんでした。開設から4年を経過した今は、非有意狭窄であったために経過を見ている方や、PCI実施後何年も冠動脈造影をしていない方など対象となる方が少なからず通院されています。それでも田舎の小さな施設ですので、1日に何人も対象となる方がいらっしゃるわけではありません。
 昔からよく知っている大阪の大病院で勤めている先生は64列導入にあたって1日7人のCT検査を目標に設定されました。また北九州の循環器で有名な病院は64列導入にあたって設定した目標は20人とうかがっています。
 1億円の機器をリース設定した場合、年間リース料はおよそ2千万円で6年間支払うことななります。これとは別に保守料や、時に管球の交換が必要であり平均すると1500-2000万円程度が1年に必要になります。この年間3500-4000万円の負担とは別に電気代や人件費が発生します。冠動脈CTの診療報酬は1万4千円、冠動脈加算をとっている場合には2万円です。当院では1万4千円ですから4000万円をペイするためには年間2850人程度の検査が必要になります。これだと日曜祝日を除き、土曜日まで含めて毎日10人の方の検査をしてトントンという計算です。実際の問題として鹿屋ハートセンターにはこれほど多くのCTを必要とする方はいらっしゃいません。1億円のCTは鹿屋ハートセンターの身の丈に合っていないということです。身の丈に合わない投資をすれば持続可能な施設を作り上げるという目標を達成できません。それでも採算を追い求めるのであれば検査の不要な方に検査を実施して、良心を裏切らなくてはなりません。良心を裏切る選択を私は決してしたくありませんので、やはり1億円のCTの導入は無理だということになります。
 今回のOptima CT660proに決定した理由は、身の丈に合っていたからです。鹿屋ハートセンターに通っておられる方、今後通われるであろう方に、決して無理せずに必要な時期に検査を受けていただくだけでトントンになるだけの初期導入費用、ランニングコストを提案していただいたために導入を決めることができました。もちろん安かろう悪かろうでは話にはならないので、このブログの場でその質は検証してゆきたいと思っています。
 CTの時代のトレンドは64列を超えた更なる多列化です。ホームページで見ると東芝のCTの製品情報のトップの機種はzone detectorを使用した320列相当の機種、Phillipsのトップの機種は256列、Siemensはdual energyです。これらの機種に手が届かないのは分かっているので実際の導入価格の相場も知りませんが、1億の機種でも最低1日10名の検査が必要なのに数億の機械を導入してペイする医療機関は日本にいくつ存在するのでしょうか。ちなみにGEのCTの紹介のトップの機種は当院が導入したOptima CT660proです。もちろんGEにもdual energyの技術や多列のCTがあるにもかかわらず、トップの紹介はOptima CT660proなのです。明らかに他社と方向性が異なるように私には見えます。日本の診療報酬の実態にそぐわない高額医療機器の普及は、病院の経営を圧迫するだけではなく、日本の医療体制全体にも負荷をかけかねません。患者に対する不要な検査にも繋がりかねません。そのなかでHealthymaginationEcomaginationを社是とするGEの社風も今回の決定の大事な要素であったと考えています。

2010年10月1日金曜日

2010/10/01のPCIケース 冠動脈CTで発見できた2枝病変例

右冠動脈拡張前
 本日のPCIのケースは60歳代の男性です。脂質代謝異常です。労作時の呼吸苦が主訴の方でしたが負荷心電図は陰性でした。 冠動脈CTで右冠動脈のdiffuseな狭窄、左冠動脈回旋枝の分岐部に高度狭窄を認めました。
 狭心症が疑われるが、運動負荷心電図が陰性の場合、次の対処はどうすべきでしょうか。一つのオプションは負荷心筋シンチです。しかし、心筋シンチのコストと冠動脈CTのコストを比較すると圧倒的に冠動脈CTが安く済みます。シンチでは機能的に虚血になっているか否かを評価はできますが、その正診率とコストを考えれば冠動脈CTが優るように思います。

 
左冠動脈 拡張前

左冠動脈拡張前

 右冠動脈の#1-#3までのdiffuse 99% stenosisに対するPCIは1週間前に終了しました。本日は回旋枝の#13-#14分岐部の狭窄に対するPCIです。この方はプラビックス内服後に全身に薬疹が出現したためにプラビックスを中止し、プレタールに変更しています。このため分岐部であってもなるべくシンプルにkissing stentを回避し、1 stent+ballooningで終了を目指しました。使用するstentはEndeavorです。ブラビックスが内服できないためなるべく早く内皮がはるDESを選択しました。
 #13へのwiringはwireを反転させる操作が必要で難儀しましたが、結果的には#13方向にEndevor stentを置き、#14に対してはballooningで終了しました。結果には満足です。
 負荷心電図陰性のこのケースで冠動脈CTなしにここまでたどり着けたかを考えてしまいます。冠動脈CTは確実に循環器診療を変化させています。

右冠動脈 Endeavor stent植込み後

左回旋枝 Endeavor stent植込み後