Fig. 1 RCA wvaluated with 64-row MDCT |
Fig2. Before and after PCI |
本日CAGを実施しました。Fig. 2の左側の像ではやはり右冠動脈内にやはり造影されない隔壁を認めます。破綻したプラークがulcerated plaqueとなり器質化したのでしょうか。自然解離が器質化したのでしょうか。IVUSで評価しようと決めました。
Fig. 3 IVUS befer PCI |
ちょうど、この方のカテ中に外来で呼ばれたためにいつも応援に来てくれている先生に任せて、IVUSで見ててねとお願いしました。外来での診察中、IVUSカテが狭窄を越えないと報告があったので、ではPCIをするしかないねとPCIの実施をお願いしました。また、すぐにコールがあり2.5㎜のバルーンも通過しないというので私もカテ室に向かいました。
私も清潔になりバルーンをクロスさせようとするとやはり通過しません。造影所見以上の高度狭窄かと考え、1.25㎜のバルーンで通過を図る、KIWAMIを使ってバックアップ力を高める、色々せずにRotablatorが実施できる病院に紹介するなど種々のオプションを考えました。
しかし、合点がいかないのです。CTで強い石灰化があるわけでもなく、造影上は内腔は保たれており、IVUSの結果、PCIをしないということになるのではないかと予想していたからです。PCIをお願いする前にRCAはdouble barrelになっているのでどちらにワイヤーを通すのが正解なのだろうと思っていたことを思い出し、ワイヤーを一旦、抜き、再挿入しました。するとバルーンもIVUSもするすると通過するのです。
そのIVUS像がFig. 3です。一部は完全にdouble barrelになっており一部は真腔と交通しています。おそらく"偽腔"にワイヤーが通過してデバイスが通過しなかったものと考えました。真腔をワイヤーがとらえた後の造影では解離腔が拡がって造影所見が悪化していたためにステント植込みを行いました。
PCI後、応援の先生とディスカッションです。何故、細径のバルーンを使用したりバックアップを強めてバルーンの通過を図らなかったのかと質問を受けました。私はPCI前に得られていた所見からバルーンすら通過しないシナリオを想定していなかったのと、このdouble barrelの間違った方にワイヤーが通過している可能性を考えたからだよと答えました。
最近のデバイスの通過性は高く、多くの病変をクロス可能です。このクロスが困難でもバックアップ力を高めて、病変を通過させることも可能です。アンカーリングであったり子カテを使ったりです。事前の情報がなければ、こうしたテクニックを選択したかもしれません。しかし、予想したシナリオと大きく手技が解離した場合、ふりかえって考えることが重要だと再認識です。このままテクニックを駆使して解離腔で拡張を行っても無事にPCIが完結することも考えられますが、バルーンの拡張後に完全閉塞になっていたかもとも考えます。
事前のシナリオ通りにいかないPCIも少なくないですが、シナリオと解離した時の瞬間的な洞察力は種々のテクニックに勝るかもと改めて勉強になりました。
興味深い症例ですね.
返信削除似たような症例を2度ほど経験しました。いずれもCT所見が同じだったのですぐにピンと来ました。私の場合よっぽどの事が無い限り最初に使うguide wireがNeos Softですので、guide wireが通らずすぐに解離腔だなと判断出来ました。wireが解離腔をスルーして再度真腔にクロスしたのでしょうか。無理矢理やったら血管をつめていたかもしれませんね。この時に使ったGuide wireはどのようなものだったのでしょうか?
コメントをありがとうございました。ワイヤーがTrue pseudo Trueを通過したのだと思います。当院ではRunthrough extrafloppyをfirstで使うことが多いです。この例でもそうでした。
返信削除すぐのお返事ありがとうございました。数々の大変に勉強になる内容で満たされていますね。これからも楽しみに読んでいきたいと思います。
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