2010年10月1日金曜日

2010/10/01のPCIケース 冠動脈CTで発見できた2枝病変例

右冠動脈拡張前
 本日のPCIのケースは60歳代の男性です。脂質代謝異常です。労作時の呼吸苦が主訴の方でしたが負荷心電図は陰性でした。 冠動脈CTで右冠動脈のdiffuseな狭窄、左冠動脈回旋枝の分岐部に高度狭窄を認めました。
 狭心症が疑われるが、運動負荷心電図が陰性の場合、次の対処はどうすべきでしょうか。一つのオプションは負荷心筋シンチです。しかし、心筋シンチのコストと冠動脈CTのコストを比較すると圧倒的に冠動脈CTが安く済みます。シンチでは機能的に虚血になっているか否かを評価はできますが、その正診率とコストを考えれば冠動脈CTが優るように思います。

 
左冠動脈 拡張前

左冠動脈拡張前

 右冠動脈の#1-#3までのdiffuse 99% stenosisに対するPCIは1週間前に終了しました。本日は回旋枝の#13-#14分岐部の狭窄に対するPCIです。この方はプラビックス内服後に全身に薬疹が出現したためにプラビックスを中止し、プレタールに変更しています。このため分岐部であってもなるべくシンプルにkissing stentを回避し、1 stent+ballooningで終了を目指しました。使用するstentはEndeavorです。ブラビックスが内服できないためなるべく早く内皮がはるDESを選択しました。
 #13へのwiringはwireを反転させる操作が必要で難儀しましたが、結果的には#13方向にEndevor stentを置き、#14に対してはballooningで終了しました。結果には満足です。
 負荷心電図陰性のこのケースで冠動脈CTなしにここまでたどり着けたかを考えてしまいます。冠動脈CTは確実に循環器診療を変化させています。

右冠動脈 Endeavor stent植込み後

左回旋枝 Endeavor stent植込み後

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