Sunday, November 6, 2011

万卒は得易く一将は得難し 中日ドラゴンズのセリーグ優勝の日に

私は食通でもなければ、熱烈なプロ野球ファンでもありません。そんな私が、ネット上で食べ物を語ったり、プロ野球を語ったりすることは、電力やメモリーといったインターネット資源の無駄遣いだと思っています。私の中の倫理では、私しか語れないこと、あるいは、私が語ることに意味があることに限ってインターネット資源を利用させて頂くべきだと思っています。ですから極力循環器分野のことしか書かないようにしています。もちろん、一度アップした画像を再度リンクではなく新たな画像としてアップするようなことは、私の中ではネチケット違反です。

そんな私がセリーグ優勝を中日ドラゴンズが決めた、今日、落合博満監督について書こうと思っています。

5年生になる息子とよく2人で話をするようになりました。彼はホークスファンであり、レギュラーでもない選手の名前もよく知っていますし、ホークス以外の選手の名前もよく知っています。その彼がどうして優勝したチームの監督が解任なのかと訊いてきました。私は、ナゴヤドームの入場者が減り、経営的な問題で解任らしいよと答えました。すると彼は、お客さんを呼ぶのは球団の仕事で監督の仕事は勝つことだろうと、私の思っていることと全く同じ意見を言います。彼がホークスの試合を見たいのは、秋山監督を見たいのではなくホークスが勝つところが見たいのだと言います。また、ホークスはソフトバンクと一体となって、観客を増やす努力を一生懸命やっているではないかと言います。レプリカユニホームを配ったり、応援旗を配ったりです。私は中日ドラゴンズの集客のための努力を知らないので何とも言えませんが、ダイエー時代よりもソフトバンクになって確かにホークスの集客努力は活発になったと思っています。息子はホークスファンですので日本シリーズでのホークスの勝利を期待していますが、少しだけ落合監督だから中日にも勝たせたいという気持ちがあるとも言っています。

今日、こんなことを書くのは私たちの分野にも同じような話があるからです。以前からよく知っている先生、PCIの上手な先生です。私の目から見ても上手だと思いますし、以前勤めていた公的病院では国内有数の症例数でした。その先生と6-7年前に会った時にその先生はHappyではないと言われるのです。循環器はカテーテルやステントの価格が高いので一見、売り上げが多く見えるが、利益率が低く病院経営の足を引っ張っていると会議でいつも責められると嘆いておられました。このため、安く病院に納入できる一流メーカーのものではないバルーンを使ってPCIをしていると言われました。匠に良い道具さえ与えない病院です。確かにHappyである筈がありません。また、匠を大事にしない病院の経営が良い筈もありません。この後、この先生はこの公的病院を退職され、自らが院長の病院を立ち上げられるや、すぐに国内有数の症例数となり大活躍です。最近はあっていませんがきっとHappyなのだと思います。

国内有数の症例数と、技量を持った先生がいて、その病院の経営に問題があるとしたら、その先生の問題でしょうか。私は、中日ドラゴンズと落合監督の関係のように、やはり経営に携わる幹部の責任だと思います。

「万卒は得易く一将は得難し」です。

中日ドラゴンズは落合監督以上の監督をたやすく得られるのでしょうか、退職を迫った病院は国内でもトップ10に入る辞めた先生を上回る先生を得られるのでしょうか。

稀にみる名将を失う経営を担うトップは、最近、伝記を読んでいるSteve Jobs風に表現すれば、バカばっかりと言うのかもしれません。

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