Tuesday, November 1, 2011

iCloudを使い始めて考えたこと Cloudが作る近未来の医療は日本で可能か

かつてはDocomoの携帯電話を使っていましたが、ここ数年は同じ電話番号でauに変えていました。医師の仲間の多くがiPhoneを使い始める中で、また携帯電話会社を変えるのにも抵抗がありずっとスマートホンとは無縁でした。そんな私がauがiPhoneを発売することになったために携帯をiPhone4sに変えました。

2011年10月6日付当ブログ「Stay hungry, stay foolish」に書いたようにかつての私はMac userでした。このためappleの製品に興味がなかったわけではなくiPod touchやiPad+wifiは持っていました。iPhoneを購入したと同時にすべてにiOS5をインストールして使い始めました。iPod touchを使っていた私から見て最も大きなiOS5の違いはiCloudです。カレンダーも連絡先もリマインダーも一つのデバイスで入力すると直ちに他のデバイスにも反映されています。また、「iPhoneを探す」も「友達を探す」もiCloudからiPhoneの情報を持ってきます。今はWindows userですからドキュメントをCloud上に置いてという使い方はしていませんが、これならKeynoteで作成したプレゼンテーションをcloud上に置き、iPhoneやiPadで呼び出してプレゼンテーションというのも悪くないなと思ってしまいます。

Cloud computingという言葉はよく聞いていましたが、実際に使い始めて役に立つコンセプトだとよくわかってきました。しかし、考えてみれば、鹿屋ハートセンターで使用しているセコムの電子カルテは自院にサーバーを置かず、遠隔地にあるサーバーに蓄えられた診療録であるデータをインターネットで呼び出す形態ですから、既に5年も前からクラウド型の電子カルテを使用していたことになります。最近ではセコムの電子カルテの広告にもクラウド型の電子カルテと謳っています。最近まではASP(Application Service Provider)型電子カルテと言っていましたが…。クラウドの実感がなかったのは、鹿屋ハートセンターからほとんど出歩かないので院内のLANからデータを呼び出す場合と使い勝手に違いがないために気付かなかっただけでした。遠隔地にあるサーバーからデータを呼び出す訳ですから、自院のみから診療録を呼び出せるだけではありません。認証された患者さんもカルテを見ることができますし、使う側の私たちもiPhoneやiPadから電子カルテを呼び出すことが可能で、出張中もカルテを参照可能です。

5年間のクラウド型の電子カルテの使い勝手ですが、2年ごとの診療報酬の改定もサーバー側でやってくれるために制度の変更ごとの苦労を経験したことがありません。私は使える!と感じていますが、最近の雑誌「ダイアモンド」の中では最も大切なデータである診療録を業者に預けでもしたら、電子カルテ業者にすべてを握られて身動きがとればくなるというような記事が掲載されていました。私は、そうは思いません。診療録は医療機関のものですし、契約時に「契約解除時のデータ返還」に関する契約を取り交わしておけば済む話だと思っています。

では、鹿屋ハートセンターの電子カルテはクラウド型なので院外でもすべての情報にアクセスできるかといえば違います。画像データは院内のサーバーに置かれているのを電子カルテから呼び出す形です。このため院外で診療録を見ても院内の画像サーバーまでの接続は許可されないので画像は参照できません。画像はクラウドではないのです。

2011年3月1日、GE healthcareとSoftbankからこの分野に関わるプレスリリースがありました。クラウドコンピューティングを用いた画像のデータホスティング事業の共同展開を発表したのです。2つの離れた土地に置かれた画像サーバーに画像を置くことで災害に強く、どこからでも画像にアクセスできるというサービスです。くしくも東日本大震災の10日前の発表です。こうしたクラウドコンピューティングを用いた情報の共有は、このプレスリリースからの情報ですが、韓国、カナダ:オンタリオ州、フランスで始まっているそうです。日本でも「どこでもMY病院」というダサい名称でコンセプトは提起されています。

私は当ブログで再三再四、ネットワーク化された医療の電子化の未来を信じていると述べてきました。そうした私から見て、日本の診療情報がクラウド化され、各医療機関がネットワークに結ばれるバックグランドは既に存在すると思っています。セキュリティはどうするのか、コンピュータを使えない医師はどうするのかという議論は枝葉末節の議論だと思います。2011年4月6日付当ブログ「この国の明るい未来のために」に記載したような議論、このシステムの構築には初期投資として10兆円がかかるが、毎年5兆円の医療費の削減が可能であるというような議論を待ちたいものだと思います。

1 comment:

  1. 院長先生殿
    はじめまして

    福岡で、OsiriXの導入保守サポートを行っております。
    iCloudを利用して、iPhone,iPadでの画像参照などの
    システムをご提案させて頂きたいと思っております。

    ご興味ございましたら、ご一報下さい。

    osirix_kyusyu@yahoo.co.jp

    安藤浩二

    ReplyDelete