2012年1月16日月曜日

腎動脈完全閉塞に対するPTRA

 本日の腎動脈ステント植込みの方です。75歳代中盤の男性です。安静時の胸痛があり年末に受診。2剤の抗血小板剤のローディングをして1/4に右冠動脈#1の90%狭窄に対してPROMUS stentの植え込みを行いました。

PCI患者さんにルチーンで検査している腎動脈エコーで右のPSVは284.97㎝/sで左は212.87cm/sとともに上昇しています。RARはそれぞれ3.41と2.55とやはり高値です。(Fig. 1)

病変の性状を見て、PTRAの戦略を立てようと施行したCTがFig. 2です。やはり右腎動脈には高度狭窄があり、開存している内腔も定かではありません。病変のCT値は低く石灰化は認めません。

CT所見より高度狭窄を予想するとともに、distal emboliを危惧し、distal protectionをするつもりで手技に入りました。ガイディングは4.5F ペアレントです。Fig.. 3は本日のPTRAのコントロール造影です。PSVの値がしっかりと出ていたので高度狭窄で閉塞ではないと思っていましたが完全閉塞でした。1/4のエコー検査から本日1/16までの間に閉塞したものと考えました。この間に腰部の症状は全くありませんでしたしクレアチニンの上昇もありませんでした。

ペアレントから末梢用のrunthroughで病変をクロスしようと試みましたが全く歯が立ちません。一番槍をサポートに使っても同様です。冠動脈用の3Gを使用してようやくワイヤーは進みましたが一番槍は通過しません。1.5㎜のMedtronic legendを使用してようやく病変通過。次いでIVUSでtrue lumenをとらえていることを確認し、3.0㎜でさらに拡張。最後にGenesis stent植込みを行いました。ワイヤー通過にもバルーン通過にも難渋したためにdistal protectionはできませんでした。

最終の造影で若干のslow flowを認めます。

冠動脈に対するPCIもそうですが、病変の通過や拡張ができなければ何も始まりません。しかし、拡張ができたからと言ってよいことができたかどうかは分かりません。今回の拡張・再開通で、萎縮気味であった右腎臓は甦ってくるのか、逆にslow flowを起こしたことで悪化するのかその評価が大切です。術後、夕方の回診では腰痛などの訴えはありません。明日は逸脱酵素のチェック、エコーでの評価です。そして少し長い目で腎機能を追っかけなくてはなりません。

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