カルテが電子化されていなかった頃、カテが終わってカルテの記載を始めようと思っても看護師さんが看護記録を記載中にはその記載が終わるまで待たなければなりませんでした。また当時は画像もネットワーク化されていなかったので、胸写を確認した後にフィルムを所定の位置に戻し忘れたりすると看護師さんから誰が片づけると思っているのか、余計な仕事を作らないでくれと叱られたものです。現在の電子化されたカルテでは看護記録の記載中であっても、医師はカルテの閲覧・記録など同時アクセスが可能なのでカルテの争奪戦など起こりません。電子カルテしか知らない世代の先生は、昔は大変だったんですね等と思うかもしれませんがそんなに昔のことではありません。
以前にも書きましたが当院で使用している電子カルテはセコムのものです。カルテ情報は院内のサーバーにはなく、セコムクラウドサーバーと呼ばれる遠隔地のサーバーにあるカルテ情報をインターネット経由でやり取りする方式です。この方式であれば個々の医療機関でサーバーのメンテナンスが必要なく、診療報酬の改定なども遠隔にあるサーバーで更新すれば済むことなのでユーザーの負担が少ないのです。それが当院で導入を決めた理由です。
遠隔地にあるカルテ情報が収まっているサーバーにインターネットでアクセスするのですからカルテはどこからでも閲覧・記録が可能です。それゆえセコムではこの電子カルテをユビキタス電子カルテと読んだりクラウド型電子カルテと呼んでいます。とはいえ、ほぼ鹿屋ハートセンターから出ることのない私は、インターネットに接続された院内ネットワーク以外からカルテにアクセスしたいとは思っていませんでした。ところが最近は施設を閉めて学会に出かけたりするようになってきたので院外にいる時にもカルテにアクセスできた方が便利なのではないかと思い始めました。
患者さんにお教えしている私の携帯電話に色々と電話がかかってくるのです。前にもらった薬を飲んでから湿疹が出るのだけれどもどうしたら良いかとかです。もちろん、すべての患者さんの処方を覚えているはずもありませんし、飲んでいる薬はいつ頃処方された何ていう薬ですかと聞き返しても多くの場合、要領を得ません。前にもらった赤い薬ですよ等と言われても判断に困ることもあるのです。
つい最近、WiMAXのついたパソコンを購入したのでセコムの電子カルテの仕様である遠隔地でも電子カルテにアクセスできるVPNに入る証明書のインストールを行いました。訪問診療などに使用するためのものです。それを使って閲覧した電子カルテが図です。WiMAX経由で閲覧可能でした。これでどこにいても処方の確認や熱計表の確認が可能です。パソコン立ち上げ時にパスワードを入力し、VPNに入るのにパスワードを入力し、ユーザー個々に与えられているUSBキーを挿した状態で電子カルテのパスワードを入れて初めて使用可能になるので立ち上げまでは煩雑ですが、モバイル環境での安全を考えれば仕方がないと思います。クラウド利用ですからパソコンを紛失してもパソコン上には何のカルテ情報も残っていません。
便利な時代になりました。インターネット抜きにもう医療は成り立たない時代です。学会場でも宿泊先でもカルテは何時でも私と一緒にいます。
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