前回国保連合会に電話で問い合わせた時には、担当事務は算定できないというルールはないので医学的な判断ではないでしょうか、医師ではない事務では分かりかねますという返事でした。
今回届いた審査委員会の文書では医学的な問題ではなく保険診療として認めるかどうかの問題だと内容が変わっています。鹿児島県国保審査委員会の審査基準は「冠動脈造影(心カテ)の一連の医療行為」という取扱いだとのことです。
心カテと一連になっていないIABPの使用というのはあり得るのでしょうか。今回の例のように重症3枝病変であることが造影で判明し造影剤が入るだけでショックになるような危機的な状況でもダメ、主幹部病変が見つかり不安定な状況でIABPを使用しても冠動脈造影を行ったからIABPは保険診療として認めない、心原性ショックでIABPを使用しショックの原因を見るために冠動脈造影をしても保険診療上は一連だから算定できない等と言い始めるとIABPを使用する場面は見当たりません。鹿児島県国保の診療報酬審査委員会はIABPを用いた保険診療の全否定を宣言しているに等しいと思えます。
また、他県で認められていても国保審査委員会においては各県の独自性があると言われます。いつから鹿児島県は日本の法律から独立し独自性を得たのでしょうか。国保連合会は国民健康保険法という日本の法律に基づいて設置された機関ですから、独自性などを持ち合わせているはずがありません。小さな局面で各県の審査委員会における解釈の相違は発生するでしょうが、この差は算定できないというルールがないものまで査定する権限を持っているというような独自性とは根本的に異なります。
平成25年7月24日に届いた文書では減点される請求点数は66,851円とありましたが今回の減点点数は8780点です。なにか無茶苦茶です。法に基づいて設置された機関であるにもかかわらず他の県と違うことをやっても良い独自性を持っているなどと文書に書くセンスが信じられません。
6万6千円とか8万7千円を惜しんでお上と喧嘩しても得しないよという大人の考えも理解できます。しかし、IABPは心カテの一連の医療行為だから保険診療として認めないなどということが固定化されることで、危機的な状況におられる患者さんの診療に問題が発生しないかを危惧しているのです。患者の救命のために保険診療として認められなくても努力すればよいではないかという考えもあるでしょうが、鹿児島県においてのみ危機的な状況で努力する医師の行為が否定されて、そうした努力をする医師のモチベーションが低下しないかを危惧します。また、危機的な状況で使用するIABPですから死に至る患者さんもおられます。死に至った患者さんから保険診療として認められない医療行為をしたのかと非難されることを恐れます。
危機的な状況で助けを求める患者さんが存在し、そこで努力している医師が存在します。危機的な状況での診療の根本的な問題です。大人の対応などを考えずに納得できる診療報酬審査委員会の回答を求め続けなければならないと思っています。
追記です。この件について他県の多くの友人から審査委員会と面談して説明を求めればよいと教えてもらいました。鹿児島県国保連合会に面談での説明を求めましたが、鹿児島県には現時点で査定に対する不服があり面談で説明を求めるという仕組みは存在しないと言われました。「議を言うな」という昔ながらの鹿児島県のお上に逆らうなという文化は健在のようです。絶望的な気分になります。
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