Saturday, December 18, 2010

BMS 植込み9年後に認められたfractureを伴わないステント内再狭窄の1例

Fig. 1 Coronary CT on 01, Nov. 2006
 本日の2例のPCIの中の1例です。60歳代後半の方で2001年頃に鹿児島市内の病院で回旋枝にステント植込みを受けておられます。BMSです。2006年の鹿屋ハートセンター開院直後から当院に通院されるようになりました。当時のLDLは97mg/dl でした。
Fig. 1に示す16列MDCTで撮影したステント内は一部にlow densityを認めますが 症状もないことより経過をみようと判断していました。その後も一貫して無症状で負荷心電図も陰性でしたが2010年4月にLDLは107mg/dl に上昇、12月には133mg/dl に上がっていました。この間にこの方の体重増は認めませんでした。
Fig. 2に示す2010年11月に64列MDCTで撮影したステント内は明らかなステント内再狭窄の所見です。Fig. 3は本日のPCIの造影です。回旋枝は99%狭窄です。Fig. 4はPROMUS stent 植込み後の造影です。

Fig. 2 Coronary CT on 06, Dec. 2010
半年ほどの急速なLDLの上昇の結果、ステント内の狭窄が起きたのでしょうか。このケースの経過をみると、血管に脂質が沈着するような脂質代謝異常の結果、LDL が上昇してきたかのようにさえ思えます。LDL と冠動脈狭窄の関係は脂質管理目標を達成しておれば良いというほど単純ではなさそうです。
また、この例のように無症状で負荷心電図陰性の場合、冠動脈CT検査や冠動脈造影の適応はあるのでしょうか。保険を審査する側の立場で考えれば、無症状で負荷心電図も陰性の方にこのような検査をするのはけしからんということになるのでしょう。しかし、そういった姿勢でこの方を見ていたとしたら、このCXは完全閉塞していたと思えます。再発し、進行する悪性疾患にも似た動脈硬化性疾患では無症状であっても定期的に検査が必要だとこのケースを見ていると思えます。
定期的な検査をという場合の間隔に一定のものはきっと存在しないでしょう。hsCRP の急な上昇やLDL の急な上昇のタイミングが適切なタイミングかもしれません。

Fig. 3 Before PCI on 17, Dec. 2010

Fig. 4 After PROMUS implantation on 17, Dec. 2010

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