Wednesday, April 6, 2011

この国の明るい未来のために

  • 化石燃料による発電を88%削減
  • 自動車の石油消費を38%削減
  • 輸入原油(現時点で1日1000万バレル)への依存を33%削減
  • 電力セクターの二酸化炭素排出量を95%削減
  • 自家用車による二酸化炭素排出量を38%削減
  • 二酸化炭素総排出量を48%削減
この高い目標は、だれが掲げたものでしょうか。日本国政府でしょうか、それとも今問題の東京電力でしょうか。いずれでもありません。一民間企業であるGoogleが2008年に提案した"Clean Energy 2030"です。ネット企業と思っていたGoogleです。この実現には2030年までに4兆4000万ドル(340兆円、85円で換算)のコストがかかるものの、5兆4000億ドル(459兆円)のreturnが期待できるとしています。この提案に沿って現実に米国のSmart gridの実現のためにGoogleはGEと提携しました。GoogleのClean Energy 2030とGEのEcomaginationのコラボレーションです。また、GEとの提携のみならず、「ITの力で、気候変動、貧困、疾病、といった現代のグローバルな諸問題に対処する」という方針のもとにGoogleは、太陽光発電や地熱発電に投資し、プラグインハイブリッドカーの普及に向けた取り組みを開始しています。このGEとGoogleの提携を知った時になんて壮大で夢のある話かと思ったものです。しかし、この提案のあった2008年当時、smart gridに関しては日本の電力供給は安定しており、日本は既にsmart gridのようなものだからこんな取り組みは不要だという意見が支配的でした。

しかし、今回の震災に伴う福島の原発事故で、日本の電力の供給は決して安定していなかったことが実証されたような気がします。先進国ではあまり例のない2つの異なる周波数の存在で西日本には余剰電力があっても東日本には供給できないなどの問題も明らかになりました。大前研一氏が3/25付の彼のブログで東西の交流周波数を統一させてやり取りが実現できるようにすべきだと提案していますし、3/28の日本経済新聞では日本にもスマートグリッドが必要だとの記事を載せています。交流電流の周波数の統一は終戦直後に議論されたことがあるそうですが立ち消えになったそうです。巨額な投資が必要な制度改革は平時には難しいのだと思います。今回の震災の復興が、元のレベルに回復することを目標にするだけではなく、新しい時代を切り開くものになってほしいと思います。

こうしたことをここ数週間考えてきましたが、、トヨタとマイクロソフトの提携が日本時間の4/7朝に記者会見で発表されるそうです。車載コンピューターの開発だけではなくプラグインハイブリッド車のためのスマートグリッド関連技術の開発も提携の目標となるそうです。この連携は、GEとGoogleの連携の目的にも似ているように思えます。全ての自動車が仮にプラグインハイブリッド車ないし電気自動車になった場合、従来のガソリンスタンドは今の形態で存続はできません。ハイブリッドではなくガソリンを使用しない電気自動車ではどうでしょう。ガソリンスタンドは不要になります。では、リッター10kmの燃費の車が400km走行するのに必要だった40リッターの燃料費6000円(リッター150円として)は誰に支払うのでしょうか。家庭にあるコンセントで充電して従来の電気料金体系で電力会社に支払えばよいのでしょうか。そうなった時に日本の電力供給は、今の体制で間に合うのでしょうか。化石燃料に頼る、原子力発電に頼るという形でよいのでしょうか。今回の震災がなくても次の時代に向けた電力供給は、日本にとっても大きなテーマであった訳です。今回の震災を機に当たり前と思っていた電力供給を考える機会ができました。

ネットワークに繋がった社会の明るい未来を信じる者として、そしてその実現には電力が不可欠であるわけですから、明るい未来が電力というエネルギーがボトルネックとなって実現しないということがないように活発な議論を期待したいところです。

しかし、海外への出張にビジネスクラスを使うのはけしからん、そんな無駄は仕分けだというのが政治主導というとすれば、日本の政治主導はコピー用紙の裏にメモを書けという程度のちっぽけなものになってしまいます。国会議員の給料を減らせという議論も同じようにちっぽけな議論に見えます。340兆円の投資をしても450兆円が返ってくるだけではなく、雇用も国の未来も創出されるだというような官僚にはできない大きな変革を提案し、実現させるのが政治主導だと思いたいものです。

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