Wednesday, February 29, 2012

受診患者さんが1万人を超えました。地域の信頼を測る指標

左の図は2/17に受診された高血圧の方の電子カルテ画面です。心機能にも腎機能にも問題ないために降圧剤の開始は見合わせて、生活習慣での降圧を図りましょうとお話ししました。この方で、鹿屋ハートセンター開設以来のIDが10000となりました。5年と5か月でようやくです。

来られれば診察をするにも拘らず、かかりつけの方でさえ心臓専門だからと遠慮され風邪ではあまり受診されません。まして初診で風邪で来られる方は皆無ですので、純粋に心臓だけの数字でまずまずかと思っています。

この間に約1000件のPCI、100件のペースメーカー植込み、100件の下肢のカテーテル治療、50件の腎動脈の治療を行ってきました。年間のPCI件数が1000件を超える大きな病院と比較すれば微々たる件数ですが、私にとっては少なくない件数です。鹿屋市は人口10万人ですから年間に10万人当り200件のPCIを当院で実施したことになります。北九州市は約100万人の人口ですから小倉記念病院のPCI実施件数は人口10万に当たり264件で当院より多い数になります。札幌市は190万人ですから札幌の藤田先生のところの実施件数は10万人当り90件程度になります。藤田先生のところにはまだまだ伸びしろがあるということだと理解しています。

年間に市内全域で1000件のPCIが発生しない人口の少ない土地での200件と人口の多い街での1000件を比べることにそもそも無理があると思っています。でも、朝日新聞も、読売新聞も数の手術件数の多い良い病院と表現します。小倉記念病院の延吉先生も札幌の藤田先生もその数だけで自分たちの施設の質を誇っているわけではないと思っています。私の眼から見て最も価値のあるPCI施設は、長崎県対馬のいづはら病院や、沖縄県宮古島の県立宮古病院などのその土地で唯一のPCI施設です。そこになければ困る唯一のPCI施設です。人も集まりにくい、十分な数のスタッフがいる訳でもないのに、その土地の循環器救急を守るために苦労されている掛け替えのない施設です。絶対数で見た件数は少なくともその土地のPCI件数の100%を実施している施設が最も価値のある施設だと思っています。

ちなみに大隅半島で実施されるPCIのうち当院での件数が占める割合(シェア)は約26%です。シェアで見れば離島のPCI実施病院の1/4の価値しかありません。おそらく小倉記念病院は北九州市のPCI件数の60%超のシェアがあり、都市部の施設では群を抜いて価値の高い施設ということになろうかと思います。札幌の藤田先生のところのシェアは札幌市の30%超というところでしょうか。もちろん、藤田先生のところのシェアが低くて価値の低い病院だと言いたいわけではありません。藤田先生は開設されて数年でこのシェアを取ったわけですし、今後、伸びしろの大きく残っている札幌で、シェアも実施件数も大きく伸ばしてより大きな価値のある施設になっていくことだろうと思っています。

当院のシェア約25%、札幌の1/3のシェア、北九州の2/3のシェア、離島の100%のシェアという概念が、その土地でどれほどの信頼を勝ち得ているかという指標のように思います。当院でのPCI件数は日本で有数という訳ではもちろんありませんが、私にとっては25%のシェアは決して少なくない誇れる数字だと胸を張りたいと思っています。

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