Fig.1 Balloon QCA during inflation |
Fig. 2 Stent QCA during inflation |
F1g. 3 Compliance chart of NC Quantum apex |
F1g. 4 Compliance chart of Xience V |
図2のステント拡張時も同様です。2.75mmのXience Vを12気圧で拡張しましたが、2回ともコンプライアンス表通りの2.97㎜にはバルーンは拡張しません。最少バルーン径は2回目でも2.52㎜です。
図1でも図2でもそうですが最少バルーン径以外のバルーン径は2回目の拡張時の方が少し大きくなっています。1度拡げたバルーンのコンプライアンス(圧応答性)は高くなり、同じ圧力でもより大きく拡張します。これが最近よく言われるようになった複数回の拡張の方がよりステントが拡張すると言われる所以だと理解しています。
硬くなり拡がりにくい血管を拡張するのに必要な力は、バルーン径が適切ならば、拡張圧しかないと思っています。決して広がることのない剛性の直径3.0㎜の鉄パイプの中で、3.0㎜のバルーンを20気圧で拡げても3.5㎜のバルーンで10気圧で拡げても広がらないことには違いはありません。ですから、血管を拡げない程度の拡張圧でバルーン径を上げて低圧で拡げるという戦術に私は懐疑的です。解離が発生しないように低圧の拡張で逃げてきたというようなPCIの話を、ステント以前はよく耳にしましたが、こんなやりかたでは不適切な拡張で終わるだけで再狭窄率があるいは依然狭窄率(広がっていない元々の狭窄が続いている状態)が高かったのは当然です。
この先、バルーン単独で終わるPCIが一定のシェアを取るか否かは、不明ですが、上述したようなコンプライアンスの理解なくバルーン単独のPCIが実施されれば再狭窄率は悲惨なものになると思っています。正しいバルーンコンプライアンスの理解と、知ることができない血管のコンプライアンスに打ち勝つための拡張圧の設定が重要なことは、現在のステント植込みに際しても同じことです。
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