Fig. 1 Before PCI 2007 |
Fig. 1に当時の16列MDCTで見たLADを示します。若干のpositive remodelingを伴う病変です。お若いので、バルーンで解離なくPCIができればと考え、実際にバルーンのみでPCIを終了しました。こうしたバルーンのみでPCIを終わるケースは、本当に少なくなりました。解離が原因でPCI後に急に悪くなることを避けたいのと、薬剤溶出性ステントによる劇的な再狭窄の発生の減少が期待できるからです。
Fig. 2に5年後の64列MDCT像を示します。狭窄のあった部位のpositive remodelingのように見えた像は、全く認められません。病歴を知らなければ、異常を指摘できないほどです。
Fig. 2 5 years after POBA 2012 |
こうしたPOBA後のCT像で病変をほぼ指摘できない方が他にもおられます。再狭窄を免れたPOBA後の冠動脈は殊の外、健常に見えるとの印象を持っています。
こうした像を見ると、解離が深刻ではなく、適切に拡張できた例ではルチーンにステントを置かない方が良いのかもしれません。問題はこの適切に拡張できたか否かですが、IVUSの評価が良いのか、FFRの評価が良いのかよく考えてみたいと思います。
POBAという言葉はe-Mailが普及し始めた頃に、従来の電話サービスを蔑んでPlain OLD Telephone Service(POTS)と呼んだことの真似から始まりました。ステント等のnew deviceが普及してきたのにまだ、バルーンだけで治療しているのかと蔑んでPlain OLD Balloon Angioplastyと呼んだのです。しかし、本日の例のように経過の良い例を見ると、そこを目指すのはPlain Oldとは言えないと思います。バルーンだけで適切に治療をし、経過も良いというところを目指すのですから、シンプルで適切なangioplastyという意味でPlain Optimal Balloon Angioplastyと目指すものを呼ぶべきだと思います。新しい概念のPOBAを今後のテーマに考えたいと思います。
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