Wednesday, June 20, 2012

Plain Old Balloon AngioplastyからDrug Eluting Balloonへ

一昨日の当ブログ「Plain Old Balloon AngioplastyからPlain Optimal Balloon Angioplastyへ」には思ったよりも大きな反響を頂きました。単純にPOBAだけで終わったケースのCT像があまりにも綺麗だったために載せたケースでしたが、Drug Eluting Balloon(DEB)との関係でBalloonのみで終わるPCIに一定の関心があるからだと分かりました。

DEBで薬剤溶出性ステント(DES)に匹敵する成績を出すためには種々の克服すべきテーマがあると思います。解離とrecoilをどうするかという問題です。バルーンで解離が起きればステントはもちろん必要になりますし、recoilの場合もそうです。では、解離とrecoilが認められないケ-スではDESと同じ成績が出るでしょうか?

DESではないBMSの初期の成績は悲惨でした。ステント血栓症で死亡するケースが少なくなかったのです。この悲惨な成績を改善させた答は、イタリアのDr. Colomboの提唱したチクロピジンの使用と高圧拡張でした。この提唱の後、Dr. Colomboは、ステント植え込みがなくても高圧でPOBAをすることによりステントに匹敵する再狭窄率が達成できるのではないかと考えられました。Stent Like Resultです。この考えからひどい解離が起きた時だけステントを入れるprovisional stentingという考え方もできました。また、バルーン単独で良好な拡張が達成できたかを検証するために、定量的冠動脈造影(QCA)とDoppler wireを使用したCoronary Flow Reservewを組み合わせた評価法も提示されました。Destini studyです。

DES後の再狭窄を規定する因子の一つは、拡張不十分です。DEBにおいても拡張不十分で終わるケースの再狭窄率は高いものになると思います。DEBでよい成績を出すためには、DES植込み時のような高圧拡張と、その結果得られたLumenの評価が必要です。解剖学的な評価にはIVUSやOCT、機能的には現在であればFFRでしょうか。こうして考えていっても、IVUSとFFRの同時使用は保険では認められないという厚労省の姿勢が邪魔になります。

DESで良好な成績が出るから、それ以上のことを考えなくてもよいではないかとの議論は十分に承知していますが、冠動脈に死ぬまで残る異物を残さないことで、長期のDAPTが回避できたり、stent fractureやlate thrombosisが回避できるのであれば、stent植込みをなるべく回避するという考え方にも一理あります。

Balloon単独でPCIを終了し、良い成績を出すための原点回帰、何気圧で、何秒間、何回の拡張を行うか、良好な拡張と検証するための評価はどうするのかなど、当たり前のようで知らなかったことを知るための努力が求められます。

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