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このように、狭窄があるからあるいは胸痛のような症状があるからといって、すぐにPCIを選択するのではなく、PCIを選択することで派生するリスクを考慮してPCIの実施を決定すべきと考えます。
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心房細動を合併する冠動脈疾患では、合併しない冠動脈疾患とは少し異なる適応でPCIを考えるべきだと思っています。カテーテル治療ができるからするのではなく、できるけれどもしないという選択が重要なケースが存在すると思っています。
下段の図は、EHRA practical guide 2015からの引用です。Elective PCIの場合、CABGやバルーン単独の治療も考慮しなさいと記載されています。私のPCIあるいはステント植込みをしないという選択もあるというのと同じコンセプトです。
また、この図の下には低用量のNOACも考慮しなさいとの記載もありますが、低用量のNOACとDAPTでは脳出血が少なく、ステント血栓症も少ないというエビデンスがあるわけではありません。一般にガイドラインはエビデンスに基づいて作成されますが、ヨーロッパでは循環器だけかもしれませんが、ガイドラインができてから裏付けるエビデンスを求めるという風に感じます。エビデンスが出るまで放置される患者を救うためにおそらく良いだろうと思われる戦略を先行させるという考え方にも一理あるとも思いますが、日本ではこのような方針を学会は提案できないだろうと感じます。
エビデンスに基づいてガイドラインを作成する日本循環器学会の心房細動ガイドラインにはDES植込み後の抗血栓療法をどうするかという記載は一切ありません。また、最終のガイドラインは2013年版です。毎年、更新されるヨーロッパとは熱心さが異なります。エビデンスがないから放置ということで良いのかと感じます。
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