2012年7月27日金曜日

薬剤溶出性ステント植込み後の非心臓手術 DAPT中止の決定に際してOCTによる評価

2008年に前下行枝に対してCypher stent植込みを行った方です。再狭窄があり2011年5月にPromus stent植込みを行いました。DES in DESです。その後再狭窄なく経過していましたが、腹部に侵襲の大きな手術の必要が生じ、抗血小板剤の中断は可能かと外科からの問い合わせです。

薬剤溶出性ステントの植込み後、長期にわたる2剤の抗血小板剤(DAPT)の投与には問題があるとの考えもあり、3か月で、6か月で、あるいは1年で中断可能などと様々な意見があります。もちろん、DAPTの必要な期間はステントによっても異なると考えられています。私は、出血や外科手術の必要な状況がなければ、積極的に止める必要もないだろうとの考えで積極的に中止する考えを持っていません。ステント植込みを受けるような方で、新規冠動脈病変の発症、脳や他の動脈の狭窄の進行などもあるからです。一方、積極的に可及的早期にDAPTを中止しようとの考えでOCTで内皮化を観察して内皮化が完成していれば中止するとの考えも広がりつつあります。私はこの考えに否定的でDAPTを中断するか否かを見る目的だけで冠動脈内にデバイスを入れるのは大袈裟だと考えてきました。

しかし、本日、内皮化の度合いを見る目的での初めてOCTを実施しました。図に示すように1年2か月を過ぎた、PROMUS stentの表面はほぼ内皮化が完成しています。ごくわずかに露出しているように見えるところもありますが、面積としてはごくわずかです。これならDAPTの中止は可能だろうと判断しました。もちろん、絶対にないとは言い切れないので、周術期に胸部症状が発現すればすぐに連絡をしていただくように外科にはお願いしました。

OCT所見に基づき、外科に方針をお伝えするという考えは悪くないと思います。今後も、外科からの問い合わせにはこうした根拠を持った返事ができるように努めたいものです。

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