2012年2月7日火曜日

この国の政策決定に論理や知性は介在しているのでしょうか

Google analyticsを見ていると2012年1月27日付当ブログ「医療の高度化に伴って増大する医療費」 に厚生労働省からのアクセスがありました。光栄なことです。「医療費 増加 要因 高度化」と言ったキーワードで検索され辿り着かれたようです。興味本位で同じキーワードで検索して辿り着いた2つのWeb上の記事をアップしました。

上段は日本医師会総合政策研究機構の論文で2011年10月26日付です。この論文の中で患者数は入院、外来ともに減少している、虚血性心疾患の総医療費は増加しており、医療の高度化などにより患者1人1日当りの単価が上昇しているものと推察される。入院患者数の減少は、平均在院日数の短縮化によるものであると記載されています。ここでいう患者数はですから絶対数ではなく入院延べ患者数を指していることが分かります。平均在院日数が短縮化する中で同じ治療を行えば1日単価は上昇するのは当たり前ですが、総医療費はむしろ減少するはずです。ですから総医療費が増大するのは医療の高度化による医療費の増加ではなく、延べ人数ではない絶対数で見た患者数が増えているからに他なりません。

下段の図は、慶応の経済学部の玉田康成研究会の名で出されている論文です。これが医学論文であれば「高度な技術を用いることによる検査費用・手術費用の増加を受け」と書けばそう書く根拠になった参考文献を示さなければなりません。しかし、無条件で根拠もなく高度な技術を使って医療費が増加していると論文には記載されます。

医師会総研も慶応の経済学部も論拠なくこのように「高度化による医療費の増大」と書きます。

この程度の論理で、この程度の知性でこの国の政策が決定されるとしたら本当に恐ろしいと思います。

100年安心と言われた年金の制度改革が一度も安心をもたらさずに崩壊したのもこの程度の論理や知性で決まられたからでしょうか?

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