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Fig. 1 Rt-CIA occlusion |
午前中に外来患者さんの診察を行い、午後から心カテという流れで毎日を過ごしています。できれば17時にはカテを終わって職員を帰してあげたいので午後の数時間がカテに充てられる時間です。本日は時間がかかると思ったので右の総腸骨動脈の閉塞の方1例のみです。
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Fig. 2 Intravascular ultrasound |
70歳代後半の方で、5年前の初診です。その2年前からASOと言われていたそうですから少なくとも7年の完全閉塞歴です。そけい以下が非常にきれいな方でしたので2007年2月にF-Fバイパスをしてもらいました。それ以後、順調に経過していましたが、今年2月に入って急に右下肢の冷感が出現し、僅かな歩行で跛行が出るようになりました。Fig.1は症状出現後のCTです。F-Fバイパスは閉塞しています。再手術、F-Fバイパスを開けに行く、native CIAを開けに行くという3つの選択です。2月に膝窩動脈から逆行性にCIAを開けに行きましたが、上がったワイヤーがどこに通じているのか確信を持てずにバルーニングまでできませんでした。
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Fig. 3 Final angiogram |
今回は上肢から順行性のアプローチです。貫通カテである「一番槍」を使用し、0.014ワイヤーのシステムで入りました。0.014ワイヤーを使用したのはIVUSを使う場面があると考えてのことです、ワイヤーは進みましたが、Femoralに抜けません。IVUSカテも進まないためにIVUSでの評価もできません。このため0.018ワイヤーに変えることにしました。「一番槍」の問題は0.018ワイヤーが通過しないことです。このため、カテ室に在庫してあったマイクロカテーテルの「Excelcior」を0.014ワイヤーにかぶせて進むところまで進めて0.018ワイヤーに変えることにしました。すると「一番槍」がつかえて進まなかった部位を超えて更にExcelciorは進みました。カテ室にたまたまあったので使用しただけでしたが、「一番槍」よりも通過性が良いことに気付きました。通過性が一番槍よりもよく0.014でも0.018でも使用できるとなればワイヤーの選択やIVUSの使用に大きな選択ができます。ワイヤーが-最後に抜けるところで手間取りましたが順行性のアプローチですから抜けるところは体表面エコーで確認可能です。血管内にあるところを確認して思い切ってワイヤー操作が可能でした。
Fig. 2は末梢にワイヤーが抜けた後の外腸骨動脈のIVUS像です。明らかに偽腔を通過しています。しかし、この部位での拡張しか選択はないと考え、4㎜での前拡張後にwall stentを植え込みました。次いでふさわしい大きさのバルーンでの後拡張ですが、偽腔ですから慎重に5㎜での後拡張から入りました。すると、6気圧程度でも痛みを訴えられます。痛みは外膜のストレッチのサインですからそうなると更に大きなバルーンや高圧をかける勇気は出ません。このままで終了しました。
本日のEVTを施行して感じたことですが、順行性のアプローチの場合、最終のワイヤー通過が体表面エコーで確認できるので、逆行性のように腹部で恐る恐るTrueに抜けるより安心だと感じました。バックアップが弱いという問題はあっても順行性を第一に今後は考えてゆきたいと思います。また、通過性も良く、0.014でも0.018でも使えるマイクロカテーテルと出会えたことは幸いでした。この方の今後ですが、初期成功は得たものの再狭窄のハイリスクです。密にF/Uして再閉塞を起こす前により良い対処をしなければなりません。
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