上段の写真は2010年12月21日付当ブログ 「64列MDCTで戦略を立てた腎動脈狭窄に対するステント植込み」のケースです。ステントが入口部より少し中に入って留置されているために再狭窄したのではないかとCT像より想像し、少し、大動脈に顔を出す形でステントを置こうと決めた方です。
その場のカテーテル治療がうまくいっても再狭窄してしまえば何も意味はありません。PCIであればバルーンによる治療しかなかった時代には再狭窄は40%程度あったわけですから再狭窄の発生があっても敗北感も罪悪感もあまり感じませんでした、薬剤溶出性ステントの時代になって稀になった再狭窄を見ると大きな敗北感を味わいます。
この方は、エコーで見ていてPSVが再上昇してきたために2011年5月に再治療しました。大動脈にステントの顔を出すだけでは再狭窄を免れることはできませんでした。2回の再狭窄ですから大きな大きな敗北感です。単純にバルーンで拡張するしかない昔の状況であれば再拡張のみですが、冠動脈治療に携わっている身にとっては薬剤溶出性ステントがあればと考えてしまいます。
このため2011年5月に鹿屋ハートセンターからの持ち出しでPROMUS stentを植え込みました。下段の写真は本日の写真です。大動脈に少し顔を出したステント内には全く再狭窄を認めません。ようやく治療に成功したとの実感を得ました。
当院での腎動脈に対するステント植込みは2011年が30件弱あったために通算40件弱です。この中で再狭窄のため再治療になった方はこの方を含めて2件のみです。腎動脈のステント植込みは再狭窄が少ない印象ですが、でも繰り返した場合に薬剤溶出性ステントがあればという気持ちは捨てきれません。
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