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2013年4月4日木曜日

医師が説明した内容と患者さんが持ち帰る理解のギャップ

 5年前に初診の方です。高脂血症でスタチンを内服されていました。胸部症状はありませんでしたが負荷心電図がborderであったために実施した冠動脈CTがFig. 1です。当時の当院のCTはまだ16列でしたが結構きれいに撮れていると今見ても思います。左冠動脈主幹部から前下行枝にかけてソフトプラークを認めます。この所見を見て、詰まれば命に係わる場所だから胸の症状を感じたら、軽くてもすぐに受診するように説明したとカルテに記載があります。

本日、安静時心電図でもST低下があるとのことで紹介され受診されました。やはり胸部症状はありませんが今回は負荷心電図も陽性です。本日撮像した冠動脈CTがFig. 2です。左前下行枝の狭窄は進行し、クリティカルに見えます。心筋梗塞発症前に再診して頂いてラッキーでした。

以前、スタチンを処方されておられた先生のところには今も通院されているのですよねと確認したところ、驚いたことに前回のCT検査の後は通院せずに何も内服していないとのことでした。本日のLDLは193でした。

患者さんに何か説明する時に、なるべく噛み砕いて分かりやすく説明しているつもりです。「左冠動脈主幹部にソフトプラークがあるでしょ」というような説明をしている先生を見たこともありますが、私はこんな表現をしても頭に入らないと考え、上記のように「ここが詰まれば命取りになるといった場所にコレステロールがついて狭くなり始めている」というような説明を心掛けています。しかし、今はすぐに詰まるというほどではないが場所が悪いという説明の内、今は詰まるほどでもないがという部分だけが頭に残っていたようです。

どんなに噛み砕いて説明をしてもこのようなことがよく起こります。〇〇病院でカテーテル検査を受けたが何も説明を受けていない等と言われる方も来られます。ではきっと異常はなかったのですねと聞くと、この薬を内服しろと言われて内服していると言われ、内容を確認すると2剤の抗血小板剤で、検査をするとステント植込みがなされているという方もおられました。今時のPCIをする医師で何も説明せずにステント植込みを実施する医師がいる筈もありません。

医師が説明した内容と、患者さんが頭の中に残している内容に小さくないギャップが存在します。医師になって35年目になりますがこのギャップを埋める良い解決策はなかなか見つかりません。

しかし、理解してもらえないからといって患者に説明しても仕方がないとか、理解できなかった患者の責任だというような後ろ向きの発想を持ってはいけないと思っています。飽きずに繰り返し説明したり、理解の間違いや不足で発生した問題については患者さんを責めずに、発生したことを仕方がないよなと受け入れ、前向きの対処を考えてゆくのが大切だと思っています。

2012年12月12日水曜日

冠動脈MDCTによって変貌する冠動脈病の治療

Fig. 1 RCA evaluated with MDCT
 60歳代後半の男性です。午前6時40分、起床して間もなく胸痛があり、当日朝に受診されました。当日撮像した冠動脈CTがFig. 1です。軽度の狭窄が右冠動脈にあり造影剤の染みだしが認められます。plaque ruptureによるacute coronary syndromeと考え入院して頂きました。近医より降圧剤とスタチンを処方されLDLは108mgです。

入院から2日後の本日、CAGを行いました。Fig. 2はコントロール造影です。矢印に示す部位に解離を思わせるslitが認められます。Fig. 3はエルゴノビンによるスパスム誘発試験です。陰性ですので早朝の胸痛ですがスパスムらしくはありません。

そこでOCTで評価しました。9時から2時位でしょうかlipid poolがあり11時位にruptureによると思われるcapの破綻と空泡化が認められます。
Fig. 2 Control CAG befoe Ergonovine IC

CTで冠動脈の評価をしていなかった頃、早朝の胸痛で、スパスムの誘発が陰性であったならばどうしただろうと思います。Fig. 2のslit様に見える影は1フレームだけで認められました。プラークラプチャーだろうという目で見ていなければ見落としていたかもしれません。このため心配ないよと帰していた可能性もあり得ます。また、CTの所見がなければOCTまではしなかっただろうと思います。

CTの所見、OCTの所見からplaque ruptureと診断しました。既にスタチンを内服していますがLDLは108です。strong statinに変更し、80程度まで下げなくてはと思っています。また鹿屋ハートセンターから車で5分位のところにお住まいなので胸部症状の発現時にはすぐ相談して頂くようによく説明するつもりです。
Fig. 3 After Ergonovine IC
 この方に限らず、CTでこのような所見を見てスタチンを強力に処方する患者さんが増えました。PCIが必要な狭心症の方を見つけているというよりもスタチンが必要な冠動脈病変を見つけているという方が冠動脈CTの大きな意義のように思えます。

当院で何人の方にスタチンを処方しているかは数えていませんが、おそらく400名ほどではないかと想像します。もっとかもしれません。

このケースは胸痛のあったケースですが、冠動脈MDCTを使うようになり日常診療に変化が生じています。有症候の狭心症に対する治療、無症候性心筋虚血に対する治療から、冠動脈CTを駆使して虚血を伴わない冠動脈病の治療へと意識が変わってきました。
Fig. 4 OCT imaging

2012年7月25日水曜日

CAGを見て考えること、CTを見て考えること、OCTを見て考えること

Fig. 1 ECG during chest pain
 60歳代後半の男性、早朝の胸痛で来院されました。来院してしばらくして強い胸痛があり心電図を撮るとFig. 1のようにII, III, AVF, V5-6に著明なST上昇を認めます。NTGの舌下で速やかにSTは正常化し、ヘルベッサーの内服で以後胸痛は起こりません。

同日のCTをFig. 2に示しますが左冠動脈回旋枝末梢に強い狭窄を認めます。

Fig. 3はPCI前の造影です。やはりCXのdistalに強い狭窄を認めます。CXの狭窄の近位部には壁不整を認めますが、有意な狭窄は認めません。

Fig. 2 LCX evaluated with MDCT
著明なST上昇ですのでこの狭窄が心電図異常の原因なのか、これとは別にRCAにスパスムを起こすのだろうかと考えていましたが、この部位のPCI中にinflationを長めに行い、心電図変化を見たところ、自然発作と同様のST上昇を認めたのでこの狭窄が責任病変だと判断しました。

Fig. 4は初回のバルーニング後のOCT像です。バルーニング前のOCTでは高度狭窄のために狭窄部の評価はできませんでした。バルーニング後のイメージですのでバルーンによる解離かもしれませんが、ruputureしたThin-cap Fibroateroma(TCFA)のような像が見てとれます。同様の Thin-cap Fibroatheromaのような像は狭窄の近位部にも見て取れます。

かつて当ブログでMDCTで冠動脈を評価するようになって有意狭窄ではない冠狭窄が多く見つかることからスタチンの投与が増えたと記載しました。しかし、この方のCTでは狭窄の近位部にTCFAに相当するような像は認めません。もちろんCAGでもです。

Fig. 3 Left Coronary Artery Before PCI
Fig. 4 OCT imaging after the 1st balloon inflation
OCTでTCFAを認めれば当然、強力にスタチンで治療しようと考えます。しかし、これがCAGのみの評価やCTのみの評価ではこのような行動には繋がらないかもしれません。

CAGだけで評価するよりもCTで評価をした方がスタチンの必要な方が多く見つかります。更にOCTで見ればより多くの方にスタチンが必要だと分かります。どのような方にスタチンが必要で、一人一人にとって何がoptimal medical therapyなのかは、簡単ではありません。

2012年3月5日月曜日

Optimal Medical Therapyとは何なのかの議論が必要だと思います

Fig. 1 CAG 7M ago
40歳代前半の方です。 2008年に胸痛を主訴に受診され、MDCTでRCAにplaqueは認めるものの有意狭窄ではなく冠攣縮性狭心症だろうとの判断でCa拮抗剤を内服してもらっていました。初診時のLDLは180でしたが、リバロ 1mgの内服でLDLは82-104でコントロールされていました。2011年8月に内服下で胸痛がありCAG施行。#6-7の90%狭窄と#13の90%狭窄に対して薬剤溶出性ステントの植え込みを行いました。この時のRCAがFig. 2です。#1-2に50%程度の狭窄を認めます。

Fig. 2 Today's CAG
8月のPCIのF/UのCTを3月になって撮像のところ、右冠動脈に高度狭窄を認めました。このため、本日のCAGです。Fig. 2に示すように#1-2はわずか7か月で高度狭窄に進行しています。このような例は少なくありません。IVUSで観察すると別にlipd poolがあるわけでもなく一様なfibrous plaqueです(Fig. 3)。この所見であればdistal emboliはないかもしれませんが拡張した(positive remodelingした)右冠動脈はdistal emboliのhigh riskですので、念のため5㎜のFiltrapでdistal protectionを行ってのstentingです。大きなバルーンでの前拡張を行うと薬剤溶出性ステントの3.5㎜では浮いてしまうと考え、direct stentingです。Stenting後に5㎜のバルーンで後拡張を行いました。どの段階でもslow flowは起こらず、取り出したFiltrapにも何もtrapされていませんでした。

Fig. 3 IVUS before PCI
この方の血圧は常に120程度で初診から経過しています。DMもなく、LDLも80-100のコントロールですから一応、optimal medical therapy(OMT)が達成できていたと考えられます。2011年6月7日付の当ブログ「冠動脈疾患患者に対するOptimal Medical Therapyは本当にOptimalなのでしょうか」でCourage trialに触れました。OMTを実施した上でPCIをしてもしなくても5年後の死亡率と心筋梗塞の発症には差がないという論文です。この論文の発表の後、予後も改善しないのに無駄なPCIをやりまくるインターベンション医という批判を同じ循環器医からも受けるようになりました。本日のケースが未然に治療できなかった場合、予後を改善しなかったのはPCIなのでしょうか、あるいはOptimal Medical Therapyなのでしょうか。どう考えてもPCIの敗北ではなく、OMTの敗北であったと思われます。

こうした例は2011年6月3日付当ブログ「スタチンによる十分な脂質管理下でも発症する急性冠症候群」でも紹介しました。OMTとは何なのかの議論が必要です。スタチンを投与しLDLが十分に低下していることや、血圧がコントロールされているだけではOptimalではなさそうです。Beyond statinの研究が進むことを期待したいですし、その成果が出るまではstatinに対する過度の期待は危険だと思えます。

2011年6月7日火曜日

冠動脈疾患患者に対するOptimal Medical Therapy は本当に Optimal なのでしょうか?


Fig. 1 PCI on the Optimal Medical Therapy






 1980年に私は冠動脈造影検査を初めて術者として実施しました。卒後2年目のことです。1980年代初めから冠動脈形成術(PCI) に関わり始め、社会人としての人生のほぼすべてを冠動脈疾患の治療に費やしてきました。そして、現在も冠動脈疾患に対する治療を生業としています。その人生のすべてをかけてきたものを否定されると嬉しい筈はありません。2007年にPCI をしてもその後の死亡率も、心筋梗塞の発症も減らさないという論文が発表されました。Courage trial です。

Boden WE et. al. Optimal medical therapy with or without PCI for stable coronary disease. N Engl J Med 2007; 356: 1503-16

 

この論文は対象としている患者が安定狭心症ですから不安定狭心症に対するPCI をも否定しているわけではありません。2011年6月3日付当ブログ「スタチンによる十分な脂質管理下でも発症する急性冠症候群」のようにOptimalと思われる内科的治療を行っていても、他の枝に対するPCI後数年を経過して別の枝の狭窄を原因とする不安定狭心症が発症することはあります。だからPCIは無駄だという議論の方向は間違っていると信じたいものです。というのもこのケースもPCI で助かっているからです。

とはいえ、このCourage trial の発表後、PCI をする実施する私たち冠動脈インターベンション医に対する風当たりは小さくありません。同じ循環器医でもPCI をしていない先生から、予後も改善しないのに「カテ屋」は病気も見ないで狭くなった血管を広げるだけだと非難され、本来、助け合う仲間であるはずの心臓外科医からも、やりすぎだと非難されます。本当にそうなのでしょうか。よくあるインターベンション医からの反論は、Courage trial ではほとんど薬剤溶出性ステント(DES) が使われていないのでDESを使えば結論は変わるはずだというものです。しかし、私はこの反論は的を得たものではないと思っています。DESはBMSと比べれば再狭窄の発生を減少させますが、予後を改善するという証拠(エビデンス)を持っていないからです。きっと同じスタディデザインで今度はDESを使ってもCourage trialと同じ結果が出るだろうと思っています。

しかし、私もインターベンション医ですからPCI が無駄だという議論に与したいとは思っていません。PCI とOptimal Medical Thrapy を合わせて受けた群と Optimal Medical Therapy のみを受けた群の5年後の死亡と心筋梗塞を合わせた発症はそれぞれ19%と18.5%で確かに差はありませんでした。ここからPCI は予後を改善しない無駄な治療法だという議論が始まりました。では Optimal Medical Therapyだけの5年後の18.5%は優れた成績なのでしょうか。5年間で約20%が大きな問題を起こす治療法を Optimalと言ってよいのでしょうか。現状で Optimal と思われる治療を受けていたのに不安定化して新たに治療が必要になった方を、このブログだけでも2011年6月3日のケースだけではなく何人も紹介してきました。また、2011年2月3日付当ブログ「PCIの6ヶ月後の冠動脈造影を原則しないと決めました」で紹介したPCI後のnatural historyの論文でも3年間で20%のイベント発生を報告しています。PCI をしてもOptimal Medical Therapyをしても同様に数年間で20%程度のイベント発生ということであればどちらも無力だというのが現実的な見方のように思えます。PCI は風船を広げ、ステントを置いてくるというだけの治療ではありません。内科的な治療の基盤の上に成立する治療法です。その基盤となる治療法が予後を決定してしまえばPCIで予後を改善できるはずはありません(Fig. 1)。

Optimalと思われている現状の内科的治療が実はOptimalではないのではないかという議論の方が正しいと思います。 Courage trial でのOptimal Medical thrapy とは、アスピリン、ACE阻害剤、ベータブロッカー、スタチンです。これを超える治療法の確立が重要のように思えてなりません。

同じ冠動脈疾患患者を診るインターベンション医やインターベンションをしない循環器医や心臓外科医が、成績の悪い土俵の中で非難しあう構造は不毛です。より良いOptimal Terapy の確立に向けた共同の努力が必要だと思っています。

2011年6月5日日曜日

スタチン投与下でも発症する急性冠症候群 (2) Beyond STATIN

昨日(2011.06..04)は、たまには勉強に行かなくてはと考えATIS (AtheroThrombosIS) の講演会に出るために熊本に行ってきました。鹿屋ハートセンターには留守番の先生を頼みました。普段は、週に2回、手伝いに来てくれる鹿大のK先生との会話が同じ循環器医同士の唯一のディスカッションの場です。一人でものを考えたり、狭い世界でものを考えていると思わぬ陥穽に嵌まりがちです。私にとっては貴重な機会ですから、出しゃばりを承知で、他の参加者の先生には迷惑だろうと思いながら2011年6月3日付当ブログ「スタチンによる十分な脂質管理下でも発症する急性冠症候群」のケースにつき意見をうかがいました。

座長の熊本大学 小川久雄教授が、LDLをスタチンで低下させても発症する急性冠症候群の病態に迫り、スタチンによる介入を超える beyond statin あるいはLDLに対する介入を超える beyond LDLの国際的な共同研究に熊本大学が参加していること、LDL低値でも発症するACSに係る因子として中性脂肪が大事なのではないかと教えてもらいました。早速、6/3のケースの中性脂肪をチェックしてみると、48mg/dlです。低値なのです。この方のHbA1Cは6.5程度ですが、食後高血糖でもあるのでしょうか。今後、こうしたケースでは食後高血糖も注意して見ていこうと思います。

もう古い論文になりましたが、スタチンによるコレステロールの低下が、冠動脈疾患患者の総死亡率を低下させるかという二次予防のRCTがありました。 4S studyです。

Scandinavian simvastatin survival study group: Randomised trial of cholesterol lowering in 4444 patients with coronary heart disease; the Scandinavian simvastatin survival study (4S).Lancet. 1994; 344: 1383-9

このsimvaastatinを投与した2221例とプラセボを投与した2223例の比較で、5.4年後にはsimvastatin投与群で182例 (8%) の総死亡、プラセボ群で256例 (12%) の総死亡と、総死亡率を30%減少させることが示されました。このランドマークとなるRCT後、冠動脈疾患を見る循環器医にとってstatin投与は常識になりました。しかし、statin投与は常識になったものの、statinによる介入下でも発症する急性冠症候群に対してどう介入するかという議論は十分に尽くされていなかったように思います。4S studyでは8%の死亡です。また4S studyの10年後の結果は、simvastatin 投与群で238例の冠動脈疾患死、プラセボ群で300例の冠動脈疾患死です。

Mortality and incidence of cancer during 10-year follow-up of the Scandinavian Simvastatin Survival Study (4S). Lancet 2004;364:771-7.

 

statin投与で満足せずに、他の介入も考えなくてはいけないとの趣旨で6/3付のブログを書きましたが、同じような問題意識で考えている先生方がいることを知り、もっと考えていかなくてはいけないと再認識です。スタチンの投与下でも発症したACSに対して、best practice 下の発症と諦めないようにしなければなりません。

2011年6月3日金曜日

スタチンによる十分な脂質管理下でも発症する急性冠症候群

Fig. 1 RCA in Nov. 2009
  64列MDCTを導入して、鹿屋ハートセンターの診療で最も大きく変わったことはスタチンを多用することになったことだと思います。2010年10月12日付の当ブログ「冠動脈狭窄との戦いは続きます」に記載したような、PCIをするほどでもない狭窄が高頻度で見つかること、また、LDLが100mg/dl程度でコントロールされていても狭窄が進行することがまま観察されることなどから、非有意狭窄であっても、冠動脈疾患の既往ありと判断して、LDLを100mg/dl未満にコントロールしようとの意思が働いているせいだと思います。
Fig. 2 RCA on Jun. 3rd, 2011
Fig. 3 IVUS image of RCA (distal)
Fig. 4 IVUS image of RCA (proxymal)
本日のPCIの方です。2007年に急性前壁梗塞で緊急PCIを実施し、BMSを植え込みました。その半年後に再狭窄がありCypher stentを植え込み、その後は再狭窄もなく順調でした。それからおよそ3年半が経過し、2011年5月になって1時間程度の胸痛を自覚するようになりました。Fig. 1は、2009年に造影したRCAですが#1に50%狭窄を認めます。160mg/dl程度の高LDL血症であったためにリバロを内服し、最新のLDLは79mg/dlです。Fig. 2は本日の造影です。前回の造影時に認められた狭窄からditalに向かって潰瘍性病変を認めます。Fig. 3、Fig. 4は同部位のIVUS像です。狭窄を取り巻くようにEcho densityの低い病変があります。DistalのLow density areaは解離でしょうか。おそらく破綻したプラーク部位に形成された潰瘍性病変です。
IVUSのimaging中にもSTは上昇し、狭窄は高度であることが分かります。血管径は4.0㎜ですからBMSでもよいかもしれません。しかし、やはりなるべく再狭窄はしてほしくないのでEndeavor stentを4.0㎜で後拡張して植込み、良好な拡張です。前回の前壁梗塞のダメージでLVEF=31%です。潅流域の広いRCAの近位部ですからAMIを発症しなくて幸いでした。MIを発症すれば、今以上の心機能低下は避けられませんから、致命的であったものと思います。

心筋梗塞の発症後、あるいは、狭心症でPCI後に、他の冠動脈病変の進行を予防するために積極的にスタチンを投与し、多くの方でLDLを100mg/dl未満でコントロールしています。しかし、本日のケースのような結果です。スタチン投与が二次予防に有効であるとの論文はたくさんありますが、スタチン投与だけでは不十分です。本日の方はステント植込み後のために2剤の抗血小板剤も内服していました。6.5程度にA1CがコントロールされているDMに対してはアクトスが処方されています。これ以上の内科的な治療は何をすればよいのでしょうか。

こうしたスタチンの十分な投与下にも発生するplaque ruptureを見ると、単純に心筋梗塞は「plaque ruptureが原因だよ」という理由にもならない説明だけではなく、何ゆえ、plaqueはruptureするのかというテーマを解明しなければと思います。
ちなみにこの方は、転居されたばかりでもなく、ご家族関係に問題もありません。発症のトリガーとしてのストレスは考えにくい方です。

2010年12月30日木曜日

不安定狭心症の治療はタイミングが命です

Fig. 1 CAG on 23, Feb. 2009
  12/30 深夜0時過ぎに眠っていたのに急に胸が痛くなったとのことで来院されました。70歳代後半の女性です。2006年に切迫心筋梗塞で他院でLADとLCXにステント植込みをされています。当院では2007年1月にステント内再狭窄に対してCypher植込みを行い、その後は再狭窄を認めていません。Fig. 1は2009年2月に胸部症状の訴えがあったために実施したCAGの右冠動脈です。#3に25-50%狭窄を認めるのみです。
  
  深夜に来院されお話をうかがうと2週間前から労作時や冷気にさらされた時に胸痛があった由です。それが安静時にも胸痛が出現ですから不安定狭心症の典型的な経過です。Braunwald分類のClass IIIということになります。年末ということもあり、Conservative starategyではなくEarly invasive strategyとし、本日CAGを行いました。1年11ヶ月前には25-50%狭窄であった#3は90%狭窄です。
PROMUS stentを植込み良好な拡張でしたが、ST上昇が遷延しました。やはりConservative strategyが良かったのかもしれません。


Fig. 2 CAG on 30, Dec. 2010
  この方は脂質代謝異常でメバロチン(プラバスタチン)を内服中です。一貫してLDLは100mg/dl未満を維持してきました。脂質管理目標を達成しているだけでは解決にならないようです。十分な脂質管理を実施した上で、それでも発生する不安定化に対しては臨機応変な対応が必要です。いつかTVで心筋梗塞も急に発生するのではなく高血圧や脂質代謝異常から発生するのだからその管理を十分に行っていれば急性期のカテーテル治療など必要ないのだと言っている千葉県の県立病院の院長先生のインタビューを見たことがあります。この県立病院がある市の人口は6万人近くですが市内でPCIは1件も実施されていません。不幸なことです。

  この方の問題は、過去に切迫心筋梗塞で危機を経験したことがあるのに、典型的な症状が出現してもすぐに受診されなかったことです。ギリギリ間に合いましたが危ないところでした。冠動脈の病気は、ほうっておけば明日死んでしまう方でも、今日対処すれば多くの場合助かる病気です。治療を受けるタイミングが重要です。最も下策は典型的な症状があるのに様子を見ることです。どんな時に受診したらよいのかよくお話しなければいけません。すぐにおさまる胸痛でも甘く見てはいけません。

2010年12月18日土曜日

BMS 植込み9年後に認められたfractureを伴わないステント内再狭窄の1例

Fig. 1 Coronary CT on 01, Nov. 2006
 本日の2例のPCIの中の1例です。60歳代後半の方で2001年頃に鹿児島市内の病院で回旋枝にステント植込みを受けておられます。BMSです。2006年の鹿屋ハートセンター開院直後から当院に通院されるようになりました。当時のLDLは97mg/dl でした。
Fig. 1に示す16列MDCTで撮影したステント内は一部にlow densityを認めますが 症状もないことより経過をみようと判断していました。その後も一貫して無症状で負荷心電図も陰性でしたが2010年4月にLDLは107mg/dl に上昇、12月には133mg/dl に上がっていました。この間にこの方の体重増は認めませんでした。
Fig. 2に示す2010年11月に64列MDCTで撮影したステント内は明らかなステント内再狭窄の所見です。Fig. 3は本日のPCIの造影です。回旋枝は99%狭窄です。Fig. 4はPROMUS stent 植込み後の造影です。

Fig. 2 Coronary CT on 06, Dec. 2010
半年ほどの急速なLDLの上昇の結果、ステント内の狭窄が起きたのでしょうか。このケースの経過をみると、血管に脂質が沈着するような脂質代謝異常の結果、LDL が上昇してきたかのようにさえ思えます。LDL と冠動脈狭窄の関係は脂質管理目標を達成しておれば良いというほど単純ではなさそうです。
また、この例のように無症状で負荷心電図陰性の場合、冠動脈CT検査や冠動脈造影の適応はあるのでしょうか。保険を審査する側の立場で考えれば、無症状で負荷心電図も陰性の方にこのような検査をするのはけしからんということになるのでしょう。しかし、そういった姿勢でこの方を見ていたとしたら、このCXは完全閉塞していたと思えます。再発し、進行する悪性疾患にも似た動脈硬化性疾患では無症状であっても定期的に検査が必要だとこのケースを見ていると思えます。
定期的な検査をという場合の間隔に一定のものはきっと存在しないでしょう。hsCRP の急な上昇やLDL の急な上昇のタイミングが適切なタイミングかもしれません。

Fig. 3 Before PCI on 17, Dec. 2010

Fig. 4 After PROMUS implantation on 17, Dec. 2010

2010年12月16日木曜日

症状をよく聞き、リスクを評価した上で冠動脈石灰化スコアを活かしましょう

Fig. 1 Coronary CT on 16, Dec. 2010
この方は60歳の男性です。農作業後の胸痛を主訴に受診されました。1日50本のheavy smokerでLDLは141mg/dlです。CTで見るとLADに50%程度の狭窄を認めるのみですが、plaque内に1点、造影剤の染み出しを認めます。vulnerable plaqueと考えられます。この部位でplaque ruptureがあり一時的に血栓で閉塞した可能性、あるいはspasmで虚血を起こした可能性なのが考えられます。この方の負荷心電図は陰性です。
このCT画像なしでこの方を見た場合、負荷心電図陰性の高LDL血症、喫煙ですから、動脈硬化学会のカテゴリーIIです。LDLの管理目標は140mg/dl未満です。することは禁煙指導、食事指導位のことかと思います。食事で低下がみられなければスタチンの投与です。
一方、このCTを見てvulnerable plaqueであると考えれば、冠動脈疾患の既往ありと判断して管理目標は100mg/dl未満です。私は後者であると判断して、リバロ1mgとバイアスピリン100mgとニトロの舌下を処方しました。禁煙を強く勧めたのはもちろんです。CTのありなしでかくも管理する方針は変わってきます。それらしい症状があり、risk factorがあればCTを撮ったほうがよいと思います。こうした場合、冠動脈造影は無力である可能性が高いと考えられます。冠動脈CTが一般的になってきたときに冠動脈CTは冠動脈造影の代替になるかという議論がありましたが、プラークの性状を評価し、治療方針を決定するためにはCTのほうが有力だとの考え方が一般的になってきました。
このところ考えていることは石灰化スコアをどう活かすかということです。石灰化スコアが100以下の場合、50%以上の狭窄が存在する可能性は3%以下だと報告されています。一方、CORE64では、狭心症が疑われて冠動脈造影目的に紹介されてきた患者群では石灰化スコアがゼロであっても20%の患者に50%以上の狭窄があったと報告されています。Gottlieb I, et al. The absence of coronary calcification does not exclude obstructive coronary artery disease or the need for revascularization in patients referred for conventional coronary angiography. J Am Coll Cardiol. 2010;55:627-34
この一見矛盾する結果の答えは簡単だと 思っています。冠動脈造影を勧められるほどのそれらしい症状やリスクがある場合は、石灰化スコアに関わらず狭窄が存在する可能性を排除できないため造影CTが必要、それらしい症状やリスクがなくて石灰化スコアが低い場合には造影せず石灰化スコアのみの評価で十分という解釈なのだと思います。本日のケースでも石灰化は冠動脈のどの部位にも認められませんでした。しかし、この所見です。症状やリスクの評価がやはり大事です。一方、それらしくない、リスクも低いという場合には造影しない選択を加え、石灰化スコアだけでも大丈夫なのでしょう。被ばく量を減らし、造影剤の負荷を軽減するために石灰化スコアを検討しましょう。よく話を聞き、リスクを評価する手間を惜しんではいけません。

2010年11月29日月曜日

conservative strategyでみた不安定狭心症のその後

Fig. 1 RCA on 29, Nov. 2010
 11/26のブログにアップした不安定狭心症のケースです。11/30の造影では Fig.1に示すようにRCAの狭窄はCTで見たほど高度ではありません。一方、同様にCTで高度狭窄に見えた(Fig. 2)回旋枝は、造影でも90%狭窄(Fig. 3)です。このためまずLCXにPCIを実施しました。PROMUS stentを植込んで良好な拡張です。

問題はRCAです。冠動脈造影もCTも画像診断です。どちらが真実を現わしているのでしょうか。2つの画像診断の結果が矛盾するのなら機能診断です。pressure wireでFFRを測定してみたところ0.85でした。造影でそれほど高度狭窄ではないという判定の方が機能診断に近い結果でした。ではCTはoverestimateしたのでしょうか。もちろんその可能性はあります。しかし、この3日間のヘパリン化で狭窄が軽減した可能性もあります。いずれにしてもconservative strategyで無駄なPCIをしなくてすんだわけですから患者さんはHAPPY!!です。

この方はストロングスタチンを内服して既にLDLは100mg/dl未満です。次の手を考えなくてはなりません。EPAの追加でしょうか?(Fig .4)
本日はこのケースを含めて3例のPCI、SFA完全閉塞に対するPTA 1例、診断カテ1例の5例でした。
Fig. 2 Coronary CT on 26, Nov. 2010

Fig. 3 LCA on 29, Nov. 2010



Fig. 4 JELIS trial
 

2010年11月22日月曜日

1例のPCIにも多くの教訓が詰まっている

Fig. 1 LAD evaluated by CT
本日のPCIのケースです。50歳代前半の男性です。2年前に右冠動脈に薬剤溶出性ステントの植え込みを行っています。Fig. 2、Fig.3に示すように運動負荷でST低下を認め胸痛もあります。Fig. 1のCT画像ではLADの近位部から石灰化を伴うびまん性の狭窄を認めますが、それほど高度狭窄は認めません。ところがです。Fig.4の本日の造影ではLADの近位部の狭窄は非常に高度でした。画像には示していませんがRCAから側副血行が認められるほどの狭窄です。Fig. 5に示すようにびまん性の狭窄でしたから長い植え込みになりましたが、PROMUS stentを植込んで拡張に成功です。
この例のPCIに際して考えたことは植込むstentの径です。びまん性の狭窄ですから一見きれいに見えるところを基準に考えると2.75-3.0mm程度に思えます。しかしFig. 6のIVUSで見るとLADの近位部の径は3.5mmを超えていました。このため近位部には3.5mmのstentを用いて高圧でしっかりと拡張しています。
Fig. 2 ECG at rest

この例で考えることは多々あります。
1) CTで狭窄の存在診断は可能でしたが、その狭窄程度の診断はunderestimateでした。CTで安易に狭窄程度を判定することは危険かもしれません。この造影とCT画像の乖離ですが、石灰化の強い病変の診断をどうするかという点に力を入れているせいかもしれません。石灰化病変に伴う狭窄はdensityの大きく異なる部位が隣接するためにpartial volume effectがでやすくなります。これを解消しようとすればcontrastを犠牲にすることになります。underestimateの原因は石灰化病変の問題を解消しようと努力していることに起因しているのかもしれません。技師さんとよく話しあってみたいと思います。 

Fig. 3 ECG after exercise
Fig. 4 Left Coronary Artery before stening
2) 最近はIVUSをほとんどルチーンに使用しているので問題ないとも言えますが、diffuse stenosisに対するPCIではIVUSの情報が有用だという点です。本例のようなびまん性の狭窄にIVUSなしでPCIを実施すると大きな血管径の冠動脈に小径のstent植込みを行うという愚を犯してしまいます。
3) 本例では長いstent植込みになり、医療費も決して低いものではありません。それならばCABGの方が良かったという考え方もあります。この方は50歳です。10年後グラフトが閉塞した時のことを考えるとその後の長い距離のPCIは困難を極めるであろうことが容易に想像できます。長い先を考えれば現時点ではPCI betterという判断が正しいように思います。
4) この例も脂質代謝異常です。LDLが150mg/dl程度であったためにリバロ1mgを内服し、110mg/dl程度に低下していました。やはり管理目標値のように100mg/dl未満を達成しておくべきだったと言えると思います。今後の管理が重要です。

このケースのPCIも鹿大のK先生にしてもらいました。私には25年を超えるPCIの経験がありますが、一人の判断でPCIをしていると思わぬ陥穽にはまる危険があります。討論する相手が存在することは大切です。また、若い先生と議論をし、そこから私が得るものがあること、若い先生に伝えられることがあることは互いに幸せな関係のように思えます。



Fig. 5 Left Coronary Artery after stenting

Fig.6 IVUS imaging before stentng

2010年11月18日木曜日

カテーテルだけではなく脂質管理が重要です

LAD on 03. Mar. 2007
 2007年に右冠動脈に対して薬剤溶出性ステントの植込みを行った方です。上段は2007年当時に16列で撮影した前下降枝です。中段は今年11月に64列で撮影した前下降枝です。明らかに前下降枝の近位部に 新たな狭窄の出現を認めます。冠動脈造影を実施しFFRは0.74でした。症状はありませんでしたから無症候性心筋虚血ということになります。薬剤溶出性ステントの植込みを行いました。
 この方はLDLが140mg/dl程度の脂質代謝異常であったためにストロングスタチンであるリバロ1mgを内服してもらっていました。最近のLDLは118mg/dlでした。
 最下段の日本動脈硬化学会のリスク別脂質管理目標に従えば、冠動脈疾患の既往のある方の目標値は100mg/dl未満ですから管理が甘かったといえます。スタチンを増量して目標値の100mg/dl未満を達成していればこの狭窄の出現は防げたかと言われればわからないとしか言えませんが、やはり悔いは残ります。これから、もっと厳密な管理をしてゆきたいと思います。
 しかし、こうしたことは冠動脈をしっかりと評価しているから言えることです。この方の冠動脈の状態を知らずに管理目標に従えば、当てはまるリスクは加齢だけですからカテゴリーIIです。管理目標値は140mg/dl未満ということになります。冠動脈を評価している病院にかかれば目標は100mg/dl未満で、冠動脈狭窄の存在に気づいていない病院にかかれば目標値は140mg/dl未満になってしまいます。無症状であるがゆえに冠動脈を評価されず、甘い目標値で管理され、破綻の道を歩んでいる方はどれほど存在するのでしょう。恐ろしいことです。
LAD on 04 Nov. 2010

日本動脈硬化学会 リスク別脂質管理目標

2010年10月12日火曜日

冠動脈狭窄との戦いは続きます

Sep. 2007

Oct. 2010
 本日のCTの方です・2007年に回旋枝にTAXUSを植込んだ方です。半年後にも再狭窄を認めませんでした。PCI後、一貫して無症状です。2007年のLAD近位部に、中等度狭窄を認めました。下段は本日のものです。明らかに狭窄度は悪化しています。この方の総コレステロールは184mg/dl、LDLは108mg/dlです。空腹時血糖も90mg/dlです。もちろん喫煙はしません。やはりLDLは100mg/dl未満にコントロールすべきなのでしょうか。100mg/dl未満にコントロールすればこの悪化は防げるのでしょうか。LDLが108mg/dlの方にスタチンを処方して保険診療で許されるのでしょうか。RCTで示される内服による改善と、個々のケースでの改善の狭間で考えさせられることは多々あります。だからこそ現場の臨床で面白さもあるのですが、困難もあります。

本日は診断カテ2件、PCI1件、DDD植込みが1件でした。14時半から開始し、17時に終了です。

2010年10月9日土曜日

16列MDCTと64列MDCT 16 and 64-row MDCT

2006.12月のCT
This is one of today's cases. Single Cypher stent implantation was done at Kagoshima University Hospital several years ago.  The upper picture was taken in 2006 with 16-row MDCT. The other was today's picture with 64-row MDCT. No instent restenosis are shown in either 16 and 64-row MDCT. But moderate stesosis was seen in proxymal LAD. The qualities of 2 pictures are same.  The stenosis seems improving in 64. I guess it is the influence of moton artifact in 16. I think 16-row MDCT tend to overestimate coronary stenosis.
 We have to be careful that spatial resolusion is same in 16 and 64 row MDCT. The quality of picture that taken in good conditions with 16 is same with 64-row MDCT. 64-row MDCT is not magic tool to see coronary stenosis. It is same in more row MDCT.
 Instent restenosis is not the  problem in this case. The problem is ths plaque in proxymal LAD. Non-significant lesions are frequently found in MDCT. How should we manage these lesions like in this case? We have to prevent worsening of stenosis and abrupt rupture of plaque. She has dyslipidemia. She has already taken strong statin. After today's CT, I added EPA to prevent these worsening.
Hidekazu ARAI

2010年10月のCT


 本日のCTのケースです。以前に前下行枝に大学病院でCypherの植込みを受けておられます。上の写真は2006年12月のもの、下は本日のものです。16列でもきれいにステント内は描出され、ステントより近位部に中等度狭窄を認めます。一方64列で撮影したものも基本的には画質は同等です。すこし狭窄度が軽く見えるかもしれませんが、周辺がシャープになった影響だと思います。まだ印象に過ぎませんが16列の方が狭窄を過大評価するように思います。周辺のボケが狭窄として見えるのでしょうか。
 気をつけなくてはならないことは16列でも64列でも空間分解能に違いはなく、きれいに撮影できたものであれば16列でも64列でも同様の評価が可能という点です。64列は16列と比べて魔法の装置ではないということです。これは更に多列化しても同じことです。
  このケースではステント内再狭窄はなく問題はないのですがその近位部にあるプラークが問題です。左冠動脈主幹部から左前下行枝近位部の狭窄ですので、進行すれば重大な問題になります。進行や急なアテローム破綻を食い止めなければなりません。脂質代謝異常がありストロングスタチン内服中です。内服中だからこそ4年間進行がなかったとも言えますが、場所が悪いので心配です。この結果をみて本日よりEPAを追加しました。
 冠動脈CTで見つかるこのような病変は少なくありません。このような患者をどのように管理していくかはこれからの課題です。

新井英和