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2011年1月14日金曜日

大動脈弁下狭窄の64列MDCTによる評価。 Evaluation of subaortic stenosis using 64-row MDCT

Fig. 1 UCG
 64列MDCTは爆発的に普及し、現在、約1000台の64列以上のCTが国内で稼働しているそうです。人口12万人に1台の計算です。鹿屋ハートセンターのある鹿屋市の人口は約10万人ですが当院も含めて4台の64列MDCTが稼働しています。2万5千人に対して1台ですから国内平均の4倍以上の保有台数です。この64列MDCTの主たる撮影ターゲットは冠動脈疾患です。
 
Fig. 2 CT on 14. Jan. 2011
  2010年9月30日にこのブログを立ち上げて以後、最も読まれた記事は なぜOptima CT660proなのかでしたが、次に読まれた記事は大動脈弁狭窄でした。3位は冠動脈肺動脈瘻でした。意外なことに上位は冠動脈の話題ではなかったのです。

  本日の話題も冠動脈以外です。70歳代後半の女性です。1年2か月前の初診です。検診で指摘された心電図異常の精査を求めて来院されました。心電図は完全右脚ブロックだけでした。しかし、心エコーでは大動脈弁で100mmHg以上の圧較差を認めました(Fig. 1)。特徴的なSAMも認めましたが、弁下部の肥厚は認めるものの軽度です。圧較差が大きい割に弁下部以外に左室肥大は認めません。HOCM(肥大型閉塞型心筋症)とかIHSS(特発性肥大性大動脈弁下狭窄)と病名をつけシベンゾリンの内服をしてきました。

Fig. 3 CT on 14, Jan, 2011

  しかし、何かこのままで良いのかという心の引っかかりがあり、本日CTで評価しました。冠動脈にはもちろん狭窄は認めません。Fig. 1で左室内をみると左室内に左室を分離する構造物を認めます。 角度を変えて左室像を再構成すると僧帽弁前尖に肥大した構造物を認め(Fig. 3)、この構造物が収縮期に左室流出路を閉塞するように動いているのが確認できます(Fig.4)。Discrete型の大動脈弁下部狭窄でした。
このようなケースの報告は1963年のJ Thorac Cardiovasc Surgにあります。50年近く前のpaperです。
Maclean LD: Subaortic stenosis due to accsessory tissue on the mitral valve. J Thorac Cardiovasc Surg 1963; 45: 382-388


Fig4. CT on 14, Jan. 2011

  このケースでは左房の拡大も心房細動もなく自覚症状もありません。高齢ですし困っていることもないので手術的な修復は必要ありませんが、修復が必要な時、心エコーだけの所見だけで手術に踏み切るか、こうしたCT所見を持って手術に踏み切るかでは手術のデザインが自ずと異なってくると思います。カテーテル検査では圧較差の測定は可能です。しかし左室造影をしても弁に付いた構造物の評価や乳頭筋との関連を見ることはできません。こうしたケースの最善の検査方法はMDCTであると思います。

  64列MDCTによる心臓の評価の有用性は冠動脈だけにとどまらないと言えます。循環器医が頭で考えるよりもブログのアクセスの動向の方がMDCTの有用性をより正確に物語っているのかもしれません。



2010年11月10日水曜日

肥大型心筋症の心臓CTによる評価

 
拡張期

 本日も前回に続き、冠動脈以外の心臓CTの評価です。最大圧較差が57mmHgの大動脈弁下部狭窄のある肥大型心筋症の方です。心房細動もなく、シベンゾリン(シベノール)とカルベジロール(アーチスト)の内服で安定しています。鹿屋ハートセンターのオープン前に初めて診せていただいた方で、当時は前の病院を辞めていたので鹿屋医療センターで冠動脈造影をして頂いた方です。心電図上著明な高電位とストレイン、心エコー上の左室肥大から肥大型心筋症と診断してよいのですが、これだけでは冠動脈に問題ないことの証明にはなりません。ですから、肥大型心筋症と思っても冠動脈造影を実施してきたわけです。
 しかし、CTで冠動脈が評価できれば肥大型心筋症に冠動脈造影をする意味はなくなります。また、カテーテルで行う左室造影では左室内腔を見ることができますが、左室肥大と同時に評価はできません。CTによる左室の評価では左室内腔だけではなく左室壁との関係も一目瞭然です。また、左房の大きさや僧房弁の動きも同時に評価可能です。カテーテル検査よりも情報量は多いといえます。圧較差はエコーで評価し、形態はCTで評価するということで十分です。となれば、肥大型心筋症の方にも今後はカテーテル検査は不要ということになります。カテーテル検査は不要という方がどんどん増えてきます。
 最下段の動画は繰り返し再生できるとよくわかるのですが、ブログにアップして繰り返し再生にする方法が私にはよくわかりません。誰か教えてくれるとありがたいです。


収縮期