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2014年5月2日金曜日

IEのセキュリティ上の欠陥に対する米国安全保障省の警告を見て思う

当ブログの2014.5.1のアクセス

当ブログの直近1月のアクセス
米国安全保障省からInternet exploreのセキュリティ上の欠陥から危険性があるとのことで他のブラウザーを使用するように警告が出ました。この報道を受けて各種のニュースなどで日本でもIEは50%ほどの人が使っているなどと報道されています。

図は当ブログのアクセス解析です。上段の図はこの1日のアクセス解析ですが訪問して下さった方が使用しているブラウザーの1位はSafariで35%の方、2位がChromeで19%でした。IEは報道後にも関わらず未だ17%の方が使用されています。

下段の図はこの1月のアクセス解析です。やはり1位はSafariで40%ですが2位はIEで30%の方でした。2つの図を比較すると報道後にIEのシェアが急落したのが分かります。ただこうしたアクセス解析には以前から注意を払ってきましたが、このブログを開始した3年前にはIEのシェアは60%を超えていましたからIEの凋落はこの報道以前から始まっていたと認識していました。3年前にはほとんどなかったIphoneからのアクセスも最近は20%を超えます。また医師にMacユーザーが多いからでしょうか、報道以前から最近ではSafariがトップシェアでした。このような傾向を見て私はMicrosoftは買えないな等と思っていました。

当院の電子カルテはカルテ情報を院内ではなく遠隔地に置き、インターネットを介してデータをやり取りするクラウド型のものです。モバイルではiOSに対応していますが、デスクトップではIEのみに対応しています。4/29の警告後、4/30にはVPN下でデータをやり取りしているのでIEであっても電子カルテ使用上のリスクはないと電子カルテメーカーからアナウンスがあり、安心しました。またインターネットに接続している端末ですから、電子カルテ用の端末からも一般のWeb pageにアクセスもしますが、私は基本的にChromeユーザーなので心配もしていません。院内の職員にも電子カルテ以外のインターネット使用にはIE以外を使用するように指導することにしました。

しかし、不安も残っています。当院の画像サーバーからの画像のWeb配信です。かつて時価総額世界一であったメーカーが提供するシステムですが、数年前から大きな不満を持っています。Web配信といいながらIEにしか対応していないこと、OSのバージョンやIEのバージョンにも依存しているためにIEのセキュリティの問題が発生してもIEのバージョンアップがすぐにはできないのです。ですからこの画像配信のためにセキュリティの問題を解決できません。この件に関してはこの世界有数のメーカーに対してセキュリティのためにOSやIEのバージョンアップにすぐに対応するように求めてきましたが、対応は遅々として進みません。また、Web配信というのであれば他のブラウザーにも対応するように求めてきましたが、例えばiPad等でも閲覧できるように求めると、既に画像サーバーがあるにもかかわらず高額のサーバーをもう1台建てろなどと訳の分からない対応です。今回の警告に対してもまだ何のアナウンスもありません。患者情報をWeb配信するシステムを提供しながらセキュリティに関してユーザーに何のアナウンスもしないふざけた企業だと感じます。

かつてコンピュータの世界を席巻したIBMの凋落、今回の報道以前から感じ始めたMicrosoftの凋落だけではありません。経営の神様などと言われたJack Welchが率いたこの企業もこのような対応をしていると再びの凋落を予感させます。


2012年6月5日火曜日

冠動脈CT(CTA)撮影時の至適造影剤量は何mlなのでしょうか

 本日も九州虚血性心疾患研究会での話題についてです。たくさんのPCIを実施されている病院から初診患者さんにすぐに冠動脈CTを撮って左冠動脈主幹部の高度狭窄を迅速に発見できたという報告がありました。この病院のMDCTは320列で、造影剤量も半分、被ばくも半分にできると少し良い装置が入ったことの宣伝もあったように思いました。

当院のCTはGEのOptima CT 660 proですが、2011年2月の導入から原則として造影剤の使用は体重1㎏あたり0.7mlと決めています。上の図の方は72.1㎏の方ですので予定する造影剤量は50.47mlですので50mlを使用しました。その結果、LAD take-offに高度狭窄を認め、昨日PCIを実施しました。

下の図はCT撮影時の診療放射線技師の記録です。被ばくや撮影時間が少なくないのは腎動脈まで見たからです。造影剤量50mlで冠動脈も腎動脈も評価できれば、価値があると思っています。

造影剤の使用が50mlでも腎機能を知らない人にいきなり使用するのはためらわれる量ですので、初診で8時半に来院されすぐに採血をして10時位にCREを見てすぐに撮影ということは可能ですが、10時位に来られると当日にCTというのは当院では困難です。昼から撮影という考えもありますが、一人で午後はカテをしているので難しいのです。

造影剤を半分にできるという発表を聞いて、25mlの造影剤であれば相当思い切って初診時にCTを撮れると思い、発表の先生に、半分というのは具体的に何mlなのかを聞きました。答えは64列時代は造影剤を100ml使用していたが320列になって半分の50mlに減ったというものでした。

私たちの施設では64列導入時から0.7ml/kgのプロトコールにしましたので、これより多い方がより良い画像が得られるか否かは知りません。ただ現状で画質には満足しているので使用量を増やす気持ちもありません。一方で、320列でも50mlが適切なのかの検討は必要だと思います。本当に半分の量で撮像可能であれば0.35ml/kgですから40kgの人では14mlのみで良いということになります。これほどに少なくできれば冠動脈CT撮影のアキレス腱である造影剤使用の問題は最少となります。256列、320列をお持ちの施設から思い切った造影剤を減らす工夫を提起してもらいたいと願っています。

2011年4月6日水曜日

この国の明るい未来のために

  • 化石燃料による発電を88%削減
  • 自動車の石油消費を38%削減
  • 輸入原油(現時点で1日1000万バレル)への依存を33%削減
  • 電力セクターの二酸化炭素排出量を95%削減
  • 自家用車による二酸化炭素排出量を38%削減
  • 二酸化炭素総排出量を48%削減
この高い目標は、だれが掲げたものでしょうか。日本国政府でしょうか、それとも今問題の東京電力でしょうか。いずれでもありません。一民間企業であるGoogleが2008年に提案した"Clean Energy 2030"です。ネット企業と思っていたGoogleです。この実現には2030年までに4兆4000万ドル(340兆円、85円で換算)のコストがかかるものの、5兆4000億ドル(459兆円)のreturnが期待できるとしています。この提案に沿って現実に米国のSmart gridの実現のためにGoogleはGEと提携しました。GoogleのClean Energy 2030とGEのEcomaginationのコラボレーションです。また、GEとの提携のみならず、「ITの力で、気候変動、貧困、疾病、といった現代のグローバルな諸問題に対処する」という方針のもとにGoogleは、太陽光発電や地熱発電に投資し、プラグインハイブリッドカーの普及に向けた取り組みを開始しています。このGEとGoogleの提携を知った時になんて壮大で夢のある話かと思ったものです。しかし、この提案のあった2008年当時、smart gridに関しては日本の電力供給は安定しており、日本は既にsmart gridのようなものだからこんな取り組みは不要だという意見が支配的でした。

しかし、今回の震災に伴う福島の原発事故で、日本の電力の供給は決して安定していなかったことが実証されたような気がします。先進国ではあまり例のない2つの異なる周波数の存在で西日本には余剰電力があっても東日本には供給できないなどの問題も明らかになりました。大前研一氏が3/25付の彼のブログで東西の交流周波数を統一させてやり取りが実現できるようにすべきだと提案していますし、3/28の日本経済新聞では日本にもスマートグリッドが必要だとの記事を載せています。交流電流の周波数の統一は終戦直後に議論されたことがあるそうですが立ち消えになったそうです。巨額な投資が必要な制度改革は平時には難しいのだと思います。今回の震災の復興が、元のレベルに回復することを目標にするだけではなく、新しい時代を切り開くものになってほしいと思います。

こうしたことをここ数週間考えてきましたが、、トヨタとマイクロソフトの提携が日本時間の4/7朝に記者会見で発表されるそうです。車載コンピューターの開発だけではなくプラグインハイブリッド車のためのスマートグリッド関連技術の開発も提携の目標となるそうです。この連携は、GEとGoogleの連携の目的にも似ているように思えます。全ての自動車が仮にプラグインハイブリッド車ないし電気自動車になった場合、従来のガソリンスタンドは今の形態で存続はできません。ハイブリッドではなくガソリンを使用しない電気自動車ではどうでしょう。ガソリンスタンドは不要になります。では、リッター10kmの燃費の車が400km走行するのに必要だった40リッターの燃料費6000円(リッター150円として)は誰に支払うのでしょうか。家庭にあるコンセントで充電して従来の電気料金体系で電力会社に支払えばよいのでしょうか。そうなった時に日本の電力供給は、今の体制で間に合うのでしょうか。化石燃料に頼る、原子力発電に頼るという形でよいのでしょうか。今回の震災がなくても次の時代に向けた電力供給は、日本にとっても大きなテーマであった訳です。今回の震災を機に当たり前と思っていた電力供給を考える機会ができました。

ネットワークに繋がった社会の明るい未来を信じる者として、そしてその実現には電力が不可欠であるわけですから、明るい未来が電力というエネルギーがボトルネックとなって実現しないということがないように活発な議論を期待したいところです。

しかし、海外への出張にビジネスクラスを使うのはけしからん、そんな無駄は仕分けだというのが政治主導というとすれば、日本の政治主導はコピー用紙の裏にメモを書けという程度のちっぽけなものになってしまいます。国会議員の給料を減らせという議論も同じようにちっぽけな議論に見えます。340兆円の投資をしても450兆円が返ってくるだけではなく、雇用も国の未来も創出されるだというような官僚にはできない大きな変革を提案し、実現させるのが政治主導だと思いたいものです。

2011年2月16日水曜日

GE Optima CT660proで心房細動でも冠動脈評価は可能です。他のメーカーのCTではどうなのでしょう?

Fig. 1 LCA evaluated by MDCT in Pt with chronic Af
  慢性心房細動患者でも64列MDCTで冠動脈は評価可能であるという場合、狭窄の存在を明らかにできますよという陽性の診断と、ありませんよという陰性の診断の両方ができなければなりません。一方でありなしとは別に狭窄の程度も評価できますよということが重要です。

本日PCIになったこの方も慢性心房細動で、当院でワーファリン化をしていた方です。布団の上げ下ろしで4-5分の胸部症状があると初めて言われました。Optima CT660pro導入後にAf患者での評価が十分に可能と考えるようになっていましたので、この方もまずMDCTで評価しました。Fig. 1の左冠動脈像では前下行枝に石灰化を伴う高度狭窄を認めます。また、Fig. 2の右冠動脈では近位部に非常に高度な狭窄を認めます。外来でのCTの結果を見てすぐにプラビックス、バイアスピリンの2剤の抗血小板剤を追加しました。本日、CAGです。

Fig. 2 RCA evaluated by MDCT in Pt with chronic Af


Fig. 3の左冠動脈、Fig. 4の右冠動脈もMDCTの評価通りの狭窄です。存在をほぼ確信して2剤の抗血小板剤の内服も開始していますから当然のようにAd hoc PCI です。しかし、Ad hocで2枝を同一日にする勇気がまだありません。本日はより狭窄の強いRCAにPCIを実施しました。 Terumo run through extra floppyでwire crossし、最近お気に入りの Boston NC Quantum Apexで前拡張、PROMUS を植え込んで終了です。LADは来週 実施予定としました。


慢性心房細動患者に合併する狭心症を正しく診断して見つけることは、簡単ではありません。この方は60歳代前半の女性で「狭心症らしさ」の少ない方です。MDCT なしで見逃さずに診療できていたかを考えると疑問です。

Fig. 2 LCA on 16, Feb. 2011

当院への64列MDCTの導入は相当に遅れました。16列で診療していた時代、64列を持っている施設をうらやましく思ったものです。その当時、今の私ほど64列でAf患者でも冠動脈はよく分かると言っていた施設をあまり知りません。64列MDCTを用いたAf患者の冠動脈の評価は GEのCTでのみ可能なのでしょうか。もちろんそんな筈はないと思っています。12/2/2010のブログで各メーカーのユーザーがそれぞれのレヴューを明らかにしましょうよと提案しました。各メーカーのユーザーが色々な形で評価を明らかにしてもらいたいと思っています。








Fig. 4 RCA before PCI on 16, Feb. 2011

2011年2月5日土曜日

慢性心房細動患者でも64列MDCTで冠動脈評価は可能です。


Fig. 1 LAD evaluated by MDCT in Pt with chronic Af
04, Feb. 2011
   月初めはレセプトの症状詳記書きでいつもうんざりですが必要なことです。頑張ってやりぬきましょう。でもすこし気晴らしにBLOGでも書くことにしました。

   Fig. 1は、昨日撮影した患者さんのLAD、Fig. 2は本日撮影した患者さんのLADです。共に慢性心房細動の方です。Fig. 2の方は除脈性のためにVVIが植え込まれており心拍はregularですが、Fig. 2の方はもちろんR-Rは絶対不整です。Fig. 1の方には3枝共に石灰化も狭窄も認めませんでした。また、Fig. 2の方には3枝とも石灰化と軽度から中等度の狭窄を認めましたが、PCIをするほどのことでもありません。カテをしなくて済みました。

 

Fig. 1 LAD evaluated by MDCT in Pt with chronic Af
05, Feb. 2011

  慢性心房細動の方を診ていると、よく労作性の呼吸苦を訴えられます。心房細動ゆえの心機能の低下によるものか、冠動脈疾患由来のものかの判断は決して簡単ではありません。高齢であるが故に運動負荷が困難であったり、既に安静時心電図からSTの変化があったりするためです。しかし、Fig. 3の方のように高度の冠動脈病変を持つ方も少なくありません。この方の症状も動悸だけで、典型的な狭心症の症状ではありませんでした。症状から見逃しなく冠動脈疾患を見つけようと思えば相当に広い範囲の方にCAGを受けてもらわなくてはなりませんでした。心臓CTで慢性心房細動のの方の冠動脈評価は困難だと思われていたからです。16列時代にはそれが故にまったく心房細動ではCTで冠動脈を評価しようとは思いませんでした。ところがです。64列MDCTである GE optima CT660pro導入後、全く失敗なしに心房細動の方でも冠動脈評価ができています。

 心房細動患者ではMDCTで冠動脈評価は難しいというのも過去の話になったように思えます。



  
Fig. 3 Left Coronary Artery in Pt with chronic Af
04. Feb. 2011

2010年12月27日月曜日

64列MDCTを使った慢性心房細動患者の冠動脈バイパス、ステントの評価


Fig. 1
70歳代半ばの男性です。2003年に左冠動脈主幹部病変のために他医でCABGを受けておられます。LITA-LAD、Ao-free radial A.-#9-#14 と吻合されましたが、LITA閉塞、#9-#14の間が閉塞しAo-free radial A.-#9だけが開存です。このため2006年にやはり他医でLMTに対してBMSが植え込まれています。当院では1度も冠動脈造影を実施していません。数年間、冠動脈を評価していなかったために本日、64列MDCTで評価することにしました。

問題はこの方も12/24のケースと同様、慢性心房細動であることです。
Fig. 2

Fig. 1を見てください。とても慢性心房細動とは思えないきれいなCTが撮れました。Fig. 2に示すようにLMTに置かれたステント内にも再狭窄がないことが明らかです。また、Fig. 3に示すように#9に繋がれたradial arteryの吻合部もきれいに描出されています。

慢性心房細動のためきれいに撮影できるか、きちんと評価できるか心配でしたが大丈夫でした。技師さんがECG editorを使ってきれいに処理してくれました。慢性心房細動患者でもCABG後の評価や植込まれたステントの評価ができれば言うことはありません。ECG editorは優れものです。
Fig. 3

2010年12月2日木曜日

ユーザーレビューサイトの開設でユーザー主導の高額医療機器マーケットの創設を!!

 当ブログを2010年9月30日に初めてアップしてから2ヶ月が経過しました。本日までに8000アクセスを超え、予想していたよりも多いアクセスに驚いています。最もアクセスが多かった記事はなぜOptima CT660proなのか 機種選定にまつわる色々でした。多くの方が機種選定に頭を悩ましているのだと思います。私自身も64列MDCT導入に当たってどの機種にするか悩んだので気持ちは良く分かります。画質はどうなのか、操作性は?、それに関係して患者のスループットはどうなのか、故障の頻度やサポートの体制はどうなのか、導入コストはどのくらいかかるのか、保守料を含めた維持経費はどれほどかかるのかなど考える点は多々あります。しかし、こうしたことの多くは手に入りやすい情報ではないのです。
自動車を購入するとします。スペック情報はメーカーのホームページで容易に手に入りますし、購入したユーザーの使い勝手や値引き情報も、自動車雑誌やネット上で容易に手に入れることが可能です。そうした情報を入手した上で、店頭に赴き試乗することも可能です。しかし、高額医療機器の場合、もちろん試乗はできませんが、ユーザーレビューもなければ価格情報も存在しないのです。メーカーから示されるカタログだけで医療機関の命運を決める意思決定をするのです。こうした市場は健全といえるのでしょうか。
既に当院に導入したOptima CT660proの悪口を私は言うつもりもありませんし、実際のところ、その画質や操作性、初期費用やランニングコストに満足しています。しかし、私が導入を決定する時にはこのような情報は全く存在しなかったのです。私は、これから導入する医療機関の皆さんが私のレビューを参考にしてくれれば良いと思いますし、他のメーカーのユーザーも同様のレビューサイトを開設してほしいと願っています。そうしたレビューサイトの評価が、メーカーに還元されより良い装置が開発されたり、評価が高いが故に勝ち組のメーカーになるのが健全なマーケットのような気がします。ユーザーレビューが決定する高額医療機器のマーケット創設こそが私がこのブログを立ち上げた最も大きな動機です。東芝のユーザーも、フィリップスのユーザーも、シーメンスのユーザーもどうかレビューサイトを開設してほしいと思います。もちろん、GEの他のユーザーもです。

2010年10月7日木曜日

嫁をほめる亭主、子供をけなす親


2010.10.4 冠動脈CT

2010.10.7 PCI前
   本日、GEの技術スタッフが来院されました。Optima 660CT proの開発に関わったスタッフも含めて6人の来院です。GEの社内で私のブログが話題になっているそうで、「褒めていただき感謝しています」との言葉を頂きました。一方で「褒めすぎではないかとも思う」と本音を言われた方もおられたので、私は嫁を褒める亭主だよとお話しました。「身近に結婚してよかったという人なんかいない」と言ったタレントがいましたが、確かに嫁をけなす言葉を話題にする亭主は少なくありません。しかし、縁あって結ばれたのに、けなしあっていて幸せなのでしょうか。お互いの良いところを高めあい、欠点を補い合い、結ばれて良かったと思うのが幸せのように思います。
 CTの更新は少なくない投資です。より高いスペックの装置があることも十分に承知ですが、一大決心をして結ばれた装置です。もっと良い嫁がいたのにと後悔したくありません。その存在を認め、良いところを高めて、欠点を修正して、その縁を否定せずにその縁を喜ぶことが私の幸せであり、嫁に出してくれたGEさんの幸せと思います。だからこそ、このブログで良いところを見つけ、欠点を修正しようと思っているのです。本日、気になることがありました。ステント内の評価を議論している時に、この装置の限界なんですよねと発言するGEスタッフがいました。次の改善に向けて開発中ですと言われるのです。嫁に出した娘のことをこの子の限界なんですよね、次の子に期待してくださいと言う親がいるでしょうか。もちろん、これがGEの全てではありません。今あるフィルターやアプリケーションを使って最大限の画質を出そうと、東京への帰りの便を遅らせてくれたGEのスタッフもいます。けなしあうことからは何も産まれません。わたしはこれからも私が選んだ装置をほめ続け、私の選択を肯定し続けると思っています。
 本日のPCIのケースです。左肩の痛みが最近急に出てきた方です。10年前にステント植込みを受けておられます。冠動脈CTでステント内の狭窄を認め、本日PROMUSを植え込みました。術前に予想がついている病変へのPCIは楽チンです。造影が終わり、PCIをすると決めた後、PCIは10分で終了でした。

2010年10月6日水曜日

GEのecomaginationとhealthymagination

鹿屋ハートセンターの電子カルテ

  64列MDCT導入後、担当の技師さんは16列の時代と比べて世界が変わったと言っています。私には言いにくいのか他の職員に、被ばくが16列時代と比べて格段に少なくなった、造影剤の使用量が半分になった、息止めの時間が短くなったなどと良いことばかりだと嬉しそうに話しているそうです。実際、息止めの時間は10秒足らずになり、短い息止めのため途中で息をしてしまう方は激減しました。また、撮影に20数秒かかっていたのが10秒足らずになったためにその間に不整脈が出る確率も減りました。その結果、16列時代と比べて冠動脈を評価するに足るきれいなCT画像が撮れる成功率が格段に上がりました。
 造影剤に関しても16列時代には100mlを使用していましたが、今は体重X0.7ml+10mlの使用です。50kgの女性であれば45mlのみの使用です。高額な造影剤の使用が減るわけですから経済的な負担も少なくなりますし、腎臓に対する悪影響も少なくなります。16列時代には、カテでは50mlも造影剤を使用しないのにCTでは100mlも必要だからカテの方が良いと私自身も思っていましたが、64列になってカテよりも少ない造影剤で評価出来るためにカテに対するこだわりもずいぶんと少なくなりました。64列と16列の違いは、私にとっても冠動脈を評価する世界観が変わるほどの違いなのだということが両方を使ってみてよく分かりました。16列時代にはクレアチニンが1.2を超えるとカテのほうが良いかと考えてCTを撮りませんでしたが、造影剤が50mlですむのならもう少しクレアチニンが高くてもCTでも良いかと思い始めています。
 写真は、本日のPCIのケースです。左のCTでは石灰化を伴う狭窄に見えますが狭窄程度の評価は微妙です。右の造影では75-90%狭窄です。IVUSでは強い石灰化を伴うtight stenosisでPROMUSを植込みました。写真は2 monitorにしている私の診察室のパソコンのprint screenです。造影とCT画像等、複数の画像を電子カルテから呼び出し並べて評価することが可能です。もちろん造影を2つ並べて以前のものと比較することも簡単です。これは当院の画像サーバー、GEのXI2のweb serverから電子カルテで呼び出して見ているからです。ブログを始めてみて数年前の複数の造影を呼び出し、CT画像も呼び出してという作業をしていますが、このような画像サーバーがなければどれほど大変な作業になっただろうと思います。
 Optima CT660proに更新したことで消費電力が減り、造影剤の使用が減り、被ばくが減り、患者の経済的・肉体的な負担が減ります。また導入する医療機関の経営にもやさしい価格設定です。画像サーバーを電子カルテと連動させることで、大幅な時間の節約が可能ですし、比較するという作業を通じて、診療の質も向上すると思っています。GEのecomaginationは環境と経済の両立というコンセプトと聞いています。また、healthymaginationはこれに加えてより多くの人がより健康的に生活が送れるようにというコンセプトだと理解しています。Optima CT660proの導入と4年前から当院に存在する画像ネットワークはこうしたコンセプトにうまく合致しているようです。

2010年10月2日土曜日

なぜOptima CT660proなのか 機種選定にまつわる色々

新規導入したOptima 660 pro

Workstationは新旧2台が稼働

 高額医療機器の購入にあたって考えなくてはならないことはたくさんあります。勤務医時代には最高スペックを求めたものです。しかし、自らがオーナーになって導入する場合には身の丈に合ったものでなければなりません。
 4年前に16列を導入した時には、対象となる患者さんが導入コストに見合うだけ存在するかも分らなかったわけですからとても64列を導入する決断はできませんでした。開設から4年を経過した今は、非有意狭窄であったために経過を見ている方や、PCI実施後何年も冠動脈造影をしていない方など対象となる方が少なからず通院されています。それでも田舎の小さな施設ですので、1日に何人も対象となる方がいらっしゃるわけではありません。
 昔からよく知っている大阪の大病院で勤めている先生は64列導入にあたって1日7人のCT検査を目標に設定されました。また北九州の循環器で有名な病院は64列導入にあたって設定した目標は20人とうかがっています。
 1億円の機器をリース設定した場合、年間リース料はおよそ2千万円で6年間支払うことななります。これとは別に保守料や、時に管球の交換が必要であり平均すると1500-2000万円程度が1年に必要になります。この年間3500-4000万円の負担とは別に電気代や人件費が発生します。冠動脈CTの診療報酬は1万4千円、冠動脈加算をとっている場合には2万円です。当院では1万4千円ですから4000万円をペイするためには年間2850人程度の検査が必要になります。これだと日曜祝日を除き、土曜日まで含めて毎日10人の方の検査をしてトントンという計算です。実際の問題として鹿屋ハートセンターにはこれほど多くのCTを必要とする方はいらっしゃいません。1億円のCTは鹿屋ハートセンターの身の丈に合っていないということです。身の丈に合わない投資をすれば持続可能な施設を作り上げるという目標を達成できません。それでも採算を追い求めるのであれば検査の不要な方に検査を実施して、良心を裏切らなくてはなりません。良心を裏切る選択を私は決してしたくありませんので、やはり1億円のCTの導入は無理だということになります。
 今回のOptima CT660proに決定した理由は、身の丈に合っていたからです。鹿屋ハートセンターに通っておられる方、今後通われるであろう方に、決して無理せずに必要な時期に検査を受けていただくだけでトントンになるだけの初期導入費用、ランニングコストを提案していただいたために導入を決めることができました。もちろん安かろう悪かろうでは話にはならないので、このブログの場でその質は検証してゆきたいと思っています。
 CTの時代のトレンドは64列を超えた更なる多列化です。ホームページで見ると東芝のCTの製品情報のトップの機種はzone detectorを使用した320列相当の機種、Phillipsのトップの機種は256列、Siemensはdual energyです。これらの機種に手が届かないのは分かっているので実際の導入価格の相場も知りませんが、1億の機種でも最低1日10名の検査が必要なのに数億の機械を導入してペイする医療機関は日本にいくつ存在するのでしょうか。ちなみにGEのCTの紹介のトップの機種は当院が導入したOptima CT660proです。もちろんGEにもdual energyの技術や多列のCTがあるにもかかわらず、トップの紹介はOptima CT660proなのです。明らかに他社と方向性が異なるように私には見えます。日本の診療報酬の実態にそぐわない高額医療機器の普及は、病院の経営を圧迫するだけではなく、日本の医療体制全体にも負荷をかけかねません。患者に対する不要な検査にも繋がりかねません。そのなかでHealthymaginationEcomaginationを社是とするGEの社風も今回の決定の大事な要素であったと考えています。

2010年9月30日木曜日

鹿屋ハートセンター公式ブログの開設です 最初の話題は「64列CTを導入しました」です

 2006年10月に鹿屋ハートセンターはオープンしました。2010年10月1日で丸4年が経過したことになります。開設以来ほぼ4年間、使用した16列MDCTを2010年9月で64列MDCTに更新しました。
 機種はGE社製Optima CT660Proです。
 19床の小さな医療機関ですので、リース終了前の機器の更新は、大きな経済的な負担です。にも拘わらず更新を決意した最大の理由は私が植え込んだ冠動脈内ステントの評価です。16列MDCT時代には、ステント内の評価は全くできないと考えていました。このため評価できない検査のために無駄な被ばく、造影剤の負荷、経済的な負担を患者さんに求めてはいけないと考えていました。一方で、半年毎や1年毎に冠動脈造影を実施している病院があるのも知っていますが、再狭窄の頻度も高くないのに繰り返し冠動脈造影を行うのにも抵抗がありました。
 このためステント植込み後6カ月後の冠動脈造影を実施後は、負荷心電図以外の検査を全くしてきませんでした。しかし、植込み後3年、4年と経過した方をなにも評価せずに放置していてはいけないと思い始めました。それならばステント内を評価できるCTに更新すべきだというのが今回の決断の理由です。はたして冠動脈内ステント内の評価は今度の機種更新で可能になるのでしょうか。
 さて本日のCTのケースです。70歳代の男性、糖尿病とASOがあり運動負荷は困難です。
2006年10月に右冠動脈にDriver stentを、2007年10月に左冠動脈前下降枝の長い病変に複数のTAXUS stentを植え込みました。
2006年10月ステント植込み前
 これだけのステント内の評価ができるのであれば、冠動脈造影は不要です。この方の場合、ステント植込み後の評価を目的に冠動脈造影を実施することは生涯ないだろうと思っています。
2006年Driverステント植込み後

2007年10月ステント植込み前

2008年Taxus stent植込み後1年

2010年9月 冠動脈CT

2010年9月 冠動脈CT LAD

2010年9月 冠動脈CT RCA