このようにほとんど狭窄のなかった冠攣縮性狭心症の方で経過のうちに器質的な狭窄が生じることがあります。図2は冠動脈造影です。#3は99%delayでした。
完全閉塞になる前に見つけることができ、PCIできれいになってよかったと思っていますがこの方のPCIは適切だったでしょうか?
図1 冠動脈CT |
4月からの機能評価の詳細が決まり、75%狭窄の場合には原則機能評価が求められるものの90%狭窄では必ずしも求められないとのことです。このようなケースではしなくても良いと分かり少し安心しました。
FFRを測定し、虚血の存在を確認してPCIをすることで日本の不適切なPCIは減少するでしょうか?
2009年に発覚した山本病院事件では、狭窄のない冠動脈にステント植込みを行ったり、ステント植込みもしていないのにステント植込みをしたと不正請求されていました。実施医が狭窄があると偽れば通ってしまっていたのです。今回の改正でも90%狭窄であれば機能評価は求められません。悪意のある実施医が90%狭窄であったと言えばよい訳ですから、今回の改定では山本病院事件は防げないのです。かつてPCIは75%狭窄のある方が対象だと決められた時に同時に冠動脈造影写真を添付しなさいと求められました。それ以後、私は症状詳記には冠動脈造影写真を添付してきましたが、最近は添付していません。なぜなら鹿児島県の審査委員会から写真を添えられても分からないから添えなくてよい、邪魔だから添付するなと言われたからです。他県のことはわかりませんが、山本病院事件の舞台になった奈良県でも造影写真をチェックしておれば事件は起きなかったと思います。審査する能力がない医師によって審査される状況が続く限り、FFRによる機能評価が求められても不適切なPCIは減少しないだろうとほぼ確信しています。
図2 PCI前 |
FFRによる機能評価を求めることに異議はありませんが、審査の質をあげない限り不適切なPCIは減少せず、FFRが追加されることで医療費が逆に膨らむのではないかと危惧しています。
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