心不全を繰り返して、入院する患者さんが少なくありません。本日も前回の退院からわずか1カ月弱で再入院です。退院直前の体重から3kg増加しています。入院中にも退院前にも、水分制限、塩分制限の指導を実施し、毎日の体重測定をおこなうようにお話しますが、このような方が後を絶ちません。入院して、普段通りの内服を行っていると速やかに心不全は良くなります。本日の方ではありませんが、先日、やはり心不全を再発して入院してこられた方は、都会に住む娘さんが、水分をしっかり取らないといけないよと電話で話されたそうで、娘の言うことを聞いて喉も渇いていないのに水分を積極的に飲んでいて心不全になりました。繰り返して噛み砕いてお話しても、高齢の患者さんの記憶に残るのはお話したことの50%にもならないのだというのが実感です。ご家族がおられる家庭ではご家族に体重の記録をつけてもらい、2kg程度の体重増で、呼吸苦がなくても受診するようにお話しています。こうすると入院が必要になるような心不全には到りません。やはり心不全のコントロ-ルにもご家族の力が有効です。しかし、2/15付のブログで書いたように大隅半島の高齢の患者さんの多くは、息子や娘が大隅を離れて孤立しています。ご家族の力は期待できないのです。
もう、心不全を繰り返すことは仕方がないと諦めて、なってから重篤化しないように、苦しくなったらすぐに受診するようにお話しするしかないのかとも思っています。
そんな矢先、看護師さんが、不安定狭心症の治療後の再入院を減らすために患者指導のマニュアルの案を持ってきてくれました。 きちんとした内服、塩分制限、体重管理の重要性、脂質管理、DM の管理の重要性の説明とともに、症状の再発時に様子を見ないですぐに受診するように促す内容です。こうした看護師や栄養士による介入が、不安定狭心症患者の再入院率を減らすことはデータでも示されています。同じように心不全に対する看護介入が再入院を減らすことも知られています。医師が指導するだけではなく、看護師や栄養士による介入は、患者さんの生活の質を高め、医療費の軽減につながるものと信じています。心不全教室です。指導だけではなく、体重を管理してくれるご家族がいない患者さんには、ハートセンターから毎朝、「今朝は体重を計りましたか?」と電話を差し上げるのもよいかもしれません。Nursing interventionです。
指示を出す医師と、指示を受けて言われたことだけを行う看護師の関係から、それぞれの職能に応じて患者に対するケアの質を高めるべく、共同してそれぞれが介入する形へと変化を遂げようとしているのだと思います。
看護の力を信じて、看護師さんが始めた主体的な取り組みを邪魔しないようにしましょう。
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