2012年7月3日火曜日

プラザキサに対する関心の高さには驚かされます

Fig. 1 Access ranking top 10 between Sep. 2010 and Jul. 2012
Fig. 1は、2010年9月にこのブログを開設以後のアクセスの多かったページのランキングです。1位は 2011年8月に書いた「心房細動患者に対するプラザキサの使用」です。この記事は今週のランキングでも8位に入ります。コンスタントなアクセスのあるページです。ほぼ1年前の記載ですから、今ふりかえって間違ったことを書いていないか読み直しましたが、大丈夫そうです。

Fig. 2 Top keywords between Jan.-Jul. 2012
Fig. 2に示す今年1月からの、当ブログに辿り着いたきっかけになったキーワードですがやはり圧倒的にプラザキサです。キーワードを見ていると、このブログを書いている私の名前で検索して辿り着いた方よりも、済生会福岡病院の芹川先生の名前で検索して辿り着いた方のほうが多いのが不思議ですが、芹川先生が、いま旬で人気があるのでしょう。頷けます。

ワーファリンの販売しているエーザイさんに伺ったところ、国内でワーファリンを内服している方は約100万人だそうです。日本の心房細動患者が約100万人と聞いていたので驚きました。心臓に人工弁が入っている方もワーファリンを内服されているでしょうが、そんなに多い筈もなく、心房細動患者の多くがワーファリンを内服していないと、新規抗凝固薬の発売に伴って広く喧伝された情報は何だったのかと思います。

また、長期処方が可能になったプラザキサを内服している方は、10万人を超えたとも聞きました。薬価が20-30倍にもなるプラザキサですから既に販売額はワーファリンを超えたそうです。私も長期処方が可能になったことで、まだ10人未満ですがプラザキサの処方を始めました。AHAのガイドラインに沿って、ワーファリンで良好なコントロールの方に高価な薬剤を使うメリットは感じないので、ワーファリンでのコントロールが不安定すなわちTTRが低値の方に限って処方を開始しています。こうしたTTRの低値の方の多くは高齢で、腎機能も悪く、抗血小板剤も内服されているためにプラザキサ(75mg) 2T 2Xの処方としていることがほとんどです。APTTのチェックもCBCのチェックも行い、効きすぎていないこと、貧血が進行しないことを観察しながらの投薬ですので、当初宣伝されたような手間のかからない薬剤という訳にはいきません。しかし、TTRが低値で出血や塞栓症のリスクの高い方への治療ですから、必要な手間と思っています。

こうしたプラザキサの普及でワーファリンの処方が減少したかについてですが、昨年以後、ワーファリンの処方量は増えているそうです。心房細動患者で塞栓症を予防することが大事だと宣伝されたことで、抗塞栓療法のマーケットが活性化されたということです。

田舎の小さな医療機関から発信するブログを少なくない方が見てくれています。当院で使用しているGE OPTIMA CT 660の記事を読んで導入を決められた医療機関も複数存在することも承知しています。誤った情報を発信することで経済的な損失を与えたり、あるいは患者さんが不利益を被らないように注意しなければと思います。また、逆に他の医療機関や患者さんに有益な情報が提供でき、例えば心房細動に伴う塞栓症がこの国で減少すれば何よりの幸せです。これからも頑張りましょう(以前勤務していたグループの新聞風に締めくくりました)。

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