夕方に訪ねて来られた某製薬メーカーのMRさんから嬉しい話を聞きました。そのMRさんが担当するエリア(鹿児島の郡部)におけるそのメーカーの降圧剤の売れ行きの伸び率が九州で1番になったそうで本社で社長さんの前で表彰されるとのことでした。ARBです。ARBを販売するそれぞれのメーカーで、製剤による違いがあるのだとよく言われますが、正直どれほどの差があるのだろうと思っています。ですから、患者さんの負担の少ない、すなわち薬価の低い製剤を中心に私は処方しています。また、人間ですからMRさんの人柄に影響を受けることも否定できません。ただ、講演会のパンフレットを持ってくるだけのMRさんと、一緒に色々と議論できるMRさんとでは、やはり熱意のあるMRさんの居る会社の製剤を使ってみようかと思うものです。鹿屋ハートセンターという田舎の小さな診療所が何であっても九州内で1番になるのに貢献したことを誇らしく思います。
鹿屋ハートセンターの一番はこの降圧剤だけではありません。心房細動患者さんの脳塞栓予防のための抗凝固療法ですが、私は再三ブログに書いてきましたが、ワーファリンを第一選択にしようと思っています。そのためか、九州内の診療所に限れば、当院が九州内で最も多い処方数なのだそうです。わずか6年しか歴史のない当院が、1番というのはやはり誇らしい感じがします。
かつて福岡徳洲会病院に赴任した時に、立ち上げに協力してくれた造影剤メーカーのMRさんも、造影剤使用量の伸び率が全国1番になったとかで表彰され出世されました。製薬メーカーとの関係は、単に販売業者と顧客という関係ではなく、医療という分野で共に手を携え合うパートナーと思っているのでその時も嬉しく思ったものです。
人口減少が始まった中で、これからの日本で営業に携わる方の仕事は難しくなる一方だと思います。私たちが関わるPCIの領域でも、今年のPCI実施数は、PCIの歴史始まって以来はじめての対前年割れになる見通しだそうです。マーケットが縮小する中でビジネスは面白くないかもしれませんし、減少を最低限にするために既存の顧客を守るという戦略も悪くないと思っています。しかし、十分な降圧療法が実施されていない、必要なスタチンが処方されていない、心房細動なのに抗凝固療法が実施されていない、いまだにPCIの恩恵を受けられない人たちが存在するなど、現在の縮小するマーケットは飽和したマーケットの縮小ではではないような気がします。
営業マンが縮小するマーケットの中で守備的にならずに、持ち合わせた製品の価値を信じて、その恩恵をより多くの人たちに普及させるのだという攻撃的な姿勢を持ち続けるのであれば、この閉塞した日本の状況もまだ捨てたものではないような気がします。
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