2012年11月27日火曜日

政治的にも見捨てられたこの土地に住んで気づかされたこと

 衆議院が解散し、総選挙の公示まで間もなくです。私が住む鹿屋市は鹿児島5区になります。民主党が圧勝した前回の総選挙で5区に立候補し、選挙区では落選し、最も低い惜敗率ながら比例で復活当選した民主党の議員は今回は国替えとかで神奈川県から立候補されるそうです。鹿屋市の出身で鹿屋高校の卒業生です。「ふるさとが好きだから…」というようなポスターをあちこちで掲示されていたので、保守地盤で厳しい選挙になっても鹿児島5区から立候補されるとばかり思っていました。選挙で勝ち目がなさそうなので「ふるさとが好きだから…」という看板を下ろし、居住歴のない土地での立候補を決めた候補本人にも、鹿児島5区には候補を立てないと決めた党にもがっかりです。また、鹿児島5区では勝てそうにないのでこちらに来ましたと言われた神奈川の皆さんにも失礼な話だと思います。

 世間では、消費税増税や、TPP、原発など大事なテーマがありそれぞれに立場を持った政党が多く存在するのに、このままでは鹿児島5区では選択肢は存在しません。どうせ、保守地盤で自民党の候補が圧勝するので立候補するだけ無駄ということでしょうか?ここ鹿児島5区では、民主党も候補を擁立せず、いわゆる第3極も見向きもしません。政治的にも見放された土地のような気がして、気分が滅入ります。こんな安全パイと思われている土地だから、放射性物質の最終処理場を大隅に作ろうという話が来るのではないかと思ってしまいます。

 地元の代表を選ぶ選挙ではなく、政党を選ぶ選挙だから、出身地にこだわる必要はないという考えもあり得ます。こうした考え方からか、日本維新の会の考えを聞くと候補など誰でもよい、立候補する選挙区もどこでもよいというような発想が生まれます。そうであるならば、選挙区制度などなくして、すべて比例区にして、獲得した得票率に応じて各政党に議決に関する権利を付与するだけで議員など要らないということも可能です。持っている株数に応じて株主総会における議決権を与えるのと同様の仕組みです。この仕組みだと地方による1票の格差など問題はなくなります。

 しかし、こんな仕組みを望む人がいる筈はありません。国民全員が国会で議決に加わることはできないので国民の代表としての議員に代議してもらうシステムが国会である筈だからです。

 2000年に鹿屋に赴任し、冠動脈のカテーテル治療を私が始めるまで、大隅半島はPCIのできない土地でした。最寄りのPCI実施可能施設まで2時間もかかるのにです。同じ保険料や税金を負担しながら、当たり前の治療ができずに急性心筋梗塞になった時に助からないといった、医療における見捨てられた土地が大隅でした。そうした医療における見捨てられたポジションは政治や行政に依存せずに、現在では、人口当たりのPCI実施件数が国内でも有数の土地に生まれ変わりました。見捨てられた土地を何とかしようとした医師と、それを育んでくれた地元の皆さんの自律的な努力の結果です。

 今回の総選挙で政治的にも見捨てられそうなこの土地に住み、政治には白けながら、でもこの土地に住む者として、この土地の生存を自らの自立した努力で勝ち取ろうと努力を続けなくてはなりません。政党を選ぶのでもなく、候補者個人を選ぶのでもなく、この土地やこの国に住む者として、自らの生き方を選ぶのだと気づかせてもらった政治の破綻です。

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