しばらくしてPCIのケースも増え、医師の増員が必要だと思っていた時に、思いがけず九州大学循環器の竹下元教授から一人回してあげようかと突然にお電話を頂きました。それで九大からお一人先生が着任されましたが、やはり最初は「この病院のPCIの適応は大丈夫なの?」と斜めに構えておられましたが、そのうちにこの病院の適応はまともだと言ってくれるように変化しました。
実際に一緒に働かないと分からないことがあります。PCIの件数が多い施設は常にいい加減な適応でやっているのではないかと勘繰られます。
ある時、私が働いている施設で一緒にカテをして勉強したいと来られた先生がいます。他の病院では部長です。一緒にカテをして私が50%狭窄と読む病変を彼は90%狭窄と読みます。1例だけではなく常に彼の読みは厳しいのです。私は彼に一緒にカテをしても意味がないから来るのは止めてくれと話しました。これも一緒にカテをしないと分からない現実です。
鹿屋ハートセンターに鹿大からK先生に週に2回ネーベンに来てもらっています。鹿屋ハートセンターで行うPCIはさほど多くはないので一人でもやっていけるのですが彼が来てくれるのは貴重だと思っています。私がいい加減な適応でPCIをやっていれば、あるいは見る価値がないPCIをやっていれば彼は来なくなると思います。私自身はPCIの適応で暴走することはないと思っていますが安全弁があった方が良いと思っています。彼は貴重な安全弁なのです。適応だけではありません。私が立てた戦略についてもおかしなことをすれば批判してくれる先生が存在する環境は重要です。もちろん、彼と私との関係には微妙な力関係が存在し、言いたくても言えないという力が加わる可能性はあります。しかし、ブログやネット上でオープンにする戦略に関してはそれを批判する全国の先生方に私に対する遠慮はありません。実際に厳しい批判を受けることもあります。しかし、孤立せずにオープンにし、批判を受けることで当院のPCIは妥当なものになるのだと信じています。そして患者さんに対するより良い治療や自分自身の成長が保障されるのだと思います。
上司が存在する環境でPCIの術者や戦略の決定を任されている先生は上司や同僚からの批判を受け入れることで成長すると思います。また施設内で最も権力のある先生も部下からの批判を受け入れることでその施設のPCIの妥当性は担保されると思います。アホでも出来が悪くても、上司や部下がいる環境の方が幸せな気がします。しかし、どんな地方でも津々浦々までPCIが実施できる施設が存在するこの国には、私を含めて少なからず孤立しているPCI術者がいると思います。そんな環境で誤った進化を遂げるガラパゴスPCI術者が生まれないことを願っています。
学会発表でも、個人情報に留意したブログでも、FacebookのようなSNSでも批判を覚悟で自らの戦略を世に問う姿勢がガラパゴス化を防ぐのだと思います。このような考えで今後も私は、このブログ上であるいはSNS上で自らの考えをオープンにしていきたいと思います。また、私と同様に学会参加もままならず地方で苦労されている先生方にも、ネット環境を利用したオープンな議論の場の構築をお勧めしたいと思います。一人でできると思っていたり、他者との議論を避ける姿勢では過ちから免れないだろうと思います。一人でやっている環境でも他者から批判を受ける方が正しい道を歩めるのだと思っています。
以前にも書きましたがネットで確保されるPCIを高めるための
「連帯を求めて孤立を恐れず」
です。
がんばって下さい。私も貴先生のように強い信念をもった循環器医師になりたいと思います。以前メールさせて頂いた横浜の医師です。
返信削除swimming-doctor様、コメントをありがとうございました。先生も是非、頑張ってくださいね。
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