2012年10月4日木曜日

DAPT(2剤の抗血小板剤)中止下の手術を無事終えて来院されました。

 2012年7月27日付当ブログ「DES植込み後の非心臓手術時のDAPT中止 OCTによる評価」に記載した方が本日、術後初めての受診でした。膵頭十二指腸切除ですから侵襲も決して小さくない手術ですがDAPT(2剤の抗血小板剤投与)の中止下に無事に手術に成功し、来院されたのです。OCTで内膜が張っていることを確認し、自信を持ってDAPT中止下に手術していただいても構いませんと返事を差し上げた方ですが、確実とも言えず心配していたのですが無事にお顔を見れて安心しました。1例だけがうまくいったからといってこのやり方が良いとは言い切れませんが論理的ではあると思っています。これからも当院で手術をPCIを受けた方が外科手術に回る場合などに、このように根拠をもって外科に方針を伝えたいと思っています。

 当院でPCIを受ける方の平均年齢は70歳を超えており、PCIを受けた後に外科手術が必要な悪性疾患が見つかることも稀ではありません。DES植込み後6か月以上を経過しており、今回のケースのようにOCTで内膜がはっていることが確認できるケースなどでは自信を持ってDAPTの中止を決めることができますが、それより短い期間の場合あるいは内膜がはっていない場合などはどうしたらよいでしょうか。私は、必要とされる外科手術の緊急度で決まると思っています。あと2か月で半年になるというような方で2か月が待てる程度の手術であれば待って頂くのが良いと思いますし、待てない場合であればステント血栓症のリスクを十分に意識して緊急時に対処できる準備をして外科手術に回すということになると思っています。この非心臓手術が待てるか否かの判断はPCIを実施した私たちでは判断できません。どれほど急ぐ手術なのか、待つことによる不利益は何なのかを外科サイドから情報提供して頂ければ、循環器医としても、待つことによる心臓のメリット、待たないことの心臓のリスクを外科医に伝えることができると思います。二律背反するような状況では、お互いの立場だけを考えるのだけではなく、お互いで患者さんにとって最も安全でメリットのある形を作り上げるのが良いと思っています。

 時に手術を受けることになったので抗血小板剤を止めても良いか聞いて来いと外科医から言われて来院される方がおられます。このような形であれば外科サイドが待てるのか否か、どれほど急ぐ手術なのか分からないので返事に困ります。外科医と循環器医が面倒でも情報提供し合って慎重に内服の中断を決めたいものだと思っています。

大丈夫だと高をくくっていると、事故が発生するというのはマーフィーの法則にあったかどうかは覚えていませんが、往々にして油断をすると痛い目にあいます。そして痛い目にあうのは患者さんです。他科の先生とはよく相談して内服一つでも安易に方針を決定しないようにしたいものです。

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