2013年6月14日金曜日

プラザキサ 75mg 2cap 2Xの処方で得られた十分な効果

  ワーファリンでINRが安定しない方には新規抗凝固薬(NOAC)の適応があると考えて最近はNOACを処方していると書きました。そんな1例です。決まったワーファリンの処方で上段の図に示すようにINRは4.0を超えたり1.0になったりです。80歳代後半の方で高血圧と心不全の既往もありCHADS2は3点です。小さくない塞栓症のリスクが存在するのでNOACを処方することにしました。

新しい薬は大事に育てたいと思っているので、CCrの低い方に間違っても処方しないように下段の図のようにカルテの問題リストには体重・身長・CRE値・計算されたCCr値・eGFR値を書くようにしています。また3月に1度はPT-INRとaPTT、血算を測定しようと思っています。この方のPT-INRは1.31でaPTTは80秒を下回っているものの59.5秒とNOACの効果で延長しています。十分に効果が出ているという評価で良いと思っています。

この方のNOACはオフラベルの使用量であるプラザキサ75mg 2cap 2Xの処方です。このオフラベルの量で充分に効果が発現しているのです。

一方、別の方ですが70歳代後半の女性で最初の方と同程度のCCr: 47、eGFR: 57の方ですがプラザキサ 110mg 2cap 2XでPT-INRが1.29、aPTTが42.9秒でした。

投与量の調節も不要で塞栓発生や出血が減少すると言ってもやはり効果には個人差が発生します。プラザキサの用法用量には最低の110mg 2cap 2Xしか記載はなく、よくある年齢や体重・腎機能で減量を考慮するようにとの記載がありません。このためルールに従えば上記の方の処方も110mg 2cap 2Xとなります。これで良いのでしょうか?ひねくれた私は平均体重80㎏で検討されたre-ly通りに処方していたら日本人では大きな問題が発生するのではないかと考え、出血のリスクの高い方、特に高齢・低体重の方にはオフラベルの75mg 2cap 2Xを処方しています。エビデンスのない使い方です。それで塞栓症が発生したら責任を取れるのかという人もいるかもしれませんが、ルールに従って発生した大出血だから責任はないと言い切れるのでしょうか?

2年前にブログを書き始めた時に、書くのにふさわしい内容が続くのだろうかと思っていました。しかし毎日書いている訳ではありませんが書こうと思えば、入院している方や外来に来られた方を一人一人よく考えると、読んでいただく人と共有できるテーマは毎日見つかります。それが臨床なのだと思います。難しくもあり面白くもありです。




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