2011年8月23日火曜日

払拭されない違和感 今回のDESの添付文書の見直しについて

 8/18付当ブログ「LMT病変に対する適切なPCIの実施」に記載した、今回の厚生労働省医薬食品局安全対策課長による課長通知(薬食機発 0720第2号)に対する違和感が消えません。

 当院でも5/26付当ブログ「LMTに対する治療 CABGかPCIか」や2/15付当ブログ「LMTへのPCIをしながら考えさせられたこと」に記載したようにLMTに対するPCIは絶対に実施すべきではないとの立場ではありません。このブログで記載したケース以外にも実施したケースは存在します。そして、この5年間で鹿屋ハートセンターで実施した保護されないLMTに対するDESの植え込みで、幸いにも手技死亡もありませんし、その後の再狭窄も突然死もありません。ですから感触としては、LMTに対するDESの植え込みはCABGの成績と肩を並べると考えています。

 しかしです。DESの承認にあたっては、臨床試験の成績の添付が必要です。その臨床試験で明らかになっていない部分はオフラベルとなって使用を制限されます。XIENCE V stentであればSPIRIT試験です。こうしたcrinical trialに基づく承認であれば、科学的な承認となり官僚の恣意がが入る余地はありません。今回のLMTへのDES使用の禁忌を外す決定にあたって、厚労省はどういったcrinical trialに基づいて決定を下したのでしょうか。7/20の薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会資料によれば、Syntax試験を根拠の一つとし、また、現在進行中の国内の試験が根拠とされています。まだ、公表されていない試験結果がもう一つの根拠とされているのです。

 なぜ、国内で実施されている臨床試験の結果を待っての添付文書の見直しにしなかったのでしょうか。政治的な力が働いたのでしょうか。違和感が払拭されません。

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